下北沢通信

中西理の下北沢通信

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南河内万歳一座「S高原から」@こまばアゴラ劇場

作 平田オリザ  演出 内藤裕敬
出演
鴨鈴女 藤田辰也 荒谷清水 三浦隆志 前田晃男 重定礼子 木村基秀 福重友 中津美幸 皆川あゆみ 岡ひとみ 鈴村貴彦 倉重みゆき 手嶋綾乃 松浦絵里 藤川央子 内藤裕敬

スタッフ 
舞台監督:永易健介 美術:加藤登美子 照明:皿袋誠路 音響:堤野雅嗣 
音楽:藤田辰也 大道具:(有)アーティスティックポイント 小道具:重定礼子 
衣裳:高本章子 美術助手:三浦綾子 宣伝美術:長谷川義史 
専属トレーナー:針・骨接ぎ野本 運搬:堀内運送(株) 
制作助手:中津美幸・岡野礼音 制作:奈良歩

 平田オリザの「S高原から」を内藤裕敬の演出で南河内万歳一座が上演した。青年団南河内万歳一座によるレパートリー交換の企画の一環で、前宣伝では“世界一静かな”『青木さん家の奥さん』を、南河内万歳一座は“世界一やかましい”『S高原から』などとしていたが、青年団版「青木さん家の奥さん」が全然静かではなかったようにこちらもいつもの南河内万歳一座と比べると極めて静謐な舞台であり、戯曲がその世界観を規定する力というものを改めて確認させられることになった。
 もっとも内藤の演出は舞台装置などで、多少奇を衒ったところがないわけではなかったが、全体としてはきわめてオーソドックスなもので、この戯曲の肝である入院患者と外側の人間では流れている時間が違い、それが関係性を次第に阻害していくという構造を明瞭に描きだし、その意味で「関係性の演劇」として極めて秀逸な上演であった。