下北沢通信

中西理の下北沢通信

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高橋悠治×浅田彰「反システム音楽論―ダイアローグとプレイ」トーク+ピアノ演奏

 高橋悠治浅田彰による対談。2人の対話の間に高橋悠治がピアノ演奏をした。演奏された曲目は、エリック・サティ「グノシェンヌ5番」、高橋悠治の「アフロアジア的バッハ」、ジョン・ケージの「チェス・ピース(Chess Pieces)」、ジェルジ・クルタークの小品がいくつか。高橋悠治の「アフロアジア的バッハ(bachiana afroasiatica)」は「パルティータ第6番」のフレーズを高橋が再構築したものでバッハを題材にしながらほとんど現代音楽にしか聞こえないのが興味深いところだ。ジョン・ケージの「Chess Pieces」はチェス盤をモチーフにした作品。1944年、ニューヨークのJulien Levyギャラリーで、マルセル・デュシャンマックス・エルンストマン・レイイサム・ノグチら当時を代表するシュールレアリストらによる「The Imagery of Chess」という展覧会が開催された。ジョン・ケージもこの展覧会に出展を依頼され、「Chess Pieces」という題名の絵画を出品した。この絵画は会場で買い取られて長年行方がわからなくなっていたが、2005年、ニューヨークのイサム・ノグチ美術館が「The Imagery of Chess」の回顧展を開催したときに所在が判明。この絵画で描写されている音楽は実際に演奏できるのではないかとマーガレット・レン・タンという人がここから再現したのが「Chess Pieces」。ケージにこんな曲があったというのは初耳だったが、そんな経緯があるのにもかかわらずけっこう聴きやすい曲で二重にびっくりさせられた。今年1月にレンタン自身の録音によるCD*1は出ているみたいだが、クルタークという人の作品はいずれもはじめて聴いたが音楽俳句とも呼ばれる短い作品集。オマージュなど。
最後は「鳥の歌」をピアノ曲に編曲したもので「最後だから、これね」みたいな感じで弾いて終わったのだが、そうか最後だから「トリのうた」なのか。ダジャレじゃんか(笑い)。