下北沢通信

中西理の下北沢通信

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マームとジプシー「BOAT」@東京芸術劇場プレイハウス

マームとジプシー「BOAT」@東京芸術劇場プレイハウス

会場:東京芸術劇場プレイハウス
出演
宮沢氷魚 青柳いづみ 豊田エリー 
川崎ゆり子 佐々木美奈 長谷川洋子 
石井亮介 尾野島慎太朗 辻本達也 
中島広隆 波佐谷聡 船津健太 山本直寛 
中嶋朋子

作・演出:藤田貴大(マームとジプシー)
日程:2018年7月16日(月・祝)~26日(木)

それほど似ているというわけではないのにチェルフィッチュ「現在地」を想起させたのはどちらも青柳いずみが出演しているからであろうか。もちろん、どちらも3・11を想起させるような怪現象(「現在地」は湖が干上がり湖から謎めいた宇宙船が出現する。「BOAT」では町に無数のボートが降り注ぐ)が起こってその世界が終末を迎えるような予感を漂わせる舞台であること。
 その滅びへの過程で住民間の対立が起こる。それによって人死にがでるようなカタストロフィーが引き起こされる。以上のようにいくつもの共通点がある。ただ、舞台のタッチや物語の展開の仕方などを考えると岡田利規と藤田貴大の作家としての資質の違いというか、むしろ相違点の方が目立つ。演劇としてのスタイルでいうと「現在地」はかなり保守的な会話劇の様式に近かったが、「BOAT」には野田秀樹的なスペクタクルの要素を強く感じた。