下北沢通信

中西理の下北沢通信

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ももクロとAKB 対談 さやわか×西兼志 アイドル〈の/と〉歴史(「エクリヲ10」から)

対談 さやわか×西兼志 アイドル〈の/と〉歴史(「エクリヲ10」から)

「エクリオ」は佐々木敦主宰の「映画美学校 批評家養成ギブス第3期」のメンバーを中心に刊行された批評誌。お布団の公演のロビーで手に入れた「エクリオ10」は「一〇年代ポピュラー文化」が特集で、そのメイン企画のひとつがライター・評論家のさやわかと成蹊大学の西兼志教授の対談で、内容のメイン部分はAKBについての対話であるが、かなりの分量でももいろクローバーZももクロ)について語った部分があり、特に西兼志は専門はメディア論、コミュニケーション学となっているが、これまでモノノフ(ももクロファン)の遡上にはあまり上がっていない人だっただけに興味深い内容だったと思う。
 対談自体は批評誌への掲載されるのが前提であり、客観的にな語り口になってはいけるけども「僕の場合絶対ももクロについて話すと決まっているんですが」などの発言にあるように妙にももクロに前のめりであること(笑)。宮本さん(宮本純乃介)、佐々木敦規さんといった名前がポンポン出てくることからして、これはどう考えてもかなりコアなモノノフであることは間違いなさそう。この対談では一般読者を考慮してファン語りを抑制しているところもありそうで一度お会いして、より濃いももクロの話題を聞いてみたいところだ。

以下、内容の一部抜粋


さやわか「つまり『マジ』と言いながら、与えられた課題に立ち向かう際に透けて見える『普通さ』『熱意』の方にAKBの方は賭けていたんですよね。でも、おっしゃっとようにももクロはまるで逆で、運営から与えられるものをリアリティーショー的に演出しつつ、最終的に本当にそれをやり遂げる力を持つという二層のエンタテインメントにしていましたよね」

西兼志「ももクロがいまだに第一線で頑張っていることを考えてみると、他のアイドルって、学校モデルで制服的な衣装を着て、学校メタファーでやっていますよね。それこそももクロの一個下の世代とかで私立恵比寿中学とか、なくなっちゃいましたけど3B juniorとか、そうやる限りは絶対AKBのエピゴーネンにしかならない。みんなが学園的なものをやっている時に、ももクロはプロレス的なものをやるっていう異質さがあった」

ヱクリヲ vol.10 特集I 一〇年代ポピュラー文化――「作者」と「キャラクター」のはざまで 特集II A24 インディペンデント映画スタジオの最先端

ヱクリヲ vol.10 特集I 一〇年代ポピュラー文化――「作者」と「キャラクター」のはざまで 特集II A24 インディペンデント映画スタジオの最先端

  • 作者: 高井くらら,横山タスク,伊藤元晴,山下研,さやわか,西兼志,得地弘基,難波優輝,楊駿驍,横山宏介,堀潤之,小川和キ,伊藤弘了,佐久間義貴,村井厚友,福田正知
  • 出版社/メーカー: ヱクリヲ編集部
  • 発売日: 2019/05/10
  • メディア: 単行本
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