下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

東京×こふく劇場「島」@こまばアゴラ劇場

東京×こふく劇場「島」@こまばアゴラ劇場

作・演出:永山智行(劇団こふく劇場)
出演

日髙啓介(FUKAIPRODUCE羽衣) 福寿奈央(青☆組) 柳沢茂樹  大池容子(うさぎストライプ) 佐藤祐香
スタッフ

舞台監督:橋本慶之 
照明:工藤真一(ユニークブレーン)  
音響:松田幹
制作:髙橋知美(Q’s Link)
プロデュース:佐藤祐香

クラシックのソロピアノ曲にある日の2組の家族(夫婦)の情景を描き出したモノローグ。これに太田省吾を思わせるようなスローモーションの動きが組み合わさっていく前半の構成はなかなか面白くはあるのだが、こういう削ぎ落としたような表現を志向するのであれば音楽、言語テキストともにやや素朴(ナイーブ)でセンチメンタルにすぎるのではないかと思わざる得ない。
 しかもこの日は超満員であったがうえに客席の空気と作品の志向性が不釣合いに映った。
私は最後部の客席であったがゆえにか、窮屈な客席状況であったこともあり、周辺の観客が明らかに集中力を失って舞台を見ずに下を向いたままでいたり、体を前後に揺すっていたりしたのが気になってあまり舞台そのものに集中することができなかった。ここがちょっと厳しいところだが、そういう前衛的な演出に不慣れな観客の存在を度外視し、舞台そのものについていえば舞台自体はもっと言語的テキストや既視感のある音楽を排除して、ただゆっくりとしたパフォーマーの動きに宿るディティールのみに特化してもよかったのではないかと思う。
 後半も童話めいた文学的テキストや童謡みたいな歌はいらなかったのではないか。明らかに陳腐で興ざめしてしまった。震災だけではないが、死(彼岸)と生(此岸)を分かつボーダーを象徴するイメージはビビッドな部分があるのだからセンチメンタルな要素は極力排除すべきだったのではないかと思う。