下北沢通信

中西理の下北沢通信

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藤本由紀夫展「philosophical toys [哲学的玩具]」@西宮市大谷記念美術館*2

藤本由紀夫展「philosophical toys [哲学的玩具]」(西宮市大谷記念美術館)を見る。

藤本由紀夫は1950年名古屋市生まれ。1975年大阪芸術大学音楽学科卒業。1970年代からエレクトロニクスを利用したパフォーマンスやインスタレーションを行い、1980年代半ばからオルゴールなどを用いたサウンド・オブジェの制作を始めました。見ること、聞くことに対する哲学的な問いかけを含んだ作品は高く評価され、2001年、2007年のヴェネツィアビエンナーレに相次いで出品するなど、国際的な活躍を続けています。
また、西宮市大谷記念美術館では、1997年から2006年まで、「美術館の遠足」と題した1日だけの展覧会を開催。美術館の空間を生かした展示とユーモアにあふれた作品は、この10年間、多くの人々に親しまれてきました。
本展では、初期作品から近作まで、藤本由紀夫の代表作約50点を展示することにより、観客を非日常的な体験へと誘う「philosophical toys[哲学的玩具]」の世界を紹介します。

 関西を代表する現代美術作家である藤本由紀夫の個展であるが、実は今回はこの西宮市大谷記念美術館に加え、国立国際美術館(藤本由紀夫展「+/-」)と和歌山県立近代美術館(藤本由紀夫展「関係」)と関西の3つの公立美術館でそれぞれ内容の異なる藤本の展覧会がほぼ同時期に開催されるというとんでもないことになっている。
 この日はあまり時間がなかったこともあってついつい急ぎ足の鑑賞になってしまった。国立国際美術展の方の展示が大規模な新作らしいのでそちらには大いに期待しているのだが、こちらの方は旧作中心とあっていずれもどこかで見たことがあるという作品ではあった。それゆえそれほどの驚きというのはないのだが、「美術館の遠足」の時には人が大勢来ていてけっこう並んだりしてもいるのにこの日は平日の昼間とあって人影もまばら。だから短い時間のなかながら、作品に触って遊び放題というとてもぜいたくな時間をすごせた。ただ、「遠足」がそうだったように子供をはじめとした見る人のビビッドな反応も合わせて作品ということも確か。やはり人があまりいない美術館はさびしく、それゆえ国立国際美術館の展示を見た後でどこかの土日にもう一度ここの展示を見直してみたいと思う。