下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

ももいろクローバーZライブビューイング「ももいろ夜ばなし第二夜『玄冬』」

セットリスト
1:空のカーテン
2:太陽とえくぼ
3:涙目のアリス
4:Hello,Again〜昔からある場所〜(My Little Lover) /高城れに
5:宙船(そらふね)(TOKIO) /百田夏菜子
6:もしもピアノが弾けたなら(西田敏行) /有安杏果
7:卒業(尾崎豊) /玉井詩織
8:DNA狂詩曲 MC:ゲスト久米明・ゲスト辛島美登里
9:たしかなこと(小田和正) /ももクロ&辛島美登里
10:サイレント・イヴ( 辛島美登里) /佐々木彩夏&辛島美登里
11:ピンキージョーンズ
12:CONTRADICTION
13:ゲッダーン!
MC:バンドメンバー紹介
14:Rock'n Rouge(松田聖子) /佐々木彩夏
15:星空のディスタンスALFEE) /高城・百田・玉井
16:永遠のトリニティー(てんかすトリオ) /有安杏果
17:ノーサイド松任谷由実
18:Z女戦争
(以下アンコール)
19.宙飛ぶ!お座敷列車(辛島美登里ももクロ)
20.オレンジノート
21.いつか君が
22.灰とダイヤモンド
ED.久米明 朗読(大きな古時計)

 「ももいろ夜ばなし」の第2弾。 アコースティックの生演奏によるダンスを排したライブコンサートというのが、一応のコンセプトだが、前回がフォーク村の試練を受けてということもあり、フォークが主題となっていたのに対し、今回はカバー曲への挑戦とはいいながらもう少し間口を広げてきた。
いつのライブでもその時だけの驚きがあるのがももクロのライブの魅力だが、そういう意味では定番以外の初披露の演目が満載のこの日のライブは見所たっぷりだった。
なかでも、最大の驚きは玉井詩織尾崎豊の「卒業」を熱唱してこと。もちろん、3月には高校卒業を控えているための選曲には違いないが、それだけだったら尾崎の名前が出たからというわけじゃないけど斎藤由貴の「卒業」でもいいじゃないか。玉井詩織に関しては2曲のソロ曲 「愛ですか?」「涙目のアリス」もそうだし、フォーク村で歌わせた「少女人形」も正統派女性アイドル路線だったから従来の延長線上であればそちらの方がむしろふさわしいところではあるが、ここであえて尾崎をぶっこんできたのはももクロらしいという言い方をすればその通りなのだが、「そんなバカな」と驚いた。ただ、パフォーマンス自体はそれまでとまったく傾向が違い男装のかっこいいしおりんという新境地を出していて卒業を機会にした*1もう一段の脱皮を予感させるうまく歌うのではなくて、歌に生の感情を乗せるといった器用であるがゆえに玉井詩織が苦手としていた部分をクローズアップさせたパフォーマンスで、今後の玉井の覚醒を予感させるものだったと思う。
 一方、「卒業」とは異なり、いままでの延長線上ではあるが、ネタとしての完成度の高さに思わず大笑いをさせられたのが高城・百田・玉井の3人がアルフィーの3人を演じた「星空のディスタンス」。これはかなり鉄板の出来栄えだったので、TVのどこかの番組でかならず再演があるはず。
 有安杏果の「もしもピアノが弾けたなら」は西田敏行そっくりの衣装を着てのコピー(パロディー)で、その意味では「林檎殺人事件」などと同じ流れ。運営としては次の大物ターゲントとしてどこか時点で西田敏行との共演を狙っての仕掛けだろうと思うし、内容も悪くはないが杏果推しとしては「せっかくのこういう機会にネタ要員かよ」との不満は残る1曲。やや不満が残ったが、その不満を解消する以上の嬉しい驚きだったのはてんかすトリオ「永遠のトリニティー」のソロ版の披露。曲のパフォーマンスも流石を思わせるものでよかったが、それ以上に嬉しかったのは「俺の藤井」での天かすトリオによる初披露後、これはこの時だけのもので音源化を含めて発表の予定はないという風にしていたのが、少なくともももクロ陣営ではお蔵入りはさせないつもりの意思をはっきり確認できたことだ。
所属レコード会社がそれぞれ違うなど音源化には依然課題は残るが、テレビなどでの披露がひょっとしたらどこかの時点であるのかもしれないとの可能性を残すソロ版披露だった。それにしてもももクロでは抑えている(あるいは抑えさせられている)リミッターをはずした時の歌唱のポテンシャルの高さを再確認させるような圧倒的な力を有安杏果は見せたと思う。
(続く)  

*1:まだ実際には高校卒業まで少しあるのだが。