下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

2013年ダンスベストアクト

 2013年ダンスベストアクト*1*2*3 *4 *5を掲載することにした。皆さんの今年のベストアクトはどうでしたか。今回もコメントなどを書いてもらえると嬉しい。

2013年ダンスベストアクト
1,岡登志子×中村恩恵白い夜@両国・シアターX

2,筒井潤構成・演出「女3人集まるとこういうことになる」@京都・旧立誠小学校
3,Monochrome circus「trope」@京都・voice gallery
4,池田扶美代×山田うん「amness」@横浜・神奈川芸術劇場(KAAT)
5,森下真樹×束芋「錆から出た実」青山円形劇場
6,高木喜久恵構成・振付・演出「夢見る装置」@京都・旧立誠小学校
7,MuDA「MuDA G」@京都芸術センター
8,カンパニーデラシネラ「鑑賞者」@池袋あうるすぽっと
9,鈴木ユキオ+金魚「Waltz」@シアタートラム
10,東京Electrockstairs「つまるところ よいん」@横浜・神奈川芸術劇場(KAAT)

 2013年のコンテンポラリーダンスでいぶし銀のような輝きを放ったのは岡登志子(アンサンブル・ゾネ)×中村恩恵白い夜池田扶美代×山田うん「amness」はどちらも国際的なキャリアを持つベテランダンサー同志による共同制作作品だ。
 イリ・キリアンの率いたネザーランド・ダンス・シアター(NDT)で主力ダンサーだった中村恩恵ドイツ表現主義舞踊の拠点であるFolkwang芸術大学舞踊科を卒業後、地方都市である神戸を拠点に独自の活動を続けてきたアンサンブル・ゾネ主宰の岡登志子。ともに東京を中心とする日本のコンテンポラリーダンスの流れとは一線を画してきたという共通点を持つ2人だが、バレエ/モダンダンス(ノイエタンツ)、欧州/日本、東京/関西などダンサー・振付家としての経歴ははまったく対照的だ。
 しかし、岡と中村はアンサンブル・ゾネへの中村の連続しての客演などを足がかりに、一昨年には合同公演を開催するなど定期的な交流を続けてきた。対照的な経歴を持つ岡と中村の共同作業がきわめて興味深かったのは単純に岡が中村に振り付け、中村が岡に振り付けるというような作業を超えて、創作していく過程で互いの振付は次第に渾然一体としてきて、2人のそれぞれの単独の作品では出てこないようなユーモアや洒脱など新たな持ち味が生まれてきているように感じられたことだ。複数の振付家・ダンサーが継続的な共同制作を続けた例としてはフランスのレスキス(ジョエル・ブーヴィエ&レジス・オバディア)が有名だが、大人ならではのダンスの魅力を発揮して、その誕生以来30年を経過しているコンテンポラリーダンスの歴史と広がりそのものを感じさせるこの2人の共同作業も「レスキス」のようなユニット名をつけて継続的活動をしてほしいと感じた。
 一方、ローザスの池田扶美代と山田うんによる共同制作作品「amness」もほぼ同じ振付を対位法のようにずらして踊る振付ながら、つなぎにグラウンドポジションを多用する山田に対して、そうした動きがほとんどない池田などと振付に対する2人のダンスの処理の仕方がまるで違うのが面白かった。こちらも若い人たちでは出せないダンサーとしての年輪が生み出す重厚さのようなものが動きひとつひとつのディティールから浮かび上がってきて、ダンスの魅力の本質がそれぞれの身体が生み出す動きのニュアンスの多彩さのなかにあるということを改めて感じさせた。こちらも継続して次の作品も見たいと感じさせた共同制作だった。
 ダンス企画としては京都のきたまりがプロデュースしたDANCEFANFARE(ダンスファンファーレ)が充実した内容を見せてくれた。きたまりはこの前年に「We Dance」の京都版である「We Dance京都」の企画の中心的存在となり、多田淳之介「RE PLAY」などの秀作が生まれるきっかけを作ったがDANCEFANFAREはその続編的な企画。今回はdracomを主宰する演出家、筒井潤の構成・演出による「女3人集まるとこういうことになる」が抜群の出来栄えであった。
 

*1:2006年ダンスベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20061229

*2:2007年ダンスベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20080102

*3:2008年ダンスベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20090111

*4:2009年ダンスベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20091224

*5:2010年ダンスベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20101229/p1