下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

KAC Performing Arts Program 2017/ Contemporary Dance 国際共同製作 『RE/PLAY Dance Edit』(多田淳之介構成・演出)@京都芸術センター

KAC Performing Arts Program 2017/ Contemporary Dance 国際共同製作 『RE/PLAY Dance Edit』(多田淳之介構成・演出)@京都芸術センター

演出多田淳之介振付・出演きたまり、今村達紀、Sheriden Newman、Narim Nam、Chanborey Soy、Aokid、斉藤綾子、吉田燦


演出 多田淳之介 / Junnosuke Tada(Director)

1976年福井県生まれ、神奈川県、千葉県育ち、埼玉県在住。演出家。東京デ
スロック主宰。古典、現代劇、ダンス、パフォーマンス作品まで、言葉、身
体、観客、時間によるその場での現象をフォーカスした作品を創作。全国
の公立文化施設、教育機関でのアウトリーチや創作、アジア、ヨーロッパ
での海外共同製作など「地域密着、拠点日本」をモットーに活動する。2014
年韓国の第50回東亜演劇賞演出賞を外国人として初受賞。2010年より富
士見市民文化会館キラリふじみ芸術監督、2015年より高松市アートディ
レクターを務める。


きたまり / Kitamari

1983年岡山県生まれ、大阪府育ち、京都府在住。17歳から舞踏家・由良部正美の元で踊り始める。2001年から2005年まで「千日前青空ダンス倶楽部」のダンサー(芸名・すずめ)として活動。京都造形芸術大学 映像・舞台芸術学科 在学中の2003年より「KIKIKIKIKIKI」主宰。2013年より「Dance Fanfare Kyoto」を企画しダンスシーンの活性化や舞台芸術における身体の可能性を追求するプロジェクトを多数開催。2016年よりマーラーの全交響曲をダンス化するシリーズを開始し「夜の歌」で平成28年文化庁芸術祭・舞踊部門 新人賞受賞。


今村達紀 / Tatsunori Imamura

1981年愛媛県生まれ、京都府在住。演劇の延長上にダンスを始める。2008年から京都に移りe-danceの活動にダンサー、振付家、tuba奏者として関わる。毎日一回どこかで息を止めて踊る「無呼吸」プロジェクトでSeoul Dance Center International Artist in Residence Program に選出。


Sheriden Newman / シェリデン・ニューマン

オーストラリア出身。シンガポール在住。New Zealand School of Danceを2006年に卒業後、オーストラリアのQueensland University of Technology(舞踊学士)を2010年に修了。2011年よりシンガポールのMaya Dance Theatreに参加し、国内外で幅広く活動。中国南陽文化祭、デリー国際芸術祭(2012)、ジョグジャ国際舞台芸術フェスティバルほか、多数のフェスティバルに参加。近年ではHuman Expression Company’s CONTACT festivalの一端を担い、DiverCity2014にも参加している。


Narim Nam / ナリム・ナム

カンボジアの著名な舞踊一家に生まれ、9歳から伝統舞踊を学ぶ。2004年にプノンペンの王立美術大学で振付芸術学部学士号、2009年に韓国芸術総合学校にて振付修士号を取得。現在はカンボジア国立劇団の一員であり、プノンペンに拠点を置くコンテンポラリーダンスのプロダクション、Amrita Performing Artsの主要なメンバーである。
現代舞踊の新作に数多く参加しており、Arco Renz(ドイツ)によるカンボジア現代舞踊『CRACK』、Peter Sellarsのオペラ作品『PERSPHONE』などに参加。Amrita Performing Arts、LASALLE College of the Arts(シンガポール)、台湾の国際若手振付家のプロジェクトへの振付も行っている。


Chanborey Soy / チャンボレイ・ソイ

2002年から2011年まで芸術の中等教育課程にてLakhaon Khaol(カンボジアの古典的な男性マスクダンス)を学ぶ。2011年から2015年にThe Royal University of Fine Artsの学士過程(振付)を修了。SovannaPhum Arts Associationとともに巨大人形影絵を用いた作品を制作・出演。並行して自身の作品を発表、『Lights and Shadow』ではヨーロッパ、ベルリンへのツアーを行うほか、Amrita Performing Artsのアーティストとともに制作したコンテンポラリーダンス作品の上演等、国際的に活躍している。


