下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

有安杏果 Pop Step Zepp Tour 2019東京千秋楽2日目@Zepp Tokyo

有安杏果 Pop Step Zepp Tour 2019東京千秋楽2日目@Zepp Tokyo

公演日 2019年8月14日(水)
会場
Zepp Tokyo 会場マップ
券種・料金 1F全自由 ¥7,020(税込) / ¥6,500(税抜)
2F着席指定席 ¥7,560(税込) / ¥7,000(税抜)
開場時間/開演時間 18:00 開場 / 19:00 開演
出演者 有安杏果
★Band Member
G:福原将宜 / B:山口寛雄 / Dr:玉田豊夢 / Key:宮崎裕介

有安杏果 Pop Step Zepp ツアー 2019』セットリスト
01. ヒカリの声
02. TRAVEL FANTASISTA
03. ハムスター
04. 色えんぴつ
05. 歌うたいのバラッド
06. 心の旋律
07. 小さな勇気
08. LAST SCENE
09. Do you know
10. 遠吠え
11. 愛されたくて
12. 虹む涙
13. Catch up
【アンコール】
14. 逆再生メドレー
15. 夏想い
【Wアンコール】
16. feel a heartbeat 

 わたしが見ることができた今回のツアー4回のライブ(東京の4公演)で最高の出来映えだった。冒頭の「ヒカリの声」の出だしが少し鼻にかかった声に聴こえ、もしかしら風邪? 喉?と大丈夫なのかと一瞬心配したが、最後のロングトーンなどは見事な発声で、歌っているうちに取り戻したのか、それとも声や体調は本人がMCでいったように「喉も身体も絶好調」で、私が勝手に杞憂しただけなのか。いずれにせよ、ライブが進行するにつれそんなことはまったく気にならなくなってきた。
  Pop Step Zepp Tourは約1カ月の期間で全国6都市(札幌、仙台、東京、大阪、福岡、名古屋)を回り、13ステージをこなすという初めて経験する本格的ツアーであり、この日の有安には心身ともに大きな異常はなく、無事ツアーを完遂することができたという意味で今後歌手活動を続けていくうえでの大きな手応えを感じたのではないかと思ったからだ。そのくらいこの日の有安杏果は歌うことの喜びに溢れていた。
 この日のご当地カバー曲が「歌うたいのバラッド」で曲前の短いMCで杏果は活動を休止していたころにこの曲を聞きながら歌への思いを新たにしたというようなことを話した。この曲に続けて自作曲で「歌いたい、歌いたい。握ったマイクもう離さない」の歌詞がある「心の旋律」を歌った。そのことに杏果が今回のツアーに賭けていた意気込みが感じられた。
杏果らしさを感じたのはピアノの弾き語りで歌う「小さな勇気」。実はこの曲は前日途中で止まってしまって、やり直すという失態を演じたのだが、この日は見事なまでの自然さでかなりの難曲を弾きこなしてみせた。リベンジ成功なわけだが、そんなことは微塵も感じさせなかったのが彼女らしいところで、前日いなくてこの日だけ見た人はこの曲でそんなことが前の日にあったなんてことは考えもしないだろう。
 アーティストとしての新しい可能性を感じたのはダンスを伴って披露された「LAST SCENE」「Do you know」の2曲である。この日はオールスタンディング席後方から見たこともあり、踊りの全貌を見ることができなかったが、恋愛を主題に出会いと別れを描いたというように等身大の自分の自画像がほとんどを占めていた杏果のこれまでの楽曲にはなかった広がりを感じさせる。一刻も早い音源化が臨まれるのだが。

今回のツアーはプロの歌手としてコンディションを崩すことなく、コンスタントにステージに立ち続けることができるかどうかの試金石だったと思う。ももクロ時代から私はこの人のことを漫画「キャプテン翼」に登場する三杉淳に準えて「ガラスのエース」と称してきた。それは溢れんばかりの音楽的才能を感じさせながらも、喉に負担をかけるとすぐに声が出なくなってしまうなどの持病をかかえ、パフォーマンスの質がきわめて不安定だったからだ。そのため、ソロになることを考えた時に一番の不安はそこにあったし、本人にとってもやはりそうだったと思う。
 もちろん、技術的なことでいえばすでにグループ在籍時の最後の方ではできるだけ喉に負担にならないようにと歌い方に工夫を重ねていたし、復帰後の「サクライブ」ではその成果もある程度確認していたはずだ。ただ、実際にやってみないと結局は確かな感触はつかめないし、不安はなくならない。特に集客が難しい地方や平日などの無理な日程もあり、案の定待っていたように叩く連中もいたわけだが、そういうことは杏果にはあまり問題ではなかったのではないか。そして、この結果を踏まえて、待っていたように来年春のツアー「サクライブ2020」の開催が発表された。
一方でももクロ的なサプライズを期待しすぎたかもしれないのだが、最終日に「サクライブ」の映像作品の発売日や新アルバム発売、あるいはレコード会社との契約の告知があるのではないかと思っていたが、そのいずれもなかったのは残念だった。特に今回のツアーではまだ音源のない新曲が複数曲用意されていたので、新曲のライブ音源のストリーム配信はできるだけ早めにしてもらいたいのであるが。

有安杏果 サクライブ 2020』は、3月5日に愛知・Zepp Nagoya、3月11日に大阪・Zepp Namba(OSAKA)、3月13日に香川・高松のfesthalle、3月14日に広島・BLUE LIVE HIROSHIMA、3月16日に福岡・Zepp Fukuoka、3月19日に北海道・Zepp Sapporo、3月21日に宮城・仙台PIT、3月27日に東京・LINE CUBE SHIBUYAで開催される。バンドメンバーは福原将宜(Gt)、宮崎裕介(Key)、波田野哲也(Dr)、川崎哲平(Ba)。チケット一般発売は1月25日からスタートする。席種やファンクラブ先行予約の日程は後日発表される。