いるかHotel「十二夜!ヤァ!yah!」2回目 (大阪芸術創造館)を観劇。
オールフィメール(女優のみで演じる)&関西弁のシェイクスピア喜劇
2007年「間違いの新喜劇?』
2008年「からッ騒ぎ!」
に続く、大好評第3弾!
シェイクスピア喜劇の最高傑作とされる「十二夜」に挑戦!【出演者】
岸原香恵・梁川能希(いるかHotel)
若林ゆい・永津真奈(Aripe/ブルーシャトル)
伊藤えりこ(Aripe/劇団ひまわり)・高畠麻奈(名古屋アクターズスクール)
石井テル子(Micro To Macro)・出野沙織・上條駿河・河部文
辻野加奈恵・藤京子(劇団レトルト内閣)
岸本奈津枝
「十二夜!ヤァ!yah! 」の2回目観劇。1回目の時にはうかつにも気がつかなかったことに気がついてはたとひざを打った。谷演出は「十二夜」=「パタリロ!」だったんだ(笑)。シェイクスピアの「十二夜」を上演するのに確かに面白くはあったのだけれど、オーシーノ(永津真奈)はなぜあのように宝塚のパロディー的な大仰な演技なのか、とかマルヴォーリオ(岸本奈津枝)はなずあんな演技・衣装なのか、その周辺の人物らはあんな風にギャグタッチなんだ、いうような疑問がこの舞台を見終わった後、頭のなかをぐるぐる回っていたのだが、オーシーノ(=バンコラン)、マルヴォーリオ(=パタリロ)という風に要するに主要な登場人物が「パタリロ!」のキャラの見立てになっている、ということのようなのだ。
そういう風に気がついた時にはじめて、演出家がこの舞台に仕込んだいろんな仕掛けが分かってきたような気がして面白かった。シェイクスピアの「十二夜」で少女漫画といえばこれを一種の夢幻劇風ファンタジーに仕立て上げた森川久美「十二夜」があるのだけれど、これが傑作であるのは間違いないところではあっても、ラブコメ、ロマンス劇というところは濃厚でも、マルヴォーリオのくだりのギャグ的な要素がどのように処理されていたのかという記憶が全然ないほどコメディーとしての色合いはそれほど濃いものとはいえなかった。
それとは正反対に谷省吾演出の舞台は少女漫画的な要素を作品のなかに豊富に取り入れながらも、ロマンチックコメディー風ではなく、ギャグ漫画風に仕上げてきたところが谷らしいところかもしれない。そういう風に考えれば、マルヴォーリオ(パタリロ)を取り巻く、レディ・オリヴィア周辺の人物たちなどは冒頭近くでサー・トービー、サー・アンドリューらが「ダーレが殺したコック・ロビン〜」とコック・ロビン音頭*1を歌いながら踊る場面があったようにいかにも3頭身っぽいギャグ漫画の登場人物そのものである。最初に見た時にはこことか、その後のマルヴィーリオに向かって「このパタリロめ」という風につっこみを入れるところなどもあったのにもかかわらず、そのほかにも「ビリケンさん」などととつっこみを入れてるところがあるのに気を取られて、この重ね合わせが作品全体を覆っているというようなことには気がつかなかったのはうかつであった。
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