下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

たこ虹(たこやきレインボー)夏の東西野音2DAYS「RAINBOW SONIC 2018」@東京・日比谷野外音楽堂

たこ虹(たこやきレインボー)夏の東西野音2DAYS「RAINBOW SONIC 2018」@東京・日比谷野外音楽堂

たこやきレインボー「RAINBOW SONIC 2018」
2018年8月12日 日比谷野外大音楽堂 セットリスト


01. ダイビング
02. かえして!ニーソックス
03. 絶唱!なにわで生まれた少女たち
04. なにわのはにわ
05. Whoop It Up!
06. サンデーディスカバリー
07. TACOYAKI's burning
08. まねー!!マネー!?Money!!
09. どっとjpジャパーン!
10. サマーゴーランド
11. survival dAnce ~no no cry more~
12. ナナイロダンス(アコースティックVer.)
13. ほなまたね サマー
14. ナンバサンバイジャー
15. ちゃんと走れ!!!!!!
16. オーバー・ザ・たこやきレインボー
<アンコール>
17. シャナナ☆
18. たのしかしまし大阪~おいでやす~
19. RAINBOW~私は私やねんから~
<ダブルアンコール>
20. ナナイロダン

たこ虹は歌、ダンスなどさまざまな要素で今年に入って急成長を遂げている。昨年9月の「オオサカアイドルフェスティバル2017 in TOKYO」以来約1年ぶりに日比谷野外音楽堂(収容人数3,119人)に帰ってきたが、あの時はネタものという制約もあり、フリーハンドでの完全燃焼がしにくかったこともあるが、今回はなにわンダーランドたこ虹バンドとのバンドセッション、DJKOOを迎えてのクラブセッションとライブパフォーマンス力の高さを存分に見せ付け、スタダ4姉妹のなかでもももクロはともかく、シャチエビに劣らぬ実力を持っていることを示してみせた。
 たこ虹の面白さはマネジャーの番長を中心にセルフプロデュースを旨にセットリストなどもメンバーの意見を取り入れてライブを制作していると思われるところで、最近のライブを見ても「夏S」「ももクロマニアの外周パーク」と今回の日比谷野音ではまったく違う印象を与えるセトリで挑んでいる。逆に言えば今年の春には曲調においていままで以上に広がりのある新アルバムも出したことで長い間レパートリーの核となってきた「絶唱!なにわで生まれた少女たち」「なにわのはにわ」などのヒャダインの旧作をやらなくてもいろんなセトリが組めるだけの自由度が持ち曲に出来たことがあるのだと思う。
 「夏S」ではそのうち「虹色進化論」「Whoop It Up!」とアイドル曲というよりはガールズ・ポップ・グループというような色彩の強い楽曲を並べて、一部ファンから強い批判の声を受けた。ところが今回の野外ライブではおそらく批判を受けたからはずしたというのではなく、こうしたどちらかというと盛り上がりではなく、音楽として聴くという曲を野外ライブという特性も考えて、はずした。新しいたこ虹の象徴として最近のライブではセトリの中心となっていた「虹色進化論」「卒業ラブテイスティ」を完全にはずしてしまったのが面白い。
 さらに驚かせたのは冒頭2曲に「ダイビング」「かえして!ニーソックス」という結成したもののまだ自分たちの持ち歌がなかった時代にカバーしていた曲を持ってきたことだ。これには一瞬、昔を思い出させ、古参の虹家族を「あのころはちっちゃくて可愛かったなあ」と和ませるようなところがあったが、ここでの油断は死を招く(笑い)。
 ここからはなにわンダーランドたこ虹バンドの演奏で「絶唱!なにわで生まれた少女たち」「なにわのはにわ」から「Whoop It Up!」「サンデーディスカバリー」「まねー!!マネー!?Money!!」と新旧を取り混ぜながら怒涛のパフォーマンスが続く。日比谷野外音楽堂に集まったほぼ満員の観客を殺しにかかるようなセットリストだった。
