下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

ミステリ

エラリー・クイーン「青の殺人」(原書房)

エラリー・クイーン「青の殺人」(原書房) エラリー・クイーン「青の殺人」(原書房)を読了。エラリー・クイーン名義だが、作者は短編小説の名手として知られるエドワード・D・ホック。クイーンの作品と考えれば重厚さが足りないなどの評はうなずける部分…

文学少女対数学少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

文学少女対数学少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 「犯人当て」的なミステリの論理を数学と対比させる構造を持つ連作短編集である。読後すぐに法月綸太郎、麻耶雄嵩、綾辻行人ら京大ミステリ研出身の作家たちの強い影響を受けていることが分かる。 各作品は「連…

後期クイーン論に向けた序章として(番外編4)  エラリー・クイーン「レーン最後の悲劇」(角川文庫)

後期クイーン論に向けた序章として(番外編4) エラリー・クイーン「レーン最後の悲劇」(角川文庫) ドルリー・レーンの四部作はバーナビー・ロスというまったく別名義のペンネームを使用していて、そのことの意味が明らかにされた後はそのペンネームは封…

後期クイーン論に向けた序章として(番外編3)  エラリー・クイーン「Zの悲劇」(角川文庫)

後期クイーン論に向けた序章として(番外編3) エラリー・クイーン「Zの悲劇」(角川文庫) クイーンの作品を最初に読んだのが実は「Zの悲劇」だった。というのはマニア傾向のあるミステリファンにはよくありがちなことではあるが、その時点でネタ晴らしの…

後期クイーン論に向けた序章として(番外編2)  エラリー・クイーン「Yの悲劇」(角川文庫)

後期クイーン論に向けた序章として(番外編2) エラリー・クイーン「Yの悲劇」(角川文庫) 一昔前には意外な犯人のトリックの傑作としてエラリイ・クイーンならびに本格推理小説の代表作品とされていたのが「Yの悲劇」だったといっていいだろう。ただ、精神…

後期クイーン論に向けた序章として(番外編)  エラリー・クイーン「Xの悲劇」(創元推理文庫)

後期クイーン論に向けた序章として(番外編) エラリー・クイーン「Xの悲劇」(創元推理文庫) 「Xの悲劇」はエラリイ・クイーンの初期作品のうちバーナビー・ロス名義で発表されたドルリー・レーン四部作の最初の作品である。第一の殺人の犯人像を絞り込む…

後期クイーン論に向けた序章として(4)  エラリイ・クイーン「九尾の猫」(ハヤカワ・ミステリ文庫)

後期クイーン論に向けた序章として(4) エラリイ・クイーン「九尾の猫」(ハヤカワ・ミステリ文庫) 次から次へと殺人を犯し、ニューヨークを震撼させた連続絞殺魔〈猫〉事件。すでに五人の犠牲者が出ているにもかかわらず、その正体は依然としてつかめず…

後期クイーン論に向けた序章として(1)  エラリイ・クイーン「災厄の町」(ハヤカワ・ミステリ文庫)

後期クイーン論に向けた序章として(1) エラリイ・クイーン「災厄の町」(ハヤカワ・ミステリ文庫) 「災厄の町」はエラリイ・クイーンの後期の代表的作品。ニューヨークの北方に位置する山麓の街であるライツヴィルを舞台とする連作「ライツヴィルもの」…

後期クイーン論に向けた序章として(2)エラリイ・クイーン「フォックス家の殺人」(ハヤカワ・ミステリ文庫)

後期クイーン論に向けた序章として(2) エラリイ・クイーン「フォックス家の殺人」(ハヤカワ・ミステリ文庫) 今でこそ演劇やダンスの批評を中心的なフィールドとしているが、実は大学時代に京大ミステリ研に所属していたこともあり、当初批評的な分析の…

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中 ブログの紹介にアイドルとミステリを追加した。Hatena登録が必要なせいか、これまでこういう宣伝しなかったせいか、ブログ開設後相当経過し…

「忠臣蔵」下敷きにした犯人当て。季節に合わせて再掲。京大ミステリ研OBによる犯人当て「誰が大野九郎兵衛を殺したか」 問題編(再掲載) 

京大ミステリ研OBによる犯人当て「誰が大野九郎兵衛を殺したか」 問題編 京都大学推理小説研究会のOB*1による「犯人当て」作品。「忠臣蔵」をモチーフにしたもので、今の季節にはぴったりではと思い再掲載することにしました。以前にこのサイトに掲載し…

ジョン・ディクスン・カー「四つの凶器」@創元推理文庫

ジョン・ディクスン・カー「四つの凶器」@創元推理文庫 アガサ・クリスティーとエラリー・クイーンは一部ノンミステリやジェビナイルを除いて、ほとんどの作品を複数回読んでいるはずだが、それと比較すると三大巨匠と言われている中で、ジョン・ディクスン…

ルース・レンデル「指に傷のある女 Shake Hands Forever」@角川文庫

ルース・レンデル「指に傷のある女 Shake Hands Forever」@角川文庫 初読の際には「いかにもレンデルらしい」と思った記憶がある。とはいえ、どういう筋立ての物語であったかとかはまったく記憶から抜け落ちていて、何をそう考えたのかを考えながらの再読と…

ルース・レンデル「悪意の傷跡」@ハヤカワ・ミステリ

ルース・レンデル「悪意の傷跡」@ハヤカワ・ミステリ 「悪意の傷跡」(1999年)はウェクスフォード警部シリーズとしては日本語に翻訳された最後の作品である。この後も「 The Babes in the Wood」(2002年)、「End in Tears 」(2005年)、「Not in the Fl…

