下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

高城れに ソロコンサート「まるごとれにちゃん2019」(福島県・いわき芸術文化交流館 アリオス )@ニコニコ生放送

高城れに ソロコンサート「まるごとれにちゃん2019」(福島県・いわき芸術文化交流館 アリオス )@ニコニコ生放送

出演:高城れに

2019年3月9日(土) open 16:30 / start 17:30 / (19:30終演予定)
会場:福島県・いわき芸術文化交流館 アリオス

3/9(土)福島県 いわき芸術文化交流館 アリオス
セットリスト
(ニコニコ生放送 開演前インタビュー出演)
01.spart!(高城れに)
02.BRAND NEW WORLD(D-51・ONE PIECE)
03.前前前世(RADWIMPS君の名は。)
04.MC1(自己紹介まるごとれにちゃんVer.)
05.君のバンド(ベース演奏)(コレサワ)
06.Birthday(ベース演奏)(奥華子)
07.生まれてはじめて(神田 沙也加、松 たか子・アナと雪の女王)
08.A Whole New World(アラジン)
09.Lion(May'n、中島 愛・マクロスF)
10.放課後ハイファイブ(Little Glee Monster)
11.ね~え?(松浦亜弥)
12.ハッピー☆彡(月島きらり starring 久住小春(モーニング娘。))
13.オレンジノート(ももいろクローバーZ)
14.タップダンス~Guns N' Diamond(ももいろクローバーZ)
15.まるごとれにちゃん(高城れに)
16.しょこららいおん(高城れに)
17.MC2
18.じれったいな(高城れに)
19.花は咲くw/湯本第一小学校合唱部
20.手紙~拝啓十五の君へ~(アンジェラ・アキ)
EC1.overture~Tail Wind(高城れに)
EC2.3月9日(レミオロメン)
EC3.一緒に(高城れに)
(ニコニコ生放送 終演後インタビュー出演)

高城れにのソロコンサート「まるごとれにちゃん2019」(福島県・いわき芸術文化交流館 アリオス )をニコニコ生放送で観覧。高城れにのソロコンについて少しでも厳しいことを書いたりすると、高城れにのファンから必ず「れにちゃんのソロコンはもともとれにちゃんとファンの集いの性格が強く、あーりんや杏果のソロコンとは違うから」みたいな声が返ってきたものだが、確かに今年で5回を迎えるソロコンのうち最初の方のものはそうだったかもしれないが、特に前々回くらいから生バンドをいれるようになってからは様子が変わってきており、例えばあーりんのそれと比較しても自らの楽器演奏やタップダンサー、プロのダンサーを起用しての演出も取り入れるなど、方向性の違いはあっても遜色のないものとなってきていることも確かだ。今回のソロコンの内容について振り返ると、オレンジノート(ももいろクローバーZ)、タップダンス~Guns N' Diamond(ももいろクローバーZ)、まるごとれにちゃん(高城れにソロ曲)、しょこららいおん(高城れにソロ曲)の流れのように慣れた楽曲を歌うとピッチも安定し、ももクロでも随一と思われる声の伸びもあり抜群の歌唱を見せてくれる。もともと、歌唱におけるポテンシャルはメンバーの中でも屈指と考えていたが、それがなかなか十分な形で発揮されること少なかったのがやっとコンスタントに結果を出せるようになったことに感心させられた。特にこの日のパフォーマンスで特技のタップダンスと組み合わせて、抜群の冴えを見せたのが「Guns N' Diamond」。この歌は難しい歌で4人バージョンでもあまり披露されることはなかったと思うが、それをひとりでカバーしみごとに歌い上げてみせた。
 ただ、初めて歌う曲を極度の緊張下で歌うとやはりまだ歌のピッチのずれや音程の揺れという従来の悪癖が散見されたことも確かだ。以前のようにはっきりとだれもが分かるほどはずすことは少なくなっているが新曲の「spart!」(高城れに)、ONE PIECE主題歌の「NEBRAND NEW WORLD(D-51・)」、「前前前世」(RADWIMPS君の名は。)と続く最初のブロックなどはがちがちに緊張しているのが感じられた。声の伸びもところどころ不十分となり音程も上がりきらない部分が、散見されるなど微妙に不安定。この3曲などは今の実力ならば音域も合っていてもう少し安定した歌唱が期待できるはずだったのが、そうはならず惜しまれる出来栄えだった。
 一方で今回のライブでは同じように少しだけ不安定とはいってもディズニーのミュージカル曲「生まれてはじめて」(神田 沙也加、松 たか子・アナと雪の女王)、「A Whole New World」など高音域での地声、ファルセット、ミックスボイスな使い分けを駆使しないと歌いこなせない難曲にも挑戦していて、これはまだ完全に歌いこなせているとはいい難いとしても新たな領域への挑戦として積極的に評価したいと思わせた。
 とはいえ、今回のライブでも自分の持ち歌としても遜色のないはまり具合を見せた曲も何曲かあった。そのひとつが「手紙~拝啓十五の君へ~」(アンジェラ・アキ)。この歌は杏果がフォーク村で歌ったものの録音が動画サイトに残っていて*1、それは繰り返し聞いていて相当の名演だと考えているのだが、この日の高城れにの歌唱は技術だけなら杏果のそれにおよばないところもあるかもしれないが、「そんなことは大した問題ではない」と思わせるほどの表現力の卓越した素晴らしさをみせつけた。
 経年変化を高城れにのソロコンについて考えていく時にはずすことができないのが「3月9日」。この日は感極まって歌えなくなるところが何カ所かあったものの、以前は「この歌は歌いこなすのは難しい難曲」と書いていた曲をかなりうまく歌いこなせるようになっていて、歌唱力の進歩を実感させた。 
 ここまで今回の感想を書いてきたが東北のしかも福島県いわき市を今回のソロコンの会場にしたことの意味は地元の小学生と歌った「花は咲く」が全てを示していただろう。高城れにはここでは自ら歌って表現するというのではなく、あくまで小学生らの歌声に寄り添うことでそれを全うした。その後の「3月9日」で泣いて歌えなくなってしまったのは確実にここからの流れがあったからだと思う。来年も再来年もの声がニコニコ動画の最後の挨拶で聞けたのも嬉しく思った。

*1:杏果のことに触れるだけで不愉快だと思う人がいるようだが、悪いけど私はももクロのファンであるのと同様に有安杏果のファンなので今後も杏果のことについて触れるし、そのことを忖度する気はない。