下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

『アタシノアシタ』(得居幸)@新宿プーク人形劇場

『アタシノアシタ』(得居幸)@新宿プーク人形劇場

Hanbun.sato.coワールドへようこそ
コマ撮りアニメーション×ダンス×音楽
約2万枚の絵が織りなす繊細で美しいアニメーションを生み出す山内知江子。ダンスと芝居の狭間を自由自在に行き来するコンテンポラリーダンサー得居幸。どこの国ともつかない歌声や音で風景を奏でる中ムラサトコ。三人の女達が占う「アタシノアシタ」は、アナタノアシタを映し出す。摩訶不思議で力強く美しいパフォーマンスは、アシタを生きる全ての人への贈り物。

■2018年11月16日(金)19:00開場 19:30開演
 横浜  山手ゲーテ
 (横浜市中区山手町254岩崎ミュージアム地階 tel.045-623-2111)
 チケット予約:
  山手ゲーテ座 tel.045-623-2111
         http://www.iwasaki.ac.jp/museum/

■2018年11月17日(土)19:30開場 20:00開演
 新宿南口 プーク人形劇場
 (渋谷区代々木2-12-3 tel.03-3379-0234)
 チケット予約:
 プーク人形劇場 tel.03-3379-0234
         watanabe@puk.jp

■チケット料金
 ¥3500(中学生以下¥1500)前売
 ¥3800(中学生以下¥1800)当日
 (※未就学児無料)
 (収益の一部を西日本豪雨災害の義援金として寄附します)

■お問い合せ
 ハンブンコ:090-8287-7166

松山市に拠点を置くダンスカンパニー「yummydance」のメンバーで、トヨタコレコレオグラフィーアワードのファイナリスト(最終候補)にもノミネートされた振付家、ダンサーの得居幸がアニメ作家の山内知江子共同制作した新作を上演。

やぎさんゆうびん

アタシノアシタ Hanbun.Sato.co: ダイジェスト

yummydanceは愛媛県松山市に本拠地を置く、コンテンポラリーダンスカンパニー。地方の集団だが2000年代にはトヨタコリオグラフィーアワード*1のファイナリスト常連で全国屈指の水準のダンス集団だった。ただ、トヨタコリオグラフィーアワードなどで目にしなくなって以降は東京での公演の機会も減り、それゆえ現在は知名度も以前ほどは高くない。 
 そのためか会場には東京のダンス関係者と見受けられる姿はそれほど見かけることはなかったが、内容は得居らしいもので、コンテンポラリーダンスの愛好者や現代美術の愛好者らこの作品が本来正当な評価を訴求すべき客層にちゃんと届いているのかどうかが心許ないのを少し残念に思った。
今回の作品「アタシノアシタ」はダンサー・振付家である得居とコマ撮りアニメーション作家の山内知江子(この2人でHanbun.coというアートユニットを結成している)と音楽家の中ムラサトコによる共同制作作品。
 舞台は中ムラサトコの即興による生演奏・歌唱から始まるが、それに山内知江子のアニメが加わり、最期にパフォーマー・ダンサーである得居幸も一緒になって、独自の世界観を構築していく。オリジナルの音楽、アニメの完成度は非常に高くて、そうであるがゆえに下手をすればアート臭の強いとっつきにくい作品にもなりかねないところだが、それを救っているのが得居幸の観客とのコミュニケーション力の高さである。
 途中で観客を次々と舞台に上げていく演出があり、この日はそれが非常にうまくいった。会場が人形劇の劇場だということもあってか客席前方に子供スペースが設けられていたのだが、途中の静かな曲想の音楽に合わせて得居が動くところなどではソロのコンテンポラリーダンスとしては練りこまれた場面ではあったが、子供たちには少し退屈だったようで「長いよ」などという声も一部漏れていた。だが、子供たちのうちの一人の母親や外国人の観客など比較的ノリのよさそうな観客を選んで舞台に上げて得居と一緒に演技をするようになって以降は子供たちも喜んでしまって超興奮状態で盛り上がりであった。観客を巻き込んでいく卓越した能力に感心させられた。
 音楽、アニメ、ダンスとパッケージとしての完成度の高さからもこの作品は海外のマーケットにも売り込むことのできる作品じゃないかと思う。