名探偵ポワロ第5シリーズ(第34 - 41話)〈各52分〉

名探偵ポワロ第5シリーズ(第34 - 41話)〈各52分〉 「名探偵ポワロ」シリーズの連続放映を録画まとめて視聴することになった。アガサ・クリスティー作品はケネス・ブラナーの演じた映画版「オリエント急行殺人事件」など近年も映像化される機会は多いのだが…

コリン・デクスター「謎まで三マイル」@早川ミステリ文庫

コリン・デクスター「謎まで三マイル」@早川ミステリ文庫 「謎まで三マイル」も人物の失踪と身元不明の遺体の発見からはじまるが、こちらの方は失踪したのが退官まじかのオックスフォード大学の教授たちであり、その意味ではその後のシリーズの展開などを考…

コリン・デクスター「ウッドストック行最終バス」@ハヤカワ・ミステリ文庫

コリン・デクスター「ウッドストック行最終バス」@ハヤカワ・ミステリ文庫 ウッドストック行最終バス モース主任警部 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者:コリン デクスター発売日: 2015/09/30メディア: Kindle版 夕闇のせまるオックスフォード。なかなか来ない…

ホワットダニットの系譜としてのコリン・デクスター(1)

ホワットダニットの系譜としてのコリン・デクスター(1) コリン・デクスターのモース警部シリーズといえば当初は日本でもコアな海外ミステリファンのみがその名前を知る存在であった。それが1987年から始まったテレビドラマ「主任警部モース」=写真下=の…

コリン・デクスター「キドリントンから消えた娘」@ハヤカワ・ミステリ文庫

コリン・デクスター「キドリントンから消えた娘」@ハヤカワ・ミステリ文庫 キドリントンから消えた娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者:コリン デクスター発売日: 1989/12/01メディア: 文庫

主任警部モース「キドリントンから消えた娘」/ LAST SEEN WEARING@AXNミステリー

主任警部モース「キドリントンから消えた娘」/ LAST SEEN WEARING@AXNミステリー 半年前に16歳の少女ヴァレリーが失踪した。しかし、最近になってヴァレリーから無事を伝える手紙が届き、モースは3人目の捜索担当となる。モースは「彼女はもう死んでいる」と…

ルース・レンデル「聖なる森」@早川書房

ルース・レンデル「聖なる森」@早川書房 風光明媚な英国の田舎町キングズマーカムでは、ロンドンへの交通の便を良くするため、かねてからの懸案だったバイパス道路建設計画が、急ピッチで進められていた。しかし自然を愛する地元住民や環境保護団体が、反対…

ルース・レンデル「もはや死は存在しない」(角川文庫)

ルース・レンデル「もはや死は存在しない」@角川文庫 もはや死は存在しない (角川文庫―ウェクスフォード警部シリーズ)作者:ルース・レンデルメディア: 文庫 「もはや死は存在しない」 “聖ルカの小さな夏”と呼ばれる小春日和の一日が終ろうとする頃、少年行…

『アガサ・クリスティー ミス・マープル 青いゼラニウム 』@AXNミステリー

『アガサ・クリスティー ミス・マープル 青いゼラニウム 』@AXNミステリー ミス・マープルものの短編集「火曜クラブ」収録の短編「青いゼラニウム 」の基づいて制作。ほぼ原作に忠実だが、ミステリ小説の映像化の場合、短編を原作にした方が筋立てをそのまま…

『アガサ・クリスティー ミス・マープル  ポケットにライ麦を 』@AXNミステリー

『アガサ・クリスティー ミス・マープル ポケットにライ麦を 』@AXNミステリー CSのAXNミステリーチャンネルによるアガサ・クリスティーのミス・マープルシリーズ一挙放映。コロナ感染対策で外に出られないこともあり、そして京都大学推理小説研究会時代に書…

青崎有吾「水族館の殺人」「図書館の殺人」(創元推理文庫)

青崎有吾「水族館の殺人」「図書館の殺人」(創元推理文庫) 水族館の殺人 (創元推理文庫)作者:青崎 有吾発売日: 2016/07/28メディア: 文庫図書館の殺人 (創元推理文庫)作者:青崎 有吾発売日: 2018/09/12メディア: 文庫

「体育館の殺人」(青崎有吾著)@創元推理文庫

「体育館の殺人」(青崎有吾著)@創元推理文庫 今年の夏頃、京大ミステリ研の設立45周年記念のシンポジウムでゲストとなっていた著者と会い、すぐこの著書の問題編を読み、推理のために読み返そうと思ったままそのままになっていたのをやっと全編を読み通すこ…

京都大学推理小説研究会45周年イベント

京都大学推理小説研究会45周年イベント 京都大学推理小説研究会(ミステリ研)の45周年記念イベントが東京・神田のビル内の宴会場で開催された。3次回では後輩のミステリ作家、我孫子武丸らと犯人当て談義ができて嬉しかった。京大ミステリ研の犯人当てのこと…

円堂都司昭 × 法月綸太郎「ミステリ評論の可能性」@ニコニコ生放送

円堂都司昭 × 法月綸太郎「ミステリ評論の可能性」@ニコニコ生放送 ──メフィスト評論賞創設記念イベント2019 01/24 [Thu] 19:00 ~ 21:30(開場18:00)ゲンロン主催イベント 気がつくのが遅れて、生で参加できなかったトークニコニコ動画で見た。ミステリか…

太田忠司「万屋大悟のマシュマロな事件簿」

太田忠司「万屋大悟のマシュマロな事件簿」 太田忠司「万屋大悟のマシュマロな事件簿」読了。著者のミステリ作家、太田忠司さんは玉井詩織推しのモノノフ(ももいろクローバーZのファン)。この本の主人公は元SPの警備会社社長、万屋大悟。娘が地方都市に活…