下北沢通信

中西理の下北沢通信

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歌舞伎座十一月夜の部「三人吉三巴白浪」「二人静」

歌舞伎座十一月夜の部「三人吉三巴白浪」「二人静

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夜の部

令和元年度(第74回)文化庁芸術祭参加公演

河竹黙阿弥

通し狂言

一、三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)

序幕
二幕目

三幕目


大詰
浄瑠璃 大川端庚申塚の場
割下水伝吉内の場
本所お竹蔵の場
巣鴨吉祥院本堂の場
裏手墓地の場
元の本堂の場
本郷火の見櫓の場
「初櫓噂高音」

和尚吉三 松緑
お坊吉三 愛之助
お嬢吉三 梅枝

手代十三郎 巳之助
伝吉娘おとせ 尾上右近
釜屋武兵衛 橘太郎
八百屋久兵衛 橘三郎
堂守源次坊 板東亀蔵
土左衛門伝吉 歌六

世阿彌元淸 原作


坂東玉三郎 補綴

二、二人静(ふたりしずか)

静御前の霊 玉三郎
若菜摘 児太郎
神職 彦三郎

 「三人吉三」は歌舞伎では通常「大川端庚申塚の場」のみが上演されることがほとんどだが、この日は珍しい全編通しでの上演となった。人間関係も非常に複雑で交錯しているので、理解するのは簡単ではないが、この演目については通し上演を基本とする木ノ下歌舞伎で見たことがあったのが、理解の助けになったかもしれない。
三人吉三巴白浪』の通し。配役は梅枝のお嬢、松緑の和尚、愛之助のお坊、右近のおとせ、巳之助の十三郎、歌六の伝吉。梅枝は初役、愛之助は十年ぶりということだったが、なかなかに良かった。河竹黙阿弥ではなんといっても黙阿弥調といわれるセリフの口跡のよさが重要だが、梅枝、愛之助の声のよさが目立った。
三人吉三」が面白いのはインターテキスト的に複数のテキストが重層的に呼応するような構造となっていることだ。お嬢吉三が幼少の頃、「お七」と名づけられ女の子として育てられたというのが、最後の 本郷火の見櫓の場の八百屋お七への見立てとつながっていくところなど重層的な趣向が通し狂言だと初めてつながってくるところもいかにも歌舞伎らしいところかもしれない。
三人吉三巴白浪 | 歌舞伎演目案内 – Kabuki Play Guide –