下北沢通信

中西理の下北沢通信

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『経済成長なき幸福国家論ー下り坂ニッポンの生き方』毎日新聞出版刊@平田オリザ・藻谷浩介 刊行記念スペシャルトーク

『経済成長なき幸福国家論ー下り坂ニッポンの生き方』毎日新聞出版刊@平田オリザ・藻谷浩介 刊行記念スペシャトーク

登壇:平田オリザ・藻谷浩介


低成長ニッポンの「国家論」と、下山の時代を生きるための「幸福論」を、平田オリザ、藻谷浩介両氏が徹底的に語り尽くした対談本の刊行を記念し、スペシャトークを開催。

経済成長は人口増加がもたらすもの。イノベーションが経済成長に役立つことはありえないという筆者らの論点はすべて納得するということはしかねるものの、一定程度以上の説得力を感じた。
 ただ、この日のトークはほとんどすでにこの著書に出ている論点を巡ってのもので、著書を読む前にトークを聞いたので面白かったが、後で著書を読んでみると著書にすでに書いていたことばかりじゃないのと思ってしまったことも確かだ。
ただ、この著書の編集者でもある司会者の進行には不満が残った。このタイミングで平田オリザに聞くことがあるとしたらまず何より「自らもその発足の一翼を担った民主党(民進党)の分裂をどう思うか」ということだったはず。そして平田自らその話を始めた途端に「質問の時間もあるから」とそれを遮った司会ぶりは何なのだろう。
主催者は毎日新聞だから「政局のことは話させるな」とかの指図はありそうにないのだが、そういう勘繰りがしたくなる発言の遮り方だった。
さらに質問時間になってからは立て続けに福島関連の質問ばかりがされて、何となく政局のような話を突っ込みにくい雰囲気のままトークショーは終わった。トーク自体は面白かっただけになぜあそこで平田の発言を遮りながら、質問の時間に遮った発言を再開するように促さなかったのか、釈然としなかったのだ。それにしてもこのタイミングでトークの客が政局の話をまったく質問しないのにもびっくりした。ここに聴きにきている人々は普通は政治意識が高そうなのものだが、そういう人たちが立憲民主党にも希望の党にもここまで何の興味もないということが今の現実なのかもなとも思った。そうはなって欲しくないけれどこれなら衆院選自民党の圧勝かもしれないと思ってさえしまったのである。