下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

8月のお薦め芝居(2005年)



8月のお薦め芝居


8月のお薦め芝居

by中西理



 




 またまた、えんげきのページの★表落としてしまった。なんとか、お薦め芝居だけでも執筆しないといけない。先月のお薦めイチオシだったびわ湖ホールの夏のフェスティバルはチェルフィッチュク・ナウカ白井剛と好舞台続出で見ごたえありだったが、今月はどうだろうか。大阪日記も頑張って更新しているので、ぜひ覗いてみてほしい。




 今月まず注目したいのは平田オリザの代表作「S高原から」を4人の若手演出家が競演する「ニセS高原から」★★★★。なかでも注目は五反田団「ニセS高原から」★★★★ポツドール「ニセS高原から」★★★★である。前田司郎、三浦大輔ともに群像会話劇の書き手として、ポスト平田オリザ(=青年団)の呼び声が高い若手劇作家・演出家だが、彼らが平田とどのように資質の異なる劇作家なのかは平田の戯曲に挑戦することで、より明確になってくるのではないかと思う。この2人は「S高原から」の戯曲をそのまま上演するのではなくて、高原のサナトリウムに滞在する患者とその訪問者の物語という「S高原から」の骨格を借りながらもオリジナルの台本を上演するということで、どんな風に変わるのかが楽しみ。ポツドールはやはり脱ぐシーンがあるんだろうなあ(笑い)。一方、三条会「ニセS高原から」★★★も身体表現系の劇団である三条会がどのように平田戯曲に取り組むのかに注目したい。こちらは戯曲はいっさいいじらないらしいので、そこの対比も面白いと思う。




 関西でもっとも旬の劇団と言い続けているクロムモリブデン「ボーグを脱げ!」★★★★にも注目したい。現実が虚構の後追いをするという予言的な舞台といえば「ふくすけ」「Heaven's Sygn」のころの大人計画(=松尾スズキ)がそうだったが、前回公演の「ボウリング犬エクレアアイスコーヒー」でネットの自殺サイトを利用する殺人狂の話を書いたら、それがついに現実のものとなってしまった。どう考えても、侠気の劇団ともいわれ続けてきたクロムモリブデンの描く世界が現実に起こりうるという状況は異常だともいえるが、引っくり返せば時代がついにクロムに追いついてきたと見ることもできるわけだ。新作のチラシでは剣道の防具をつけた男が女の子に襲いかかろうとしているが、絶対に違う(笑い)。内容は分からないが剣道ものじゃないことは確かだと思う。




 関西では小劇場の若手が大集合してシェイクスピアを上演するHEP HALL Theatre14「夏の夜の夢」★★★★HEP HALL)も注目したい。HEP HALLのプロデュースによるシェイクスピア劇は昨年上演された「Hamlet」に続き第2弾。今回はヒップホップやスカをふんだんに取り入れたミュージカルである。キャストを眺めると遊気舎の久保田浩らの名前もあって、はたしてどのくらい歌えるのか踊れるのかという心配はややあるのだけれど(笑い)、なんといっても「夏の夜の夢」である。おおいに笑って楽しめるものになりそうなことには期待が持てそうである。



 一方、東京では伝説の劇団が復活する劇団健康「トーキョーあたり」★★★★本多劇場)にも注目したい。もっともこちらも方もなんで今ごろ復活をとか、ナンセンスコメディだったとしてもどこがナイロン100℃と違うのかなどいろんな疑問が頭のなかに渦巻いているのではあるが、劇団健康が模範にした(というか、より正確にいえばまんまパクッたモンティーパイソンはブロードウェーでミュージカルとして甦り、トニー賞を受賞するという時代でもあるんだから、なんでもありといえばそうなのかも(笑い)。




 ダンスではトヨタアワード、横浜ソロ&デュオダブルクラウンの東野祥子のソロワークであるBABY-Qロダンス公演 [ERROR CORD /// pclost469hsholecp]」★★★★京都造形芸術大学studio21)も楽しみだ。カンパニーごと本拠地を東京に移した東野ではあるが、今回は京都芸術センターの「演劇計画2001」のラインナップでのひさびさの関西での本公演となる。振付家としての東野にはまだまだ発展途上のところがあるとは思っているが、ダンサー・パフォーマーとしての実力は折り紙つき。今回はソロ公演ということもあり、東野の魅力が存分に堪能できるはず。京都造形大学は遠いなどといってないでぜひ一度見てみてほしい。




 もうひとりのトヨタ、横浜ダブルクラウンが黒田育世。彼女が岡山に登場する黒田育世×松本じろ「モニカモニカモニカ」★★★★@岡山・上之町會舘にも注目したい。残念なのは上の東野の公演と日程がかぶっていて、両方行けそうにはないことなんだけれど、なんとかならないだろうか。





 元ダムタイプで現代美術作家として知られる高嶺格といえば金森穣とのコラボレーションでも話題となったが、今回は初のパフォーマンス作品に取り組む高嶺格パフォーマンス「もっとダーウィン」★★★★にも注目したい。現代美術作家としてはここのところ急速に知名度を上げ、今もっとも旬の人といっていい高嶺だが、舞台作品は未知数。それだけにどんな作品が出来上がってくるのか、期待が膨らむ。





 KUDAN PROJECT「百人芝居 真夜中の弥次さん喜多さん」★★★★も天才、天野天街だからこそ許される究極の馬鹿企画として注目してみたい。どう考えてもリスキーでどうなるんだか心配でならないのだけれど、とりあえず成功・失敗の如何にかかわらず伝説の公演となるであろうことは間違いないだろう。聞くところによると百人芝居といいながら出演者は172人にまで膨れ上がってるらしい(笑い)




 ヨーロッパ企画サマータイムマシン・ブルース2005」★★★★はこれを原作とした映画の封切りを控えての再演でいろんな意味で注目の舞台となりそうだ。映画も試写会で見たが、非常にいい出来栄えで公開が楽しみ。上田誠が自ら脚本を担当したのだが、映画の面白さは原作となる舞台に盛り込まれたアイデアの秀逸さに支えられた部分が多く、その意味で映画を見てあらためて原作である舞台を再評価することにもなった。 




 アサヒビールアートフェスティバルに参加してのトリのマーク(通称)「水と魚の記憶」★★★★にも注目したい。今回は「さかなおとこ、ふねにのる」@水上アートバス「水と魚の記憶-松山」@旧木村家(松山)、「水と魚の記憶-淡路島」@ムクノキ屋敷(兵庫)★★★★と初の日本縦断ツアーの様相。「場所から発想する演劇」のトリのマークが各地方の面白い場所と出会うことでどんなものを生み出すのか、興味はつきない。



 
 演劇・ダンスについて書いてほしいという媒体(雑誌、ネットマガジンなど)があればぜひ引き受けたいと思っています(特にダンスについては媒体が少ないので機会があればぜひと思っています)。特にチェルフィッチュについてはどこかにまとまった形で書いておきたいと思っているのだけれど、どこか書かせてくれるという媒体はないだろうか。
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中西