下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

坂崎幸之助のももいろフォーク村 第97夜「ももいろフォーク村プリティ感謝祭」@フジテレビNEXT

坂崎幸之助のももいろフォーク村 第97夜「ももいろフォーク村プリティ感謝祭」@フジテレビNEXT

セットリスト

M01:卒業 (村長/長谷川きよし)
M02:卒業 (あーりん/斉藤由貴)
M03:卒業-GRADUATION- (れにちゃん/菊池桃子)
M04:卒業 (しおりん&夏菜子/尾崎豊)
M05:Link Link (ももクロももクロ)
M06:まるごとれにちゃん (ももクロ高城れに)
M07:少女人形 (しおりん/伊藤つかさ)
M08:襟裳岬 (れに/森進一)
M09:秋桜 (あーりん/さだまさし)
M10:初恋 (夏菜子/村下孝蔵)
M11:好きになって、よかった (れに&いづみ/加藤いづみ)
M12:スターダストメモリー (あーりん/小泉今日子)
M13:翼の折れたエンジェル (しおりん/中村あゆみ)
M14:サルビアの花 (夏菜子/もとまろ)
M15:なんてったってアイドル (あーりん/小泉今日子)
M16:かもめはかもめ (れに/研ナオコ)
M17:優しい悪魔 (ももクロキャンディーズ)

M18:永遠の嘘をついてくれ (村長/吉田拓郎)

M19:同じ月を見てる (ももいろフォーク村オリジナルソング)
M20:ももいろフォーク村の歌 (ももいろフォーク村オリジナルソング)
Go!Go! GUITER GIRLZ
M21:The Show (ももクロももクロ)
M21:夏色 (しおこうじ/ゆず)

 冒頭からの「卒業」4連発の後「ももクロは今回をもってフォーク村を卒業します」という衝撃の宣言。私は以前から第100夜に吉田拓郎を招くんじゃないかと考えていて、それが終わると何らかの大きな変更(リニューアル)はある可能性もあるかもと考えてはいたのだが、それを目前としてこの回でこういうことになったということには今でも表に出せない何かがあったのではないかというもやもやがどうしても消すことができずに残っている。
 結局、番組の最後に来月も「フォーク村」は坂崎幸之助玉井詩織のふたり(しおこうじ)による番組として存続するということが発表され、ももクロもそれに数カ月に1回はゲストとして参加するというのが合わせて発表になり、モノノフ的には「なんだ茶番か」という空気が漂ってはいるのだが、「そんな単純なものではなさそうだ」と思うと番組終了後も「なんで?」というのは残ってしまっている。
 番組でのももクロの歌唱の内容は素晴らしいもので、良かっただけに逆にもやもやは残る。坂崎村長が最後に挨拶して、「ももクロの歌唱力が新アルバムで格段に上がったのが確認できたので、育成という役目は果たしたと自らが卒業を提案した」ようなことを語ったが、文字通りには受け取りにくい。冒頭にも書いたようにもし坂崎村長やきくちP側からの申し入れなら、第100回を花道にリニューアルにともない退くというのが、普通の流れであろう。もちろん、ももクロ本体に何か起こるとは思わないが、kwkmさん側から現体制での継続の再考を申し入れたという推定はかなりの確度があると感じられる。杏果のソロコンでの発言を取り上げれば不吉なことを言うなと怒られそうだが、今回の卒業宣言にあの時と似たような違和感を感じたのも確かなのだ。
 何があったのかはさて置いて、落としどころとしての「しおこうじ」は良かった。フォーク村にゲストを呼ぶとするとフォーク界の大御所はともかくとして、今後、ギターガール系のアーティストが増えてきそう。さらに言えば可愛がっているあいらもえかをはじめ、たこ虹のさくちゃんなどスタダ内のギターガールを呼びたいところだが、後輩グループについてはかつてモノノフの一部からの反発もあり、従来の枠組みでは呼びにくかった。
 一方でももクロ抜きでスタダの番組を作ってもガチンコスターダストプラネット程度の影響力しか持てなくなってしまうから、番組自体の継続が困難になってしまう。こうした所々の事情を勘案詩織のみ残留はいい選択肢だった。さらに言えばこの人はタスクが与えられると高度な要求も難なくこなしてしまう。そうだとすれば玉井詩織ひとりを残しいろんなことに挑戦させるというのはいい手だったと思うのである。
この日一番の気迫を見せたのが「しおこうじ」もソロコンもないため、カバー曲を歌う機会となると今後は激減しそうなこともあり、有終の美を飾る感のあった百田夏菜子。まず尾崎豊の「卒業」を玉井詩織と一緒に歌ったのだが、この歌はこれまで玉井が「玄冬」やフォーク村で歌っていることもあり、いわば準「持ち歌」的な楽曲になっているのだが、この手の男っぽさを感じさせる歌を歌わせると夏菜子は絶品。詩織も悪くはないが、言葉は少し悪いかもしれないが、ものの違いを見せ付けたパフォーマンスだった。
 この日は「ここまで来ました」の卒業報告的な意味合いもあって、ももクロが一番最初に坂崎幸之助と出会った際のお台場フォーク村の選曲をメンバー4人が歌った。「なごり雪」を歌った杏果を除けばおそらく本人にとってはトラウマ級の汚点になっているであろう佐々木彩夏の「秋桜」をはじめ、生演奏による経験がなかったとはいえヒドイ以外の形容詞が選びにくいほどの散々な出来映えだったことは確かだ。
 それを考えれば今回の見事に歌いこなせている感じはまさにフォーク村の経験があってこそであると思わせるものではあった。一方「なんてったってアイドル」 (あーりん/小泉今日子)、「かもめはかもめ」 (れに/研ナオコ)はどちらもまだ歌ってなかったことが意外なほどそれぞれに似合った楽曲。「番組終わるまでにこれだけは歌わせなきゃ」の選曲だろう。特に、あーりんが「なんてったってアイドル」 を歌っていなかったというのは逆に驚きであった。
 フォーク村が始まった当初から歌ってほしいと思っていたが、これまで歌うことがなかったキャンディーズ「やさしい悪魔」を歌いこなしてくれたのもこの日のもうひとつのハイライトだった。吉田拓郎の提供曲でもあり、かつての国民的アイドルの代表曲でもあるこの曲だが、ハモリ曲でもあったことが、選曲候補となるのが遅れた要因かもしれない。とはいえ、新アルバムを聴けば今のももクロにとってはこの程度のハモは何の問題でもないことは明らか。とはいえ、私の予感通りにももクロが次に全員参加する第100回で吉田拓郎が降臨*1するのであればその時歌うためにもここで一度歌っておく必要はあっただろう。

*1:ガチンコスターダストを見ていたら今井先生は吉田拓郎さんについているため今日は欠席とあり、きくちPのハンドリングできる範囲にいるのは確認できた