下北沢通信

shelf「アラビアの夜」@CLASKA

それはあるマンションの何気ない日常空間のはずだった。夏の夜、フランツィスカの同居人ファティマがいつものように帰宅する。マンションの9階以上の断水の理由を調べに管理人のローマイアーが訪れる。高層マンションの8階。フランツィスカはシャワーを浴びていた。彼女は何故か、仕事から帰ると夜毎ソファで眠りこけ、記憶を亡くす。部屋に訪れる2人の男。向いのマンションに住むカルパチ、ファティマの恋人カリル。現実的な世界に、象徴的なイスラムの幻想空間が入り込む。ファンタジーとリアルの境界が融解する。

shelf volume 24
Die arabische Nacht|アラビアの夜
[会場]CLASKA 8F "The 8th Gallery"
[日程]2017年6月2日(金)〜5日(月)

[作]ローラント・シンメルプフェニヒ(Roland Schimmelpfennig)
[翻訳]大塚直
[演出]矢野 靖人
stage performing rights: S. Fischer Verlag Frankfurt/Main

[出演]川渕優子 / 森祐介 / 沖渡崇史 / 横田雄平 / 井上貴子

 アラビアンナイトに材をとったドイツ作家の現代戯曲を翻訳上演した。5人の人物が登場するが、全員がモノローグで語るのが面白い。
二人の女が暮らす8階建てのマンションを舞台にある日の夜のそこでの出来事が語られるが最初同時進行であると思われていたそれぞれの登場人物の体験する出来事が時に出会うと思った人物が同じ場所にいるはずなのにすれ違ったり、アラビアンナイトの幻想空間にからめとられたり。時空がずれているのかパラレルワールドなのか。
日本に暮らす身としてはアラビアンナイトを下敷きとするリアリティーが実感としてはよく分からない。眠り続ける女を演じた女優に雰囲気があった。ローラント・シンメルプフェニヒという人は初めて見た作家だが、この作品を見ただけではどういう作風の広がりがあるのかがいまひとつ分からないところがあり、別の作品もいくつか見てみたいと思わされた。