下北沢通信

中西理の下北沢通信

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吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎@京都南座

吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎@京都南座

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昼の部 午前10時30分~
夜の部 午後4時45分~

劇場:南座


昼の部
信州川中島合戦
輝虎配膳

10:30-11:10
幕間 15分
戻駕色相肩

11:25-12:00
幕間 30分
衹園祭礼信仰記
金閣寺

12:30-2:00
幕間 20分
仮名手本忠臣蔵
衹園一力茶屋の場

2:20-3:55

夜の部
堀川波の鼓

4:45-6:00
幕間 15分
釣女

6:15-6:50
幕間 30分
新皿屋舗月雨暈
魚屋宗五郎

7:20-8:35
幕間 10分
越後獅子

8:45-9:00

演目と配役
昼の部
  近松門左衛門
 信州川中島合戦
第一、輝虎配膳(てるとらはいぜん)
長尾輝虎 愛之助
勘助妻お勝 雀右衛門
直江山城守 隼人
直江妻唐衣 壱太郎
勘助母越路 秀太郎
        
第二、戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)
浪花の次郎作実は石川五右衛門
禿たより
吾妻の与四郎実は真柴久吉
    梅玉
梅丸改め莟玉
    時蔵

 祇園祭礼信仰記
第三、金閣寺(きんかくじ)
松永大膳
此下東吉後に真柴久吉
雪姫
大膳弟鬼藤太
十河軍平実は佐藤正清
狩野之介直信
慶寿院尼


    鴈治郎
    扇雀
    壱太郎
    亀鶴
    愛之助
    芝翫
    藤十郎
第四、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
 祇園一力茶屋の場
大星由良之助
遊女お軽
富森助右衛門
矢間重太郎
大星力弥
仲居おつる
鷺坂伴内
斧九太夫
赤垣源蔵
寺岡平右衛門
    仁左衛門
    孝太郎
    隼人
    橋之助
    千之助
    梅花
    松之助
    由次郎
    進之介
    芝翫
夜の部
  近松門左衛門
  村井富男 脚色
  大場正昭 演出
第一、堀川波の鼓(ほりかわなみのつづみ)
小倉彦九郎
お種
お藤
文六
迎えの男角蔵
浄心寺の僧覚念
磯部床右衛門
おゆら
宮地源右衛門
    仁左衛門
    時蔵
    壱太郎
    千之助
    寿治郎
    松之助
    亀鶴
    扇雀
    梅玉
  河竹黙阿弥
第二、釣女(つりおんな)
太郎冠者
大名某
上臈
醜女
    愛之助
    隼人
梅丸改め莟玉
    鴈治郎
  河竹黙阿弥
 新皿屋舗月雨暈
第三、魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)
魚屋宗五郎
磯部主計之助
磯部召使おなぎ
小奴三吉
父太兵衛
菊茶屋女房おみつ
浦戸十左衛門
宗五郎女房おはま
    芝翫
    鴈治郎
    孝太郎
    橋之助
    吉三郎
    梅花
    秀調
    雀右衛門
第四、越後獅子(えちごじし)
角兵衛獅子



    隼人
    橋之助
    千之助
梅丸改め莟玉

2019年11月30日(土)~12月26日(木)

 昼夜通しで南座の顔見世を見るというのはいつ以来だろうか。3階席ではあったが、格段の楽しさがあった。ページ内検索で調べたところ南座の顔見世興行に前回きたのが2008年と10年以上前のことだ。
その時は仁左衛門玉三郎の「ぢいさんばあさん」を見ていて次のように感想を書いていた。

まず「ぢいさんばあさん」がよかった。若い時からゴールデンコンビなどと称せられた仁左衛門玉三郎のコンビだが、最後の場面などはそれが数十年の経過を経て、この2人だからこそだせるであろう自在の境地を感じさせた。若い時は颯爽とした二枚目が似合った仁左衛門(当時は孝夫)だけれど、今老人の役を演じて出せているこのなんともいえない愛嬌ってなんなのだろう。

 今回は玉三郎は出ていないが、仁左衛門は健在で、「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」の大星由良之助と「堀川波の鼓(ほりかわなみのつづみ)」の小倉彦九郎を演じたが、どちらも素晴らしい出来栄えで、ベテラン俳優が次々と鬼籍に入る中でこれを見られたのが最大の収穫であった。
若手では釣女(つりおんな)の上臈を演じた莟玉が良かった。最近は御曹司の若手が覇を競っている感があり、この日も何人かが顔をそろえたが、もちろん実力を買われたということがあるだろうが、女形は層が薄いこともあってか子役あがりの養子ながら莟玉は面白い存在になってきそうだ。
 今年の吉例顔見世興行は、「仮名手本忠臣蔵 一力茶屋の場」「金閣寺」といった定番演目がある一方で不倫ものの「堀川波の鼓」や「魚屋宗五郎」のように現代人の目から見ると納得しがたいような筋立ての演目もあった。「そんなバカな」と思いながらもそういうものも歌舞伎の醍醐味のひとつではあろうか。全体としては呑み込みかねるところはあるけれども、この二つの演目はどちらも酒好きが酒の呑み過ぎでやらかしてしまうという共通点はあって、これをどちらもいれたのはそういう意図もあるのかもしれない。
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