下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

高城れにソロコンサート「まるごとれにちゃん」LV@EXシアター

セットリスト
M01:まるごとれにちゃん(新曲)
M02:好きだ。 (Little Glee Monster)
M03:好きな人がいること (JY)
M04:病名恋ワズライ (HoneyWorks feat.Megpoid)
M05:White Love (SPEED)
M06:なんでもないや (RADWIMPS)
M07:君のようになりたい (Little Glee Monster
M08:スターダストセレナーデ ゲスト:高木ブー
M09:はい!もしもし…夏です! (ORANGE RANGE
M10:金曜日のおはよう (HoneyWorks)
M11:最強パレパレード
M12:ハッピー☆彡 (久住小春)
M13:残酷な天使のテーゼ (高橋洋子)
M14:realize (Melody)
M15:てをつなごうよ (まこみな)
M16:RPG (SEKAI NO OWARI)
M17:Believe (合唱曲)
アンコール
EN1:co・no・mi・chi (Buono!)
EN2:しょこららいおん ゲスト:高木ブー
EN3:一緒に(新曲)
EN4:3月9日 (レミオロメン)

 ももいろクローバーZの高城れにが第3回となるソロコンサートを「まるごとれにちゃん」と題して神奈川県民会館大ホールで開催した。生でのライブ観戦はできなかったが六本木EXシアターのライブビューイング会場でライブの模様もリアルタイムで見ることができた。
 今回の最大の売り物はこれまで2回のソロコンサートではなかったバンドを迎えて生演奏でのライブとしたことだろう。このバンド(「まるごとれにちゃん」バンドと呼ばれていた)がすごくよかった。全員女性でももクロとはこれまであまり関わりのなかった人たちなのだが、演奏技術は相当に高くてソリッドな音を出していた。当面はまた登場するとしてもれにちゃん関係のイベントの限定となるかもしれないが、ダウンタウンももクロバンドのような大編成のバンドの参加が難しいツアーなどでは起用してみるのは面白いのではないだろうか。
これまでのソロコンやフォーク村などでも歌ったことがなかったようなタイプの曲を大量投入してきた挑戦的なセットリストも今回のソロコンの魅力だ。なかでも驚かされたのはセカオワの「RPG」を歌ったこと。これがちょっと歌ってみましたのレベルではなく自分の歌としてちゃんと歌いこなせている。

ももクロセカオワの接点はこれまであまりなかったけどこのレベルなら持ち歌のレパートリーとして歌えるし、いつかコラボもしてほしいなと思った。
ライブは新曲「まるごとれにちゃん」で始まった。後ろには3Bjuniorのメンバーを従えセンターポジションで歌い踊るれにちゃん。ダンスの感じがいつもと少し違うと思ったら、この歌のダンスの振付はいつもの石川ゆみではなく、親父ダンサーズのパパイヤ鈴木だという。フォーク村で自分でも踊った恋ダンスのように振りコピして皆に躍ってもらいたいというのだが、本当にもしそうなら地上波のテレビで見られるわけじゃないのだから、自分で「躍ってみた」の映像をどこかに上げるとかしないと踊れないよ、れにちゃん。
もうひとつのポイントは高木ブーが特別ゲストで出演してくれて「スターダストセレナード」とアンコールでは「しょこららいおん」と2曲を一緒にやったこと。高木ブーもちょっとした会話のやりとりに覚束ないところもあって歳をとったなあとも思ったが、そこがまた単なる仕事だけじゃなくてれにちゃんのことを本当に可愛がってくれてるんだなとほっこりした。今度はれにちゃんがウクレレ演奏もしてまた共演するって約束もした。
こういう出会いと付き合いを一過性のものとはしないで大切にしていくというのが、ももクロのよさだし、ドリフターズというのはSMAP、嵐と並んでももクロの大事な目標なのだから、高木ブーさんいつまでも元気な姿見せてほしいなと思った。

そして受け継いでいくといえば3Bjuniorの頑張りも目立った。前から一緒に出てはいるのだけど彼女たちも自分たちも単独でのライブで経験を積み出しているし、日産スタジアムのような夢の舞台に上るのも勉強にはなるだろうけど、今回のような自分たちももうちょっと頑張れば手が届きそうな大きさのホールで、先輩がどういうステージングをするのかを文字通り間近に体験できたというのは本当に得難い時間だったと思う。


 セットリストに戻ろう。前半はアイドル曲風の曲想と思われた曲が続いた。れにちゃんはアイドル曲好きだから私はアイドル曲に疎くて分からないけれどハロプロか48グループの支店の曲かなと思いながら聴いていたのだが、Little Glee Monsterリトグリ)が2曲、HoneyWorksが2曲。これもどちらもこれまでのれにちゃんが歌う曲にはなかったラインの曲だ。もっともリトグリはひょっとしたらどちらか1曲ぐらいは聴いたことがあったのかもしれないが、原曲はアカペラのハーモニー曲なのを3bjuniorを従えて、アイドル風に歌ったため、私にはアイドル曲に聞こえた。

 SPEEDの「White Love」はずっと以前からももクロに歌ってもらいたいと考えていた歌だったのだが、その場合のメインボーカルはももかなこを想定していたのでここでれにが歌ったのには驚いた。最高音部分には声ができってない領域があるにはあるのだが、それでもこれだけ歌えていることに感激。れにがこれだけ歌えるならちょうどツインボーカルだから推され隊で歌ってほしいなあ。れにの沖縄公演もありちょっと期待しちゃうけどひとり議員になってしまったから厳しいかな。沖縄といえば「はい!もしもし…夏です! 」(ORANGE RANGE)も歌ってたのね。こちらは沖縄でほぼ確実に歌うだろう。ちょうど時期的にもぴったりだし。

 情報が前後してしまいが、この日は今年の7月9日にれにのソロ企画が沖縄・今帰仁村にある今帰仁城跡にてソロイベントを開催するということも発表になった。ライブだけではないイベントのようなのだが、以前から沖縄にはこだわっていたからこれは非常にいい話だと思う。場所が世界遺産だからどう考えてもももクロ側で場所を探して実現したというものじゃなさそうなイベントだがどういう枠組みで実現に至ったのだろうか。
 こちらもどこかで聴いたことがあるがどういう曲か思い出せないと聴きながら思っていたRADWIMPS「なんでもないや」もよかった。上白石萌音もカバーしているとはいえこれも「RPG」 (SEKAI NO OWARI)と同様に男性ボーカルのバンドの曲であり、生バンドを背負ってのこういう曲もいけるんじゃないかと思ったのも新しい発見だった。
 「残酷な天使のテーゼ」についてはカラオケではよく歌ってるんだろうなというこなれ具合ではあったが最後の高音のロングトーンがちょっと厳しかったか。これも一度推され隊で歌ってほしい。
 これも聴いている時は誰の曲かはわからなかったが、セットリストで確かめてBuono!の曲が入っていたのも「あ!」となった。今年はももちが引退して愛理もCuteが解散するわけだけれど、その前にフォーク村に呼んで何か一緒に歌ってほしい。
高城れにのソロコンは今回3回目だったが、当日パンフに本人が書いていたように今回は杏果、あーりんのソロコンを踏まえての初めての本格的なソロコンと言っていいだろう。バンドを入れたのもそうだし、ただ好きな歌を並べるというカラオケの選曲的なセットリストを脱して明らかに自分の歌世界を拡げようという試みもあり、れにがここまで歌えるということになれば今後のももクロの楽曲にも影響を与えるものになっていたのではないか。杏果が以前から熱望している推され隊の新曲の作詞にも挑戦してほしい。