下北沢通信

映画「ブレードランナー 2049」@新宿TOHOシネマズ

映画「ブレードランナー 2049」@新宿TOHOシネマズ

スタッフ
監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ
製作 ブロデリック・ジョンソン 、 アンドリュー・A・コソーヴ 、 バッド・ヨーキン 、 シンシア・サイクス
製作総指揮 リドリー・スコット 、 ティム・ギャンブル 、 フランク・ギストラ 、 イェール・バディック 、 ヴァル・ヒル 、 ビル・カラッロ
原案 ハンプトン・ファンチャー
脚本 ハンプトン・ファンチャーマイケル・グリーン
撮影 ロジャー・ディーキンス
音楽 ヨハン・ヨハンソンベンジャミン・ウォールフィッシュハンス・ジマー
編集 ジョー・ウォーカー
キャラクター創造・原案 フィリップ・K・ディック
プロダクション・デザイン デニス・ガスナー

キャスト
Rick Deckard ハリソン・フォード
Officer K ライアン・ゴズリング
Lt. Joshi ロビン・ライト

1982年公開の映画「ブレードランナー」の続編。「ブレードランナー」が2019年11月のロサンゼルスを舞台にしていたのに対し「ブレードランナー 2049」は表題どおりにその30年後の未来を描いている。
 「ブレードランナー」の原作はフィリップ・K・ディックSF小説アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」だが、アンドロイドとは何か、人間とは何かとの哲学的な問いからアンドロイドが普及した未来社会に流布する新興宗教のようなものまで登場して、きわめて思弁的な内容の原作に対し、映画「ブレードランナー」はディック特有のそういう難解な思想のようなものをばっさりと切り捨て、物語的にはレプリカントとそれを追うブレードランナーの活劇に徹し、その代わりに美術的にはキッチュで猥雑なそれまでには見たことがないような未来社会のビジュアルを全面展開。「2001年宇宙の旅」などが定着させた機能美に溢れた清潔な未来社会像を覆して、その後のSF映画の映像に大きな影響を与えた。
 映画史、SF史的に見ていくと「ブレードランナー」はまず士郎正宗攻殻機動隊」に影響を与える。その系譜に押井守によるアニメ映画「ゴースト・イン・ザ・シェル 攻殻機動隊」があり、それがウォシャウスキー兄弟(姉妹)の「マトリックス」などハリウッド映画にも強い影響を与えた。
 先日上演された米国版「ゴースト・イン・ザ・シェル」にはビジュアル面で「ブレードランナー」の強い影響が見られ、語弊のある言い方だということを承知で言えば原色に溢れ、アジア的でかつ無国籍的な美術にはCGなど最新技術によりリメイクされた「ブレードランナー」の焼き直しの感覚が免れ得なかった。
 実を言えば逆に「ブレードランナー2049」はよりモノトーンな画面が基調となっていて、そういう既視感はなかった。

ブレードランナー ファイナル・カット(字幕版) (プレビュー)
街並みや雑沓、盛り場のような場所のイキイキとした光景が描かれるということはなく、画面は薄暗く、終始雨が降っているような印象がある。カリフォルニアといえば青い空だが、そういう印象は「ブレードランナー」からして少なかった。
 これは単純に明るい未来という楽観的な未来観をもはや我々が持ちにくくなったことの現れでもあり、遡ればディックが提出した未来観からしてそういうものであった。薄暗いモノトーンの街並み、主人公がひとりで住んでいる孤独感溢れるアパートとその周辺の殺伐とした空気はむしろ押井守版アニメ「ゴースト・イン・ザ・シェル 攻殻機動隊」を連想させる。
 ただ、興味深いのは今回の映画ではVR版のAI人格であるジョイが登場するのが新たな点だろうか。これは現実にもそれに近いものが近い将来に現れそうだが、アメリカだなと思わせるのはこれがバーチャルでありながら、リアルに人間と変わらない造形となっていることだろうか。もしこれが日本なら押尾はリアルな造形としているけれど、これはアニメキャラや初音ミク的なものになっているのではないだろうか? サービスを受容するのも人間ではなくてレプリカントであるため、そのあたりがどうなっているのかが分からない。