下北沢通信

中西理の下北沢通信

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ゆく桃くる桃!第1回ももいろ歌合戦 ももクロカウントダウンライブ完全生中継

ゆく桃くる桃!第1回ももいろ歌合戦 ももクロカウントダウンライブ完全生中継


蒼い星くず

ももクロカウントダウンライブ「 ゆく桃くる桃!」は2部構成で、第1部は大物を含むゲスト歌手を招いての「第1回ももいろ歌合戦」、第2部はダウンタウンももクロバンド(DMB)も入ってのももクロのガチンコライブでこの途中で夏菜子のエビ反りジャンプでのカウントダウンが入った。

ここでは詳細を説明することはしないがももクロと彼女らを率いる川上アキラはデビュー以来ずっとこの芸能界を支配する「大人の事情」で総称されるような何かと戦い続けてきた。今回の「第1回ももいろ歌合戦」はおそらく、ももクロ紅白歌合戦から正体不明の落選ではじき出されて以来考えられていたもので、これまでのももクロの活動の集大成とでも言っていいものだった。

 ももクロには何の後ろ盾もないが、そうした中で生き残っていくための最大の戦略は個人と個人とのつながりであり、今回ももいろ歌合戦にはさだまさし加山雄三氣志團田中将大小林幸子らが参加したが、これらはすべて個人と個人の信頼関係で参加してくれたのだ。

 考えてみれば横浜アリーナ2DAYS(2012年)で1日目2日目と内容をガラリと変え、1日目「ももクロ春の一大事2012 〜ももクロ☆オールスターズ〜」には通常はアイドルグループが招くことはありえないようなベテランミュージシャン・芸人(ザ・ワイルドワンズ青空球児・好児横森良造)を招き、昭和的なバラエティー要素満載のステージを展開。翌日は一転して「ももクロ春の一大事2012 〜見渡せば大パノラマ地獄〜」と題して円形ステージでのガチンコライブを敢行したが、今回の第1部「第1回ももいろ歌合戦」、第2部「ももクロカウントダウンライブ」の2部構成は数段グレードアップした水準において、6年弱の年月を経て、この時やろうとした「アーティストとしての振り幅を見せる」(佐々木敦規)という演出意図を再び実行したものだ。

 さらに言えばメンバーも次々入れ替わってしまうから、ファンとアイドルという関係以外にはなりにくい女性アイドルグループにおいて、そうではない関係性を培ってきたのがももクロの特色で、しかもそれを1回性のものとはせずに一度培った関係は次へとつなげる。実は今回参加してくれたアーティストの中には本格的な共演はこれが初と言う人(指田フミヤ、大黒摩季米良美一水前寺清子)もいたわけだが、例えば大黒摩季ももクロとのコラボを気に入ってくれて「曲を提供したい」と言ってくれたことなど、例え本人に若干はサービストーク的な意味合いがあったとしてもももクロ陣営は絶対に聞き逃さないはず。水前寺清子が「これは5回、10回と続けていくことが大事」と言ってくれたことなどは今回の最大の収穫だと思う。
一方で10代に人気の井上苑子や演歌系の新人の塩乃華織も参加したが、彼女たちは今回は紅白に選ばれていないが、今後いつお呼びがかかってもおかしくない存在だろう。
今回は矢口真里森口博子、松本明子ら地上派テレビではバラエティータレントとしてしか遇されていない元アイドルにフル尺で持ち歌を歌わせたのはよかったと思う。「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~2015ver.」でアニソンの歌い手としての貫禄を見せつけた森口博子はもちろんよかったが、この日の白眉と思わせたのは矢口真里ももクロのメンバー3人を従えて歌い踊った「恋愛レボリューション21」。人気アイドルグループの看板メンバーだった実力はだてではないと見せ付けた。もともとモー娘。の熱烈なファンでもあった3人も一緒に出来た嬉しさが伝わってくるパフォーマンスだった。
 ももいろ歌合戦についてテレビ関係の仕事をしている知人は所詮あれはお遊びで「紅白歌合戦」のパロディーだからというようなことを話していて、彼の考え方が全てではないだろうけれど「テレビ関係者の反応はやはりその程度なんだな」という点では予想通りだった。
とはいえ、私は今回のももいろ歌合戦はももクロ陣営が現在できる範囲で「私たちの考える紅白歌合戦」を体現させてみたものであり、けっして紅白のパロディーではないと思う。
東京03角田晃広を出演させた前半はともかく、後半は紅白歌合戦を何度も経験しているベテラン勢が並ぶ。そんな中でも本人が歌いたい歌をフル尺でとのコンセプトもあり、紅白では絶対に歌うことがないであろう「存在理由」を小林幸子が、ラップ版の「蒼い星くず」をももクロサイプレス上野らを擁して加山雄三が歌うというのはももいろ歌合戦だからこそできたことだろう。
ももいろ歌合戦はほぼ明確に「NHK紅白歌合戦」に喧嘩を売っていたけれど、一方でももクロカウントダウンイベント終了後すぐにさだまさしが「朝まで生さだ」を収録中の両国国技館に向かいNHKの同番組に出演、リハなし生歌で「走れ!」を披露した。ももクロが理不尽な理由ではじき出された現体制での紅白歌合戦とは一線を引きながら、NHKと喧嘩するわけではないと明確化したのはよかったと思う。現に夏菜子の朝ドラ出演に続き、1月5日開始のNHKドラマ「女子的生活」では玉井詩織が主人公の友人役で出演するわけだし、「グレートトラバース 3」には引き続き応援団的な役割で出演。すでに収録済みのJ-MELOライブも来月にはNHKワールドほかで放送される予定で、NHKとの関係自体が疎遠になっているわけではないからだ。ここから先は単なる憶測にすぎないが、紅白復帰はともかくとしてJ-MELOライブやMTVアンプラグドなどの実績を武器にしてももクロが次に標的としているのは「SONGS」じゃないかと思う。この番組これまでアイドルはほとんど出演したことがなく、しかも製作総括がももクロを紅白が紅白から外れた年に紅白の担当だった人じゃないかと思うので、大きなハードルはあるはずだが。

