下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

関かおりPUNCTUMUN新作公演 2018年国際共同制作作品@「みどぅつなみた」「ひうぉむぐ」@ムーブ町屋 ムーブホール

関かおりPUNCTUMUN新作公演 2018年国際共同制作作品@「みどぅつなみた」「ひうぉむぐ」@ムーブ町屋 ムーブホール

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関かおりPUNCTUMUN新作公演 2018年国際共同制作作品     「みどぅつなみた」「ひうぉむぐ」

北米・神戸での滞在制作を経て創作、北米ツアーで高い評価を受けた関かおりPUNCTUMUN初のデュオ作品「みどぅつなみた」。メキシコのダンサーたちとエクスチェンジ、クリエーションを重ね創り上げた、生と死、その間を見つめる「ひうぉむぐ」。
2018年北米とメキシコで発表した2作品、日本初演!!
 
 
『みどぅつなみた』 
振付・演出:関かおり 
出演:北村思綺 髙宮梢
 
身の回りに存在するものと自分との境界線が曖昧だったころ。自己と他者を隔てる意識、そもそも自分をひとつの “もの” としての認識を持たなかったであろう時代の時間の認識。二杯の水が混じり合った時、元はどちらにあった水だったか区別がつかなくなるように、”私” という概念のある今、他の多くの生き物らと同じ水を含んだこの身体で、 目の前に在るものを「私でもある」「自分と連続しているものでもある」と捉えるか否か。
 
【初演】National Performance Network/Visual Artists Network (NPN/VAN) Asia Exchange: U.S.-Japan Connection–Residency and Performance|2018年4-5月 Fusebox Festival (オースティン)、Bridge Dance Festival (シカゴ)、The Flynn Center for the Performing Arts (バーリントン)
出演:小山まさし 関かおり|振付アシスタント:矢吹唯|アンダースタディ:髙宮梢|照明デザイン:遠藤清敏|サウンドデザイン:堤田祐史|サウンドオペレーション:安藤誠英|舞台監督:湯山千景|衣装:萩野緑
 
『ひうぉむぐ』
振付・演出:関かおり
出演:岩渕貞太 北村思綺 清水駿 鈴木隆司 髙宮梢 矢吹唯
 
むすびの「むす」は産す、生す。
ひつぎの「つぎ」は継ぎ、魂を継続させるもの。むぐう(無窮)。
生きている時間と死んでいる時間、そのあわいの時間、営み、の空間。ないものが連なる。
生きていることと死んでいることは何が違うのか。
 
【初演】「RAISU / ライス」
Contemporary Dance Production Center (CEPRODAC、メキシコ)における振付家、関かおりによるクリエーション・レジデンシー・プロジェクト|2018年7月Foro Experimental Black Box, Centro Nacional de las Artes (メキシコシティ)
出演:後藤ゆう 矢吹唯 清水駿 (関かおりPUNCTUMUN) Paulina del Carmen Fernández  Ernesto Peart  Emmanuelle Sanders (CEPRODAC)|キュレイター/ドラマトゥルク:Mariana Arteaga|振付アシスタント:後藤ゆう 矢吹唯|サウンドデザイン:Carlos Iturralde|照明デザイン:Jésica Elizondo|衣装:Mauricio Ascencio|共同製作:Centro de Producción de Danza Contemporánea (CEPRODAC) 団体せきかおり
 
 
日時:2019年2月20日 (水) 15:00・19:30|2月21日 (木) 13:00・17:00
   ※開場は開演の各20分前
会場:ムーブ町屋 ムーブホール
   〒116-0002 荒川区荒川7-50-9 センターまちや3F
   【千代田線・京成線・都電荒川線町屋駅より徒歩1分
   http://www.sunny-move.jp/move/


関かおりPUNCTUMUN 2017年新作「うとぅ り」6月30日より
 関かおりの単独公演を見るのはこれが初めて。バレエなどの西洋的なダンスメソッドからスタートして、音楽にシンクロして身体の動きを見せるというのではない、精密に制御された身体の様相そのものを見せていくというような共通点があるので、今回見る以前は三東瑠璃と似たような感じなのかなと誤解していたが、実際に作品を見てみて2人は全然違うんだということが分かった。
 この日はデュオ作品の「みどぅつなみた」とグループ作品の「ひうぉむぐ」の2本を見ることができた。特に面白かったのが、「ひうぉむぐ」だ。6人のダンサー(岩渕貞太 北村思綺 清水駿 鈴木隆司 髙宮梢 矢吹唯)が出演しているが、群舞としての全体的なイメージ以上に個々のダンサーそれぞれの輪郭がはっきりしていて、個性の違いが浮き彫りになっていた。これは同じ群舞でも複数のダンサーがまとまって、それぞれの個性や輪郭が捨象されオブジェ化していた三東瑠璃の作品とは対極的な作り方だ。
 三東ほどは極端ではなくても、舞踏系のダンスの群舞であっても、多くの場合はソロと群舞のようにバレエ的な構造を映していることがよく見かけられるが、 関かおり作品ではそれぞれのダンサーはソロを踊っているような感覚がある。それだとバラバラに見えて焦点を見失ってしまいそうなものだが、同じように踊っていてもその時に見せたいダンサーというのはかなりはっきりしているような構成が巧みだ。
 ただ、そういうことよりも関かおりの作品が凄いのは自ら率いるカンパニー「関かおりPUNCTUMUN」の集団としてのレベルの高さである。舞踏をはじめ身体の様相を見せていくダンスでは振付や構成といった要素以上にそれをどういう種類のダンサーが踊るのかということで歴然と違いが出てくる。特に今回の「ひうぉむぐ」では個々の身体が顕わに晒されるような内容になっているため、この作品を踊るに耐える身体的な訓練をされたダンサーしか踊れない作品といっていい。
 舞踏系の作品がソロと群舞の構成になっていることが多いのは中心ダンサーとキャリアの浅いダンサーではその差が明らかであり、それを前提と作品を構成している部分もある。この作品に参加したダンサーではダンサー・振付家としてのキャリアもあり、室伏鴻の弟子でもあった岩渕貞太が非常に鍛えられた身体性を持つダンサーであることは間違いない。こういうダンサーが作品に入ると下手をするとそこだけが目立って特異点となってしまってもおかしくないところをそうはなっていないのが、関かおりPUNCTUMUNのダンサーら*1の高いレベルを感じさせるところだ。

 

*1:鈴木隆司と髙宮梢は2017年の横浜ダンスコレクションのコンペティションIIに出ていたようだ。