下北沢通信

突劇金魚「幼虫主人の庭」@シアトリカル應典院

作・演出 サリngROCK
上田展壽 蔵本真見 サリngROCK
片岡百萬両(ミジンコターボ) 河口仁(シアターシンクタンク万化
山田将之 一瀬尚代(baghdad cafe) 河上由佳(満月動物園)
重田恵(コレクトエリット) 高島奈々(七色夢想)/かじはらみか(もけもけ)

サリngROCKはOMS戯曲賞大賞を「愛情マニア」で受賞、愛知県主催のAAF戯曲賞優秀賞を「金色カノジョに桃の虫」で受賞した。いわば関西の若手では注目株のひとりで以前から気になっていたのだが、以前に「愛情マニア」を見た後、スケジュールが合わずなかなか見る機会がないままになっていて、ひさびさに見て驚いた。「愛情マニア」は登場人物に若干エキセントリックなところがあり、デフォルメされた設定ではあっても基本的には会話劇といっていいようなスタイルだったのだが……。いつの間にこんな風なファンタジーになったんだろう。
 女性作家の作品でファンタジーということになるとそれだけで苦手意識があって腰が引けてしまうところがあるのだけれど、この物語は「結婚がモチーフ」などと当日パンフにも書いているとおりに寓話的なところはあっても単なるファンタジーではなく、現実にフックがかかっているということがあるので、なんとか興味深く見ることができる。ただ、この舞台にはどうしても、そういう例え話として現実に置き換えていった場合には理解に苦しむところが随所にあって、「だからこそ芝居として面白いのだ」ということもあるのだが、正直言って意味が分らないところもあり、いったいどういう発想をするとそういう風になるのかと唖然とさせられるところも多い。
 その最たるものが片岡百萬両演じる「幼虫主人」の存在である。かつての恋人に去られてから成長を拒否して「幼虫」のままになっている不可思議な存在だが、その後のさなぎのエピソードなども考え合わせると、ここは外国人との結婚を寓話的にデフォルメしたものなのかとも思ったりするのだが、それだけでは説明のつかないところが多すぎて、そんな風に解釈して読み替えていくのがなにかバカバカしいことに感じられていく。
 ちょっとした食い違いから来る夫婦間の齟齬というのは身につまされている部分もあるので、よく分るのだけれど、そういうことを表現したいということとこの表現形態との関係にはどうもどういう必然性があるのかが分りかねるところがあるのだ。困るのはサリngROCKの面白さは「分る」ところではなく「分らない」ところにあるように思われるところで、そういうやっかいな魅力がこの人の作品にはあるのだ。