下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

「踊りに行くぜ!!」in松山*5@STUDIO MOGA

「踊りに行くぜ!!」in松山(STUDIO MOGA)を観劇。

出演=
じゅんじゅん「瞬きの音」振付・出演 じゅんじゅん
赤丸急上昇「日々是好日」振付・出演:赤松美智代、丸山陽子
ヨシ・ベルグ&オデット・グラフ(イスラエル)「ラビットハビット Rabbit Habit」
振付・出演:オデッド・グラフ、ヨシ・ベルグ音楽:オハッド・フィショフ  衣装:タリア・オルバッハ
信田基「SHIFT」振付・出演:信田基
KIKIKIKIKIKI「サカリバ007」振付・演出:きたまり*1
出演:野渕杏子、花本ゆか、山上恵理、きたまり
音楽:,G 美術:黒田政秀 衣装:園部典子

今年の「踊りに行くぜ!!」はこの松山からスタートである。とりあえず福岡、広島、栗東、前橋、静岡、淡路島は行こうかと思っているのだが、さて今年は何カ所回れるだろうか。最初の「踊りに行くぜ!!」としてはなかなか幸先のよい公演ではなかっただろうか。なんといってもKIKIKIKIKIKI「サカリバ007」がよかった。「サカリバ」は2004年に京都芸術センターによる制作支援事業「クリエイターズ・ミーティング4」で初演された後、何度かの再演を繰り返し2006年にはトヨタコレオグラフィーアワードにも選ばれたきたまりの代表作だが、昨年来のJCDNによるワーク・イン・プログレスで音楽をオリジナルのものと差し替え、メンバーも入れ替わり、振り付けも部分的に大きく変更されるなどほぼ新作である「サカリバ007」へと大きな変貌を遂げた。
 昨年のトヨタアワードの時など以前見た印象と比較すると野渕杏子の充実ぶりが素晴らしい。それ以降にこの作品のメンバーに加わった花本ゆかも最近きたまり振付のデュオ作品「Twin」などで場数を踏んだせいか、成長ぶりが著しい。以前はきたまりがあまりにも出演メンバーのなかで突出していて、悪目立ちをしてそちらにばかり目がいってしまい、作品全体としてのバランスに欠いていた印象が否めなかったのだが、今回は4人のアンサンブルがバランスよく仕上がり、それでいてそれぞれの個性の違いがはっきりと分かる作品に仕上がった。今後、巡演によりステージを重ねてより熟成していけば昨年のKo&Edge Co.(東京)「DEAD 1+」のようにこの作品が今年の「踊りに行くぜ!!」の白眉となりそうな予感もたっぷりで、今後がますます楽しみである。

*1:きたまりインタビューhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000118