Aokid / アオキッド

1988年東京都生まれ、東京都在住。14歳の頃よりブレイクダンスを始める。2008年まで日本を代表するブレイクダンスチーム廻転忍者の一員として活動。東京造形大学映画専攻在学中より、イベントやパフォーマンス、コンテンポラリーダンスとしての上演作品制作などを始める。東京ElectrockStiars作品参加などを経て、アーティスト橋本匠との共作『フリフリ』が2016年横浜ダンスコレクションコンペティションⅠ審査員賞を受賞。現在、aokid city、どうぶつえんなどのプロジェクトやイベントを室内や野外でそれぞれ進行している。


斉藤綾子 / Ayako Saitoh

1990年大阪府生まれ、大阪府育ち。現在も大阪府在住にて、関西を拠点に活動。幼少より踊り始め、大阪芸術大学舞台芸術学科舞踊コース卒業。在学中に望月則彦作品『カルメン』でカルメン役を踊る。卒業後は「斉藤DANCE工房」に所属しながら、サイトウマコト、高野裕子、素我螺部、今中友子、きたまり/KIKIKIKIKIKI などの作品に出演。サイトウマコト作品では振付助手を務める。2016年より益田さちとのユニット「...1[アマリイチ]」での活動を始める。


吉田燦 / Yoshida Sun

1998年静岡県生まれ、静岡県育ち、静岡県在住。6歳より前田バレエ団にてクラシックバレエを始め、15歳よりgrand-Gee-groovyにてヒップホップ・ソウルダンス・ロックダンスを始める。2013年より静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center : SPAC)主催、カメルーンの振付家メルラン・ニヤカム作品『タカセの夢』『ANGELS』の2作品に参加し、カメルーン公演・韓国公演・国内公演に出演。2016年には西アフリカのブルキナファソにて、アフリカンダンスのワークショップに参加。その他、京都・福岡等で国内外の振付家のワークショップ等に参加し、国内及び海外作品出演を目指している。

 現在のコンテンポラリーダンスの最大の問題点はダンスというジャンルが「踊るダンス」と「踊らないダンス」に分離してしまい本来このジャンルが持っていた渾然とした魅力やエネルギーを失ってしまったことではないかと思っている。
 どういうことか。「踊るダンス」という表現はおかしな感じがあるが、日本のコンテンポラリーダンスの世界の大きな問題はその作家のほとんどがダンサーであり、それゆえダンスを創作した場合に往々にして「踊ること」=「作品」になってしまう。私はある時期にコンテンポラリーダンスを普及するためのNPOであるJCDN(ジャパン・コンテンポラリーダンスネットワーク)が主催する「踊りに行くぜ!!」という企画の地方選考会をいくつも見てまわった時期があった。
、そこで往々にして起こっていた問題は応募作品のうちかなり多くの作品が「自分が踊る」ということに対する問いがまったくなくて、ダンサーとして踊りたいように踊っているという類の作品であることだった。
 こうした事情の反動からか、東京で増えてきたのが「ダンスという存在そのもの」をいろんな形で問い直そうと言う作品。これにはこうした問題意識による作品を特定のダンス作家が製作し、近い考えを持った批評家ないし製作者がそれを称揚するというサークルがあり再生産により、その少数のインナーサークルに属さない大部分の観客を置き去りにしていくということが起こっていた。
  つまりここにおいて一番の問題点はパフォーマンスとしてのスペクタクル性をすべて排除してしまっていることで、アウトプットとしての作品が本来ダンスが持っていた「踊り」を見るという魅力を排除して、見世物としての根源的な面白さを失ってしまうということが引き起こされた。
 ではそのどちらにも属さないとしてどんな選択肢が残されているのか。多田淳之介は以上挙げたどちらにも組みせずに「スペクタクルとしてのダンス」をただダンスと言う行為の意味を思考せずに踊っているだけという風にはせずに観客に批評的に提示するという枠組みを創造した。
(続く)