下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

「えんげきのぺーじ」について

「えんげきのぺーじ」について

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演劇系総合サイトとしてかつて「えんげきのぺーじ」(通称エンペ)というサイトがあった。こんなことを今になって書き始めたのはネット検索をしていて、サイト本体はなくなっているものの表紙やコンテンツの一部がいまだにネット上に存在していて見ることができることを発見したからだ。    

まずは発見した表紙というのがこちらである*1。私は当時このサイトに「来月のおすすめ芝居」
*2というのを執筆するおすすめライター*3のひとりとして参加していた。この「おすすめ芝居」と読者がフォーマットに従って自分で自由に書き込みができる「1行レビュー」というのがえんぺのメインコンテンツであり、「1行レビュー」というのは無星から★★★★4つまで強制的に評価を付けさせられたうえで短い感想を書くというtwitterの生ぬるい感想のような日和見を許さない暴力性に満ちたコンテンツ。まだバズるとか炎上という概念もなかった平和な演劇界において「悪名高き」と一部の作家やファンに憎まれたという意味では当時としては画期的な仕掛けであった。
 一方、おすすめ芝居も評者全員が明らかに偏向しているということが分かるユニークなもので、これは「えんげきのぺーじ」がにしかどくんという個人のホームページであったからこそできたことで、前にも後にもあんなコンテンツは他のジャンルを含めてもあれだけだったんじゃないか。
 このメンバーで当時毎年1回年末に忘年会も兼ねて集まって決めていたのが、「インターネット演劇大賞」*4である。この賞は我々が当初は絶対に紀伊国屋演劇大賞や岸田國士戯曲賞を取ることがないような人を選考するとの意気込みで始めたのが、ちょうど第1回受賞者の松尾スズキが翌年の岸田賞を受賞したのを皮切りに受賞者が次々と未来の受賞者となっていったことで逆に一部演劇界の注目を集めるようになっていったという経緯があった。

*1:えんげきのぺーじ表紙 dx.sakura.ne.jp

*2:これはえんぺ更新終了後に自分のサイトで続けていたお薦め芝居だが、基本的にこんなフォーマットで掲載していた。simokitazawa.hatenablog.com

*3:http://dx.sakura.ne.jp/~nnn/play/hosi/writer/profile.html

*4:インターネット演劇大賞dx.sakura.ne.jp]