下北沢通信

中西理の下北沢通信

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今月のお薦めアート 現代美術二等兵展「駄美術ミュージアム」@HEP H

今月のお薦めアート 現代美術二等兵展「駄美術ミュージアム」@HEP HALL(告知)
 現代美術の世界では「笑い」というのは一種のタブーなのか? 実際には展覧会を見に行くとくすぐりの笑いというか、思わず笑ってしまう作品も多いのだが、一度そういうレッテル(ネタモノとか、お笑いとか、関西系とか)を貼られると被差別的な境遇に置かれて、なかなかまともには取り扱ってもらえないような雰囲気が美術界には感じられる。私が以前から関係してきたアート分野である演劇やダンスでは「笑い」に特化した表現というのはそのなかで重要な1ジャンルをなしてきたからこれはどういうことなんだと思ってしまう*1。そんな中で関西を中心にあえてそれを表現の主要構成要素にと標榜するアーティストたち出てきていて、彼らは「展覧会の穴」(2005年)*2、「美術のボケ」(2007年)*3とグループでの企画展のようなものを行っていて、個人的に彼らの活動には注目してきたのだった。
 そうした中で「お笑い現代美術」の代表的な存在といえそうなアートユニット、現代美術二等兵(籠谷シェーン&ふじわらかつひと)が商業施設内にあるメジャーなスペースであるHEP HALLで個展を開くというのはある意味、画期的なことであり、美術ファンにとってもそれ以外の人にとっても必見であることは間違いない。実はほぼ時を同じくしてもうひとりの雄である木内貴志の個展「キウチビデオフェスティバル2008 〜VHSからDVD-Rへ〜」*4も開催されることになっており、こちらの方にも注目してみたい。もっとも老婆心ながら、HEP HALLはメジャーな場所で最近は「森山大道展」「梅佳代展」「黒田武志展」などアート関係の展示にも力を入れてきているのだが、KPOキリンプラザのように現代美術の世界の本丸に近いところに存する施設ではないため、ここで個展をやるということが結果的に現代美術の世界からのアウトサイダー化を決定的なものとしないかと危惧しているのだが。まあ、そんなことはどうでもいいか(笑)。
 

【概要】現代美術二等兵展「駄美術ミュージアム」@HEP HALL

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お菓子に”駄菓子”があるように、

美術界に”駄美術”があってもいいじゃない?

昨年ユニット結成15 周年を迎え、作品集(「駄美術ギャラリー」マガジンハウス)を出版した、現代美術二等兵(籠谷シェーン&ふじわらかつひと)がお贈りする過去最大規模の展覧会。

自らの作品を『駄美術』と称する彼らの作品は、こけしと鉄アレーをミックスした「こけしアレー」、ミロのヴィーナスが小さめのケースで身をかがめている「狭い…」、七福神が救命ボートで漂流中の「救え!七福神」…など。書籍未掲載作品を含む選りすぐられた駄美術作品100 作を一挙公開。くすくすと笑ってなぜか元気になる“脱力エンターテイメント”です。

チラシ↓

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現代美術二等兵展「駄美術ミュージアム」

日時 2008/8/28(木)- 9/7(日)11:00〜20:00

料金 入場無料

クレジット 主催:HEP FIVE 企画制作:HEP HALL 協力:マガジンハウス

関連サイト・ブログ:

現代美術二等兵

【タグ】

HEP HALLサイトから引用

*1:もっとも笑いの即した表現が作中にでてくるとそれだけで受けを狙っているとか、エンタメとか言い出す旧弊な人たちがいないわけではない

*2:http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20050516

*3:http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20071026

*4:http://www.sky.sannet.ne.jp/works/