 さらに続いてはバンドがステージからはけるのとほぼ同時に今度は彼女たちにとっては所属レーベルavexでの大先輩でもあるDJKOOが登場。「どっとjpジャパーン」、何これという歌なんだけどもともとDJKOOとの共演で出した曲だけあって一緒にやるとやはり盛り上がる。そのままナナイロダンスに突入かと思って待ち構えていると何と「survival dAance ~no no cry more~」に続いた。この曲を聴いて感心させられたのはさすがavex所属と言うかこういうノリのいい曲を歌った時のたこ虹のメンバーの歌唱力の高さだ。
 以前数年前にフォーク村の公開放送に小室哲哉とマークパンサーがゲストで来た時にTMNETWORK、trf、grobeの楽曲をももクロメンバーがひとりずつカバーしたことがあったが、その時点で楽曲完璧にこなしていたのは杏果だけで、あーりん、れにちゃんは大苦戦していたのを記憶しているが、この日のたこ虹は冒頭でひとりづつソロ歌唱をつないでいくような歌割りでもこうした楽曲をほぼ全員が自分のものとして歌いこなしていて、不安定さが微塵もない。もちろん、最近フォーク村にたこ虹が来て「桃色空」を歌った時にはれんれんが緊張でガタガタになっていたから、何でもこなせるわけじゃないのも確かだが、ダンス音楽系の楽曲ではすでにももクロ以上の技量を見せている時もあるといっていい。
 一方、バラードなどではやはりももクロに一日の長があるといっていいが、この日は見せ場のひとつとしてアコースティックギターと竹上良のフルートで、アンプラグド版としてバラードに編曲した「ナナイロダンス」を披露。新境地も見せた。 本編は再び「ちゃんと走れ!!!!!!」、デビュー曲の「 オーバー・ザ・たこやきレインボー」と懐かしめの曲で締めくくり、新旧のバランスのとれたプログラムとなったのではないだろうか。
 続いて、アンコールはカバー曲ではあるが、野外で盛り上がる「シャナナ☆」、けっこう珍しいのではと感じた「たのしかしまし大阪~おいでやす~」の後、いまや「なないろダンス」と並んでたこ虹のレパートリーの中心曲に位置づけられている「RAINBOW~私は私やねんから~」で締めくくった。同曲はヒャダインの楽曲ではあるがノベルティソングの色彩が強い昔のヒャダインと異なり、LGBTをテーマにしたメッセージ性の高い楽曲。ヒャダインがアイドルの楽曲としてあえてこれを持ってきたことにもある意味驚きながらもぐっときた部分があり、もちろん、世間的には今でもヒャダインの代表曲といえば「怪盗少女」になるのではあろうが、個人的にはこの「RAINBOW~私は私やねんから~」とももクロの「Hanabi」はヒャダインの最高傑作だと思っている。
 このライブの最大のサプライズといっていいのはアンコールもその後のちょっとした挨拶も終わり、場内に終了のBGMが流れた後に急遽のダブルアンコールがあり、この日はアコースティックVerをすでにやっていたから、残念だけれどもうないなと諦めていた「ナナイロダンス」をバンド演奏付きで披露したことだ。BiSHで知られる松隈ケンタ作詞作曲のダンスナンバー「ナナイロダンス」はavexメジャー契約後のデビュー曲ということもあって発表時にはたこ虹はavexに魂を売ったのかなどとそれまでのファンから大反発を受けたが、現在はライブで盛り上がる定番曲として先に書いたように「RAINBOW~私は私やねんから~」と双璧のセットリストの柱となっている。この日のライブはダンスを完全に廃したアコースティックVerで、この日ならではのスペシャル感という意味ではよかったし、全体の出来栄えも満足できるものではあったが、最後の最後に披露されたこの曲は例えてみればジグソーパズルで最後のピースが見事にはまったというような満足感があった。simokitazawa.hatenadiary.jp