下北沢通信

中西理の下北沢通信

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シネマ歌舞伎『野田版 桜の森の満開の下』@新宿ピカデリー

シネマ歌舞伎『野田版 桜の森の満開の下』@新宿ピカデリー

現代演劇界を代表する奇才 野田秀樹坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」を下敷きに書き下ろした伝説の舞台『贋作・桜の森の満開の下』。
1989年に"劇団 夢の遊眠社"により初演されて以来、安吾作品のエッセンスを随所に散りばめた壮大な戯曲、恐ろしいほど妖しく圧倒的に美しい世界感が多くの演劇ファンの心を奪い、常に上演を望む声が聞かれる作品です。
そんな伝説の舞台が、ついに歌舞伎として新たに生まれ変わり、この度再びシネマ歌舞伎として全国の映画館に登場。

配役
耳男:中村 勘九郎
オオアマ:市川 染五郎(現:松本 幸四郎
夜長姫:中村 七之助
早寝姫:中村 梅枝
ハンニャ:坂東 巳之助
アナマロ:坂東 新悟
ビッコの女:中村 児太郎
左カタメ:中村 虎之介
右カタメ:市川 弘太郎
エナコ:中村 芝のぶ
マネマロ:中村 梅花
青名人:中村 吉之丞
マナコ:市川 猿弥
赤名人:片岡 亀蔵
エンマ:坂東 彌十郎
ヒダの王:中村 扇雀

ラスト近くの壮麗で叙情的な音楽に乗せた朗々とし長台詞。まさに野田秀樹と思ったが、一緒に見に行った妻(歌舞伎ファン)はスピード感がなく、退屈との感想。生の舞台ならまた違ったかもしれないが、私の感想でも中段は単調な感じがして何度か落ちかけてしまったのも確か。野田の神通力もやや失なわれかけているのかもしれない。
 この頃の野田の戯曲は下敷きとなっている歴史や文学への知識の有無で大きな違いが出てきそうでもあり、終了後、天武天皇坂口安吾の「桜の森の満開の下」について一緒に見に行った妻に解説をしようとしたら煩いと怒られた(笑)。やるせない気分でいっぱい。