下北沢通信

中西理の下北沢通信

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新訳『ゴドーを待ちながら』リーディング公演@早稲田どらま館

新訳『ゴドーを待ちながら』リーディング公演@早稲田どらま館

作:サミュエル・ベケット
訳:岡室美奈子
演出:宮沢章夫

出演:上村聡、善積元、大村わたる、渕野修平、小幡玲央、井神沙恵

リーディング公演と銘打っているが、台本を朗読する朗読劇というわけではない。リーディングということから井神沙恵が通常は読まない「ト書きを読む人」として出演していて、文字通り舞台上に椅子に座っていて、台本を開いてト書き部分を読み上げる。
 他の配役は「リーディング公演」といっても台本を手に持って舞台に登場はするものの椅子に座ってセリフを読むというわけではなく、例えば冒頭部分からしてエストラゴン(かウラジミールだったかもしれない)は脱げない靴を脱ぐためにはいている靴と格闘するしこれは文字通りの「リーディング」公演というよりはそういう体の演出といっていいほどだ。
 聞くところによるとサミュエル・ベケット著作権者は上演が戯曲の通りになされることに厳しくて、原戯曲を変更したような上演を許容しないようだから、うがった見方をすれば「これはそういうこともあって公演(興行)ではなくて、「リーディング」であるという体にしたかったのかもと考えたくなるほどだ。
 上演自体はセリフの一部をラップに変えていたりしてかなり斬新である。見ていて笑いが起こるところが多いし、俳優の演技も軽やかでスラップスティック。きわめて「いま」を感じさせる舞台に仕上がった。