下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

KAAT×地点 『三人姉妹』@KAAT

KAAT×地点 『三人姉妹』@KAAT

邂逅、
チェーホフ
四大戯曲。

『三人姉妹』

KAAT×地点が満を持しておくるチェーホフ

10年以上の長きにわたってチェーホフ劇の上演を続けてきた地点。
そのきっかけは2003年、三浦基が初めてチェーホフ戯曲に取り組んだ『三人姉妹』でした。四人の女性、軍人、夫たち―理想と忘却の狭間で生きる登場人物たちが滑稽に描かれる『三人姉妹』はチェーホフ戯曲の最高傑作と言ってよいでしょう。
本場ロシアの観客をも唸らせ、感動させてきた地点が、KAATとともに、その熟練の技と揺るぎない実験精神で再び『三人姉妹』を上演します!


『三人姉妹』あらすじ
県庁のある町でのこと。オーリガ、マーシャ、イリーナの三人姉妹とアンドレイが暮らすプローゾロフ家。旅団長だった父親の一年前の葬儀の記憶もようやくうすれて、末娘のイリーナの「名の日」の祝いが開かれようとしている。春、まぶしい陽光のなか、軍人たちが祝いの会に集まってくる。旧知の中隊長ヴェルシーニンの来訪が、三人姉妹にモスクワの記憶をよみがえらせる。やがては大学教授と期待されている長男のアンドレイとナターシャの恋。家庭を持つ次女マーシャと不幸な家庭生活を送るヴェルシーニンの実りのない恋。トゥーゼンバフ男爵のイリーナに対する片思いは、ソリョーヌイとの対立を生む。アンドレイと結婚し、子供を生んだナターシャの俗悪さが次第に一家を支配する。学者への夢を捨て堕落してゆくアンドレイ。秋が深まりゆく頃、駐屯していた中隊は遠い新しい任地へと旅立っていく。マーシャとヴェルシーニンの別れ。退役してイリーナと新生活に踏み出そうとしていたトゥーゼンバフは、その矢先にソリョーヌイに決闘で撃ち殺される。軍楽隊の響きが遠ざかるなか、三人姉妹の「生きたい」という切実さを残して幕はおりる。

KAAT×地点 特設サイト
http://chiten-kaat.net/

作:アントン・チェーホフ
翻訳:神西清

【演出】
三浦基

【出演】
安部聡子 石田大 伊東沙保 小河原康二 岸本昌也
窪田史恵 河野早紀 小林洋平 田中祐気


舞台美術:杉山至
衣裳デザイン:コレット・ウシャール
音響デザイン:徳久礼子
照明デザイン:山森栄治
舞台監督:小金井伸一
プロダクション・マネージャー:安田武
技術監督:堀内真人
宣伝美術:松本久木(MATSUMOTOKOBO Ltd.)
制作|伊藤文一、小森あや、田嶋結菜

主催:KAAT神奈川芸術劇場

平成26年文化庁劇場・音楽堂等活性化事業


地点『三人姉妹』予告動画

KAAT×地点 共同制作作品第5弾 『三人姉妹』

2015年に地点とKAATにより共同製作された舞台の再演。その年のベストアクトにも選んだ*1ように舞台は素晴らしかったのだが、それ以上に記憶に残っているのはKAATから帰宅する東横線の中で偶然、演劇評論家扇田昭彦氏と同席することになり、この舞台がよかったことについて少し興奮して語りかけたのが、彼と話をした最後になったことだ。
チェーホフの戯曲は会話劇として上演されるのが普通だが、地点「三人姉妹」は俳優らによるセリフの「語り」と床の上を這いずり回ったり、組み合ったり突き放されたりする俳優の身体所作の組合せにより構成されている。初演のこのダンスにおけるコンタクトインプロヴィゼーションの技法を思わせるような身体表現が印象に残ったが、断片化されたテクストの置き方をしているものの、この「三人姉妹」はダンスパフォーマンスというよりは明らかに「語りの演劇」に類するもので、ダンスカンパニーではなく演劇の集団である地点がこれをこうした形式で上演することの意味はこの「語り」と「身体所作」の重ねあわせにこそあるんだということが感じ取れた。

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