下北沢通信

中西理の下北沢通信

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平田オリザ・演劇展vol.6青年団 『ヤルタ会談』(2回目)@こまばアゴラ劇場

平田オリザ・演劇展vol.6青年団ヤルタ会談』(2回目)@こまばアゴラ劇場

キャスト
松田弘子 島田曜蔵 緑川史絵

  「ヤルタ会談」はスターリンルーズベルトチャーチルという巨人とでもいうべき歴史上の人物を青年団を代表する巨体の俳優に演じさせた。彼らが大音声で口角泡を飛ばして争いあう姿を見せることで戯画的に第二次世界大戦後の世界の様相を見せるというのは通常の平田オリザ作品とはかなり異なる色合いながらも、ある関係性を提示することでそれと相同的な関係にある別の関係性を連想させるという「関係性の演劇」の手法を駆使したものともなっている。
  巨体の人物たちが争う姿は単純にきわめておかしい。それぞれのキャラも漫画的だし、見ていておかしいからドタバタ喜劇(スラップスコメディ)として笑えるのだが、その一方で彼らの言動はきわめてリアルに戦後世界のパワーポリティックを映していることが分かってくる。そこにはちょうどチャップリンの「独裁者」や「モダンタイムズ」にも相通じるようなシニカルな批評精神が盛り込まれているともいえそうだ。
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