下北沢通信

中西理の下北沢通信

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劇団こふく劇場「ただいま」@駒場東大前こまばアゴラ劇場

劇団こふく劇場「ただいま」@駒場東大前こまばアゴラ劇場

作・演出:永山智行

姉の夫はひとり暮らし。
そんな義兄のすすめで、30歳を前に独り身のあさ子は、お見合いをすることになった……
――豆腐職人の男、文具店に勤める女、主婦、仕事を探す女、
そんな市井の人々の、かけがえない日々の物語。

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2015年、宮崎県都城市に拠点を置く劇団こふく劇場は25周年を迎えました。折しも戦後70年の年。
決して安穏と25年を過ごしてきたわけではありませんが、この25年の間に、何が失われ、何が生まれたのか、わたしたちは、ほんとうにしあわせになったのか、九州の片隅でそんなことを考えながら生まれたのがこの作品「ただいま」です。

―――あれから2年。けれど、「地方」に暮らすわたしたちにとって、2年前の問いは、さらに切実なものとして、ここにあります。
だからわたしたちはまた旅をすることにしました。


1990年宮崎県都城市で結成。以降活動を全国へと広げる一方、宮崎県内の二つの町(門川町・三股町)の文化会館のフランチャイズカンパニーとして、ワークショップ、小学校巡回公演、町民参加作品の創作や演劇フェスティバルの企画などを担っている。また、2007年からは障害者も一俳優として参加する作品づくり(みやざき◎まあるい劇場)をはじめ、質の高さ、活動の社会的な広がり、その両面から高く評価されている。

撮影 税田輝彦
出演

あべゆう かみもと千春 濵砂崇浩 大迫紗佑里 中村幸(劇団ヒロシ軍)
スタッフ

音楽:かみもと千春
照明:工藤真一(ユニークブレーン) 
音響:出井稔師
舞台美術:満木夢奈(ユニークブレーン) 
衣裳:あべゆう
チラシデザイン:田村さえ(灯台とスプーン)
題字:中前俊星
制作:大迫紗佑里・髙橋知美(Qs Link)

 劇団の代表作なのだろう。見ている途中ですぐに以前この同じ劇場(こまばアゴラ劇場)で見ていたことに気がついた。山田太一であるとか、ひと時代前の古きよき日本映画にも通じるような作風。作品の背後に流れる戦争体験の影。舞台の完成度は高いし、こういう舞台を高く評価する観客層がいることは十分に理解できる。
 ただ、私には現代演劇として刺激を受ける部分はなく退屈に感じてしまった。以前から思っていることなのだが、私は普通に演劇として受容されているようなものは出来のよし悪しに関わらず苦手なのかもしれない。さらに言えばこの舞台は描かれていることの内容の今ここからの乖離を感じてしまったからかもしれない。私には人間感があまりに昔風すぎるということもあるかもしれない。