 


概要
パシフィコ横浜国立大ホールから3年連続でももいろクローバーZカウントダウンライブ完全生中継!海側ロビーでのガチンコ3・栗本柚希無料コンサートも夜7時から独占中継

「ゆく桃くる桃へのカウントダウンコンサート」ガチンコ3愛来鈴木萌花・雨宮かのん・栗本柚希・コアラモード・奥澤村はちみつロケット


<内容>
ももいろ歌合戦出演ゲスト=井上苑子大黒摩季加山雄三氣志團小林幸子サイプレス上野ロベルト吉野・指田フミヤ・さだまさし・塩乃華織・水前寺清子・松本明子・米良美一森口博子ももいろクローバーZ田中将大東京03飯塚悟志



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第1回ももいろ歌合戦

ももクロ
01. サイプレス上野とロベルト吉野「ぶっかます」
02. ももいろクローバーZ「何時だって挑戦者」
03. 塩乃華織「イエスタディにつつまれて」
04. 松本明子 with れにメイツ「♂×♀×KISS」
05. 指田フミヤ & Kanakoo「花になれ」
06. 大黒摩季 feat. ももいろクローバーZら・ら・ら
07. 小林幸子「存在証明」
08. 加山雄三 feat. ももいろクローバーZサイプレス上野とロベルト吉野「蒼い星くず」

田中将大
01. 氣志團「乙伝説 ~月末ビンボー ももいロックンローラー乙のテーマ~」
02. 井上苑子「だいすき。」
03. 角田晃広東京03)「ろくなもんじゃねえ」
04. 森口博子「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~2015ver.」
05. 矢口真里 with 佐々木彩夏玉井詩織高城れに恋愛レボリューション21
06. 米良美一 & TeddyLoid with 有安杏果もののけ姫 2018 feat.米良美一
07. さだまさし feat. ももいろクローバーZほか「たくさんのしあわせ」
08. 水前寺清子「いっぽんどっこの唄」

・オールキャスト「三百六十五歩のマーチ
ももクロカウントダウンライブ with ダウンタウンももクロバンド」

01. 仮想ディストピア
02. 行くぜっ!怪盗少女(曲途中でカウントダウン)
03. ゴールデンヒストリー
04. 夢の浮世に咲いてみな(KISSポール・スタンレー、ジーン・シモンズの応援メッセージに呼応)
05. BLAST!
06. 走れ! -Z ver.-
07. Z女戦争
08. MOON PRIDE
09. 天国の名前
10. サラバ、愛しき悲しみたちよ布袋寅泰の応援メッセージに呼応)
11. 今宵ライブの下で
12. 白金の夜明け