下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

3月のお薦め芝居(2020年)by中西理

3月のお薦め芝居(2020年)by中西理

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(復刻版、えんげきのぺーじでおなじみの「お薦め芝居」を復刻)

3月のお薦め芝居については本来2月末に掲載しなければならないところであったが、新型肺炎がらみでの公演の中止が相次いでいること、2月末に右手首を骨折、手術入院を余儀なくされたことで、掲載が遅れているところだ。もう少し待っていてほしい。
さて、多くの舞台が中止・延期となるなかで個々の判断により十分な注意のもとでの上演を決断した舞台はいくつかあり、それをぜひ紹介していきたいと思う。




 札幌公演はコロナ肺炎の影響で中止に。東京公演は現時点(3月13日)で行われる予定だから、もし予定通り行われればフィスコットーネレパートリーシアター「山の声 ―ある登山者の追想―」★★★★(SPACE早稲田)はぜひとも見てほしい舞台なのである。早逝した関西の劇作家、大竹野正典の遺作となった二人芝居。単独行で知られた孤高の登山家、加藤文太郎の評伝劇で、彼の遭難までの数日間の出来事を最後のパートナーとの二人芝居として描き出す。
 前回公演で好演した山田百次(劇団ホエイ)に加え、全編関西方言で書かれた原戯曲であることを勘案して、今回は大阪の南河内万歳一座から河野洋一郎が参加。関西弁ネイティブの強みを発揮してもらうことになった。この舞台での山田百次の迫真の演技は昨年の収穫にも選んだ。演劇ファン必見。




 注目の若手劇団ゆうめいゆうめいの座標軸『弟兄』『俺』『あか』★★★こまばアゴラ劇場)が3本立てで過去の代表作品を一挙上演する。(「あか」は公演中止に)

『弟兄』
克服できない嫌〜な体験から生まれてしまった話。
2017年のゆうめい代表作となってしまった話。
演出:池田 亮​

上演時間:約80分

『俺』

2015年にゆうめいの初公演となった二人芝居。
今回は新たにギュッとまとめて一人芝居にて上演。

演出:小松大二郎 池田 亮
ドラマターグ:森谷ふみ
上演時間:約75分

『あか』
祖父の絵を展示しながら実の親子が出演。
2020年版では別の親子も出演し、別の家族へ伝わっていく。
絵画制作:池田一末
演出:石倉来輝 石倉千津子

池田 亮 五島ケンノ介 田中祐希 小松大二郎

上演時間:約70分




 
 小田尚稔の演劇『是でいいのだ』★★★(SCOOL)にも注目したい。東日本大震災の起こった2011年3月11日。この日東京で起きた出来事を同時多発的に描き出していくモノローグ群像劇。このところ毎年この時期に再演を繰り返しているが、震災の東京を描き出した傑作だ。未見の人は一見の価値ありである。




MONO『その鉄塔に男たちはいるという+』★★★(3月13~22日、吉祥寺シアター)は結成30周年を迎えた京都の人気劇団・MONOが2年連続で吉祥寺シアターの舞台に登場。OMS戯曲賞受賞の土田英生(MONO)の代表作を加筆し再演。
 1998年に初演。戦争という過酷な状況の中、
鉄塔の上で交わされる下らないやり取りを描き好評を博し、数々の団体によって上演され続けている劇団代表作をオリジナルメンバーで上演。同じ場所で展開する時間軸の違う短編をプラスし新たな地平で物語は完結する――




 東京都現代美術館で開催中の展覧『ダムタイプ|アクション+リフレクション』でも以前紹介したダムタイプの19年ぶりの新作ダムタイプ『2020』★★★★は今月最大の注目公演である。ダムタイプはイタリアで来年開催されるベネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館の出展作家に選ばれたが、その前にこの新作でどんな新し顔を見せてくれるのだろうか。

simokitazawa.hatenablog.com

www.mot-art-museum.jp




 
 お薦め芝居。とりあえずブログで展開中であるが、もし掲載可能なメディアがあればぜひ連絡をお願いしたい。
 演劇・ダンスについても書いてほしいという媒体(雑誌、ネットマガジンなど)も鋭意募集中。相談はメール(simokita123@gmail.com)でお願い。ブログに書いたレビューなどを情報宣伝につかいたいという劇団があればそれも大歓迎。メール下さい。パンフの文章の依頼などもスケジュールが合えば引き受けます。新規劇団発掘にも力を入れています。招待メールなどいただければ積極的に観劇検討します。







中西