下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

屋根裏ハイツ B2F 演劇公演『寝床』@三鷹SCOOL

屋根裏ハイツ B2F 演劇公演『寝床』@三鷹SCOOL

f:id:simokitazawa:20170712232021j:plain

作・演出 中村大地

出演

村岡佳奈、渡邉時生(以上、屋根裏ハイツ)、安藤歩

公演日程


6/14(金)19:30
6/15(土)14:30 / 19:30
6/16(日)13:30 / 18:30

 屋根裏ハイツは初の観劇。東北大学の学生劇団が母体で仙台を拠点にしてきたが、劇作家・演出家の中村大地をはじめ、現在は東京在住。
 孤独死が出た事故物件であるマンションの部屋を巡る物語。登場するのは3人で最初は自分たちが一緒に暮らせるマンションを探しに来た女性2人組と不動産仲介業者の社員を演じる。
 しばらくしていつの間にか女性ふたりがマンションに住んでいる場面に代わり、何となく最初探しにきた2人が住んでいるんだなと思って見ていると1人がもう1人に「母さん」と呼び掛け、その2人が親子であることが、分かる。この後は最初の不動産会社社員と女性の2人が高齢者住宅のようなところに引っ越そうとしている老夫婦になっている。
 具体的な描写がはっきりは書かれてはいないので最初場面はおそらく、実質的に同性婚のような共同生活をしようと部屋探しをする女性ふたりが描かれており、彼女らがそこで孤独死が出たらしい事故物件を借りざるを得ないのは普通の物件では家主からの承認が得られにくいからだろう。演技はマレビトの会のようにあえて平板なセリフ回しをすることはないので一見平田オリザ流の現代口語演劇にも見えるが、年齢に合わせて演技を変えることはあまりない。一緒に暮らす親子、高齢者夫婦も特に年齢を反映して、それっぽい演技をすることはない。時空間が替わってもそれは同じ調子でシームレスに変遷していくのが、とても新鮮だ。そこには「現代演劇」を感じさせる面白さがある。