下北沢通信

映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」@新宿TOHOシネマズ

ゴースト・イン・ザ・シェル
Ghost in the Shell
監督 ルパート・サンダース
脚本 ジェイミー・モス(英語版)
ウィリアム・ウィーラー
アーレン・クルーガー
原作 士郎正宗攻殻機動隊
製作 アヴィ・アラッド
アリ・アラッド
スティーヴン・ポール(英語版)
マイケル・コスティガン
製作総指揮 石川光久 藤村哲哉 野間省伸 ジェフリー・シルヴァー
出演者 スカーレット・ヨハンソン ピルー・アスベック(英語版)ビートたけし ジュリエット・ビノシュ マイケル・ピット チン・ハン ダヌーシャ・サマル ラザルス・ラトゥーエル(英語版) 泉原豊 タワンダ・マニーモ
音楽 クリント・マンセル
ローン・バルフェ(英語版)
撮影 ジェス・ホール(英語版)
編集 ニール・スミス
ビリー・リッチ(英語版)
製作会社 ドリームワークス
リライアンス・エンターテインメント
アラッド・プロダクションズ
上海電影集団公司(中国語版)
フアフア・メディア


 つまらないわけではない。だけど少し物足りないのだ。例えばどこかキッチュで無国籍ながらアジア的な未来社会の描写が「ブレードランナー」の焼き直しのように見えてしまうのは確かだ。もちろん、映像技術の進歩などもあいまって「ブレードランナー」に登場した巨大なビデオスクリーンが今回は巨大ホログラム映像に変わるなどそれなりの変化はあるのだが、印象が大きく変わることはなかった。映画「ブレードランナー」(1982年公開)は本当に衝撃的だった。だが、あれから35年もたっているわけで今そう見えるのはちょっとまずくないかと思った。
 とはいえ、もともと原作の士郎正宗攻殻機動隊」自体が映画「ブレードランナー」およびその原作であるフィリップ・K・ディックの影響を受けて誕生している。その系譜に押井守によるアニメ映画「ゴースト・イン・ザ・シェル 攻殻機動隊」があり、それがウォシャウスキー兄弟(姉妹)の「マトリックス」などハリウッド映画にも強い影響を与えているわけだ。とはいうものの「ブレードランナー」みたいという感想は押井守監督による「攻殻機動隊」の続編「イノセント」でもすでに感じていたことでもあった。
 この実写映画は押井守のアニメ映画の実写化というわけではなく、士郎正宗攻殻機動隊」という同じ原作を基にした創作といういわば親子ではなく、兄弟姉妹の関係にある。「攻殻機動隊」は日本アニメを代表する作品だっただけにこの作品への注目度はかなり大きくて、それゆえ「どこか物足りない感」が残るのかもしれない。ないものねだりと言われようともやはり今まで見たことがなかった斬新なビジュアルを期待してしまうからだ。
 映画は「ゴジラ」「ドラゴンボール」の米国版実写化のように噴飯物の出来栄えということでもないし、原作に忠実でオーソドックスな実写化といえるし、それなりに楽しめもする。主人公を日本人(アジア人)が演じないことはホワイトウォッシュだと米国では議論になったようだが、映画を見てみた限りは作品内できちんとそうなる説明もしてあって、そこはあまり問題にならないし、演技自体をいえばスカーレット・ヨハンソンは好演していたのではないかと思う。ビートたけし北野武)の出演も滑舌に問題があり、何言ってるか分からないじゃないかという「戦場のメリークリスマス」同様の指摘も当たってはいるが、その存在感はこの映画に重厚感を与えることに確実に寄与していたと思う。