下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

ジャブジャブサーキット「死立探偵」@ウイングフィールド

ジャブジャブサーキット「死立探偵」(ウイングフィールド)を観劇。

第47回公演
『死立探偵』  草案:北村想/作・演出:はせひろいち
出演  栗木己義 小山広明 岡浩之 咲田とばこ 中杉真弓 岩木淳子 荘加真美 くまのてつこ 鳥岡寿江 なかさこあきこ はしぐちしん(コンブリ団) ほか

 平田オリザらが90年代半ばから開始した群像会話劇に「関係性の演劇」の呼称を使用したのはそれらの舞台の多くが複数の登場人物の会話のなかから、人物間の背後に隠された関係性を浮かび上がらせるという共通の特徴を持っていたからだった。代表的な作家としてはもちろん平田の名が筆頭に挙げられるが、それ以上に活発に創作活動を展開していたのが弘前劇場長谷川孝治、桃唄309の長谷基弘、そしてジャブジャブサーキットのはせひろいちで、半分ダジャレの感もあるけれども彼らを称して関係性の演劇の三銃士ならぬ「三ハセ」と呼んでいた時期もあった。
 彼らの劇作は共通の特徴を持っていたが、もちろんそれぞれに大きな方向性の違いもあった。ジャブジャブサーキットのはせひろいちに関して言えばこの三人のなかでは特に90年代当初のスタイルにおいてはほとんどの作品が現代あるいは近未来に舞台を設定した群像会話劇であったという点で上記の三人のなかではもっとも平田と近いスタイルをとっていたともいえるが、はせの場合その作品の多くがミステリ劇風の様相を見せたように見せ続けていくことのドライビングフォースが「謎解きの構造」にあること。そして、多くの作品においてその謎によって浮かび上がってくる真相のようなものが、現実世界の事実関係のようなものではなくて、一種の「幻想にあること」。つまり、はせひろいちの劇世界は日常会話の劇のスタイルを装った幻想劇であることにその最大の特徴があった。
ジャブジャブサーキット
2001年の演劇ベストアクト/私が選ぶ10の舞台「高野の七福神http://www.pan-kyoto.com/data/review/37-04.html
「動物ダウト」@アイホールhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20040430
「しずかなごはん」@ウイングフィールドhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20041029
「亡者からの手紙」@ウイングフィールドhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20060614
「歪みたがる隊列」@精華小劇場http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20061104
「裸の劇場」http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20080223