下北沢通信

中西理の下北沢通信

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山下恵実『景観の邪魔』ワークインプログレス@こまばアゴラ劇場

山下恵実『景観の邪魔』ワークインプログレス@こまばアゴラ劇場

「景観の邪魔」は初演以来、ワークインプログレスなどと称した複数の演出家による演出バージョンを上演してきた。
 通常はワークインプログレスといえば本番に向け、同一の作品を同一の演出家によって上演しながら、途中段階での観客の感想・意見などを舞台製作にフィードバックしていく行為(試演会)を指すと思うが、今回のワークインプログレスは7月に横浜の急な坂スタジオで上演された「景観の邪魔」ワークインプログレス(WIP)の再演として企画されたものが、横浜でのワークインプログレスは村田真衣(家族座/ミチタ カコ)の一人芝居であったのだが、今回は事情により村田が降板したのに伴い演出の山下恵実本人が出演。事実上の新作と作り直した。
 今回のこまばアゴラ劇場での「景観の邪魔」ではともに橋本清(ブルーノプロデュース)演出によるAプロ、Bプロと山下恵実(ひとごと。/青年団)演出のWIP公演の3通りのプログラムを見ることになった。その結果、感じたのは演出や配役が大幅に変わってもそれでも残る作品のエッセンスのようなものが綾門優季の作品には色濃くあり、それがテキストの強度であるということだ。
 これはチェルフィッチュとオフィスマウンテンによる「三月の5日間」にも感じたことで、やはりテキスト固有の強度というのがそこにはあり、山縣太一によるテキスト主義重視主義否定にも関わらずやはり作品の本質は戯曲だというのは感じ取った。
 とえいえ、もちろん違いはあり、山下の演出は最初に壁のように積まれていたダンボールの箱が舞台の進行にともない崩れていくという美術プランが全体のビジュアルイメージを分かりやすく提示しなかなか説得力があった。

日程:11月25日[月] 19:30
会場:こまばアゴラ劇場

演出:山下恵実(ひとごと。/青年団
出演:山下恵実、齊藤玲子、中條 玲、藤瀬のりこ(青年団
声:わこ