下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

劇団アレン座+シアターX(カイ)提携公演『いい人間の教科書。』@シアターX(カイ)

劇団アレン座+シアターX(カイ)提携公演『いい人間の教科書。』@シアターX(カイ)

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劇団アレン座の劇団員は、舞台『KING OF PRISM -Over the Sunshine!-』の氷室聖役を演じ注目を浴びた栗田学武、舞台「『刀剣乱舞』慈伝 日日の葉よ散るらむ」にて大典太光世役を好演し注目を浴びた磯野大、日本×ミャンマー共同制作映画『僕の帰る場所』(英題:Passage of Life)を共同プロデュース/出演しており、東京国際映画祭アジアの未来部門にて作品賞&国際交流基金アジアセンター特別賞をダブル受賞、現在も世界各国の映画祭にノミネートされ世界で高い評価を受けている來河侑希

作・演出:鈴木茉美
舞台照明:大平智己(ASG)
映像:浦島啓(colore)
音響:川西秀一(Lucky Jr.sound)
舞台監督:澤麗奈(合同会社obbligato)
舞台監督助手:澤根菜摘実
衣装:Allen
衣装アートデザイン:yoshimi saito
ダンス振付:ヨッシ
ヘアメイク:藤本麗え
撮影:木村健太郎(Allen)
宣伝美術:Allen、小倉美緒
制作協力:島崎翼
主催・制作:株式会社Allen


Special Thanks:墨田区の飲食店の皆様

 初めて見る劇団だが、simokita123@gmail.com宛のメールで招待状を頂いたので見に出掛けた(招待をいただけるのは非常に嬉しいので、調整が利く限りは出来るだけ見にいきたいとは思っている。だが、招待であってもそれでどうこう忖度するすることは出来ない性格でついつい正直な感想を書いてしまう)。
 普段はあまり見に行かないような系列の舞台で、見ていてかなり困惑させられた。4人の男たちが何者かに閉鎖空間に拘束され、閉じ込められる。「4人のうち『一番いい人間』だけが、解放される」との条件があり、登場人物のそれぞれが「一番いいのは自分だ」と主張し合う。一種の論争劇である。攻守ところを変えるような逆転がもう少し分かりやすくあればよりより面白くなったように思うが、脚本のストーリーラインでもうひとひねりもふたひねりも欲しいところで、少し弱いと思わざるをえない。
 見始めた時点では漫画・テレビの「LIAR GAME」ではないが閉じ込められた3人が合い争うような展開のなかで、物語の背後ではだれが何のために3人を閉じ込めるようなことをしたのかというミステリ的興味がいかに解き明かされるかがポイントになりそうとまず考えた。だが、そういういう風にはなっていなかった。
 本来は4人出演するはずの舞台でひとり俳優が降板することになり、出てくるはずの役柄を無理やり残して、話をまとめようと試みたとある。見始めた時点で劇団の事情とかはほとんど知らなかったので「俳優の降板というのは本当だろうか」、「この流れだと明らかにここにいるはずだったのにいない人は怪しい」と思っていた。
 最後まで降板というのは実はフェイクで最後に謎の人物の正体を明かすところでサプライズ登場するというような結末を考えていたのだが、これはミステリ脳の生み出す妄想だったかもしれない。とはいえ私の好みとしては、こういうひねりがなにもなかったのは物足りなく感じてしまった。
 ラストも観客に助かる(いい人間)は誰かのアンケートをとってそれを舞台の結末に反映させようという趣向だったようなのだが、逆にそのせいでどういう幕切れなのかがよく解らなくなってしまった印象。この趣向もあまりうまくいってないように思わざるえなかった。無い物ねだりだが、この作品はちゃんと4人が出演したバージョンで見たかった。