下北沢通信

演劇批評誌「act」をリニューアル

 8月発刊の20号から、私(中西理)が編集長となり、新体制でAICT国際演劇評論家協会日本センター 関西支部演劇批評誌「act」をリニューアルすることになりました。エディトリアルデザインはKYOTO EXPERIMENT 2011のプレ企画である「パフォーミング・アーツにおける「デザイン」—宣伝美術と舞台美術—」にも参加したデザイナー、松本久木氏が担当、シンプルでシャープなものに一新します。リニューアルにともない近く公式ウェブサイトも立ち上げ、紙媒体に収録しきれなかった部分も完全掲載、フリーペーパーとネットの両輪により展開していく予定です。

 新生「act」では毎回旬の話題を取り上げる特集インタビュー・対談を仕掛けていく予定ですが、今回は「ポストゼロ年代演劇と東日本大震災と題し、関西注目の若手3人(きたまり×杉原邦生×山崎彬)による鼎談を収録、そのほかKIKIKIKIKIKI「ぼく」のクロスレビューなども予定しています。現在8月半ばの発行予定日に向けて編集作業を進行中。
 AICT日本センター関西支部の会員による劇評誌であることはこれまで通りなのですが、いままで以上に新たな若い書き手の発掘・育成を手掛けていきたいと考えています。東京ではポストゼロ年代ともいわれる2010年以降、ままごとの柴幸男、柿喰う客の中屋敷法仁ら若手の演劇人の台頭など新たな動きが目立ち、そうしたビビッドな動きを批評する新たな書き手も現れ、演劇を巡る言論の場が大きく変容しつつあります。関西でも同様の動きが作り手のなかからは現れているのに対し、それを批評する書き手はまだまだ不足しており、批評の場は立ち遅れているのが実情です。ネット媒体なども発達した現在、「書く気があればどこにでも書けるの」も確かですが、特に若いうちは「活動の場」も大切で、その一翼をこの新生「act」が担えればと考えています。

 特に次号(21号)については投稿劇評募集期間が「KYOTO EXPERIMENT」あるいはそのフリンジ企画である「GroundP」開催期間と重なるため、それらの公演を対象とした劇評を鋭意募集します。もちろん、ほかの公演でもおおいに歓迎です。

  

下記の要領で一般からの投稿を募集します。編集部で審査のうえ、優れたものを「ACT」に掲載します。

投稿内容は劇評、時評・発言、海外演劇紹介、書評などジャンルを問いません。ただ、関西支部AICT日本センター関西支部の発行であることを勘案し、関西地区上演の舞台対象の劇評、あるいは関西地区の劇団・作家による公演(東京など他地区のものも含む)、関西在住の書き手による劇評を募集します。

「ACT」には1200字分を掲載、それより長い場合、残りはウェブサイトで収録、全文を掲載します。そのため全体の分量については冒頭部分の1200字分を「ACT」に掲載することを考慮したうえで、1200字の劇評を執筆していただくか、冒頭部分だけの掲載を念頭に長文(2400字以上)の長編論考を執筆いただいてもけっこうです。

・原稿料はお出しできません。
・著者校正はありませんので、完全原稿でお出しください。
・投稿締切は以下の通りです。

「ACT」21号(2011年11月中旬発行予定)掲載 原稿締切日は2011年9月20日
投稿は電子メールでのみ受け付けます。タイトルに【『ACT』投稿原稿】と明記してください。原稿には、氏名(筆名使用の場合は本名も)、連絡先、職業(所属先)を明記してください。投稿宛先  BXL02200@nifty.ne.jp  中西理

『ACT』投稿規定(11.7.17改訂)

act(あくと)創刊のことば
市川明

 劇評家で作る組織AICT(国際演劇評論家協会)日本センター関西支部で劇評誌を発行することになった。関西支部のメンバーは現在十三名だが、みんな無類の芝居好き。関西の演劇・パフォーマンス、舞踏などの上演状況を広く、細かに紹介することで、劇場に足を運ぶ人の数が増えればこれに勝る喜びはない。
 雑誌のタイトルは『act』(あくと)とした。あくとは劇やオペラの「幕」、寄席やショーの「出し物」といった意味だが、広く舞台上の演技や芝居そのものを表す言葉でもある。もちろん「行為」「行動」が原義なのだが、演劇を鑑賞し、評論するという発信行為をこの雑誌を通して続けていきたい。actはまた私たちの組織「アソシエーション・オブ・シアター・クリティク」の略称でもある。

 レパートリーに入った10数本の作品をシーズンを通して日替わりで上演するヨーロッパでは、劇評を見て観劇する人も多い。おのずと劇評家にも高い地位が与えられる。芝居の初日は観客席に劇評家や文化人がずらりと並ぶ緊張の日だ。劇評家は独自の演劇観、独自の文体で評論を展開し、一つの文学・読み物としても読ませる。劇評集を出版し、時代を越えて読まれる劇評家も少なくない。
 黄金の20年代と呼ばれるワイマール共和国の時代、ベルリンは世界演劇の首都であった。演出家のラインハルトとイェスナーのみならず、劇評の世界でも大御所アルフレート・ケル(ベルリン日刊新聞)と若手ヘルベルト・イェーリング(ベルリン株式速報新聞)が火花を散らしていた。初日の幕がはねると、近くのカフェや飲み屋で夜を明かし、朝の6時ごろに配られる新聞の劇評をむさぼるように読んだ人も多いという。

 日本では劇評が出たころには芝居が終わっていることが多い。劇評が一種の文化現象になるような時代は遠い先のことかもしれない。だが少なくとも多くの人を劇場にいざなうような劇評誌を、皆さんに届けたいと思う。もちろん私たちが目指すのは創造者と真摯に向き合い、互いに刺激し、高めあう創造的なコラボレーションである。歩み始めたばかりのactを、リニューアルした全国誌シアターアーツともども暖かく見守ってほしい。
(AICT日本センター関西支部長。大阪外国語大学教授)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/aict/myweb1_013.htm

 国際演劇評論家協会(AICT)とは
 国際演劇評論家協会(AICT)はUNESCO(ユネスコ)の下部組織で、フランス・パリに本部を置く国際的な舞台芸術の評論家のための協会です。
 AICTはフランス語Association Internationale des Critiques de Theatre の略称です。英語ではIATC(International Association of Theatre Critics)となります。
 設立目的は舞台芸術評論を確固たる分野として育成し、その方法論的基盤の発展に寄与することです。舞台芸術―般についての国際会議や交流を奨励し、異文化間の相互理解を深めることに重点を置いて活動しています。

 本部所在地は次の通りです。
IATC/AICT
6, rue de Braque,75003 Paris France
President:Georges Banu
16, rue de Rivoli 75004 Paris France
Tel: 33 1 4277 6523 Fax: 33 1 4277 0965
http://www.aict-iatc.org

 AICT日本センターは1979年から創立準備が始まり、1980年に世界本部に設立報告をし、1981年に第一回総会が開催され、岩淵達治氏が初代会長に就任しました。その後、野村喬、石沢秀二大笹吉雄扇田昭彦の各氏が会長を務め、2006年8月からは西堂行人氏が会長です。事務局長は立木除エ子氏が担当しています。日本センターには、現在、全国約100名の演劇評論家が所属しています。日本で唯一の演劇評論家の全国組織です。