下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

浪江女子発組合トークイベント「浪江っ子」@配信

浪江女子発組合トークイベント「浪江っ子」@配信

twitcasting.tv

佐々木彩夏
播磨かな
高井千帆
内藤るな

■配信媒体
◆浪江女子発組合Twitterアカウント
タワーレコード錦糸町パルコ店ツイキャスアカウント
https://twitcasting.tv/tower_kinshicho

ぐうたららばい「海底歩行者」(作・演出・音楽:糸井幸之介)@こまばアゴラ劇場

ぐうたららばい「海底歩行者」(作・演出・音楽:糸井幸之介)@こまばアゴラ劇場

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こういう作品を見て「泣けるいいお芝居」と評価する人がいるんだろうというのは理解できなくもない。俳優も特に妻役の伊東佐保はいい演技だったと言えなくもないだろうと思う。それでも、やはり私にはこの舞台に共感することができにくかったし、こういう作品は苦手だということを感じた。
だから、正直言ってこういう作品の出来映えの善し悪しを判断するのは私には困難だ。こういう場合、本当はあーだ、こうだ言わずにスルーするのが正解なのかもしれないが、ついこう言うことを書いてしまうのが悪癖なのである。伊東さんは大好きな女優だが、また嫌われるかもしれない……。

作・演出・音楽:糸井幸之介


この物語は三人の家族のお話です。
夫婦と小さな子供、三人のお話です。
でも、小さな子供は死んでしまいました。
だから、夫婦のお話です。人間は心の生き物です。心の酸素もほとんど無くなり、心の日光もほとんど当たらない、海底を歩いているような、夫婦のお話です。

ぐうたららばい

唯一無二の“妙ージカル”を上演するFUKAIPRODUCE羽衣の座付作・演出・音楽家である糸井幸之介による個人ユニット。
ユニット名“ぐうたららばい”の名の通り、ぐうたらな大人へららばいをお届けするべく、“静かなミュージカル”という新たなスタイルに挑戦。囁き声と吐息による音楽劇

出演

伊東沙保 キムユス(FUKAIPRODUCE羽衣)

スタッフ

照明:松本永(eimatsumoto Co.Ltd.)
音響:佐藤こうじ(Sugar Sound)
舞台監督:藤林美樹
衣裳:小松陽佳留
映像:足立原円香
宣伝美術:糸井幸之介(題字・絵) 林弥生(デザイン)
制作:坂田厚子 村田天翔

妖精大図鑑「YOKOHAMA Ammonite Night」@スタジオHIKARI

妖精大図鑑「YOKOHAMA Ammonite Night」@スタジオHikari

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 妖精大図鑑の舞台を不思議な作品などと評しても何も言ってないようなものなのだが、そうとしか言いようがないようなこれまで見た劇団にはあまり見たことがないスタイルをもっていて、既存のジャンルの土俵では評価しづらい独特な魅力を持っている。
 会場である横浜に関係した作品を制作するということになった時点で会場である神奈川県青少年センターから見える横浜ランドワークタワーの4階の壁面でアンモナイトの化石が見られるということから、今回のテーマになったようだが*1、この主題設定の仕方もかなり変わっている。妖精大図鑑らしさということかもしれない。
 作品全体がどこか他所の世界(遠い過去の世界? 遠い未来の世界?)から発信されている不思議なラジオ番組という構成になっていて、DJが曲をかけるタイミングでパフォーマーが登場して、アンモナイト、オウムガイ、シーラカンスを模したぬいぐるみ的なキャラクターを頭にかぶって踊る。
一番最初に見たのがコンテンポラリーダンスコンペティションだったのだが、明らかにそういうジャンルとは思えなくて、その時はこれは面白いけど演劇だと指摘した。
今回も不思議なラジオ放送でかかる曲に合わせて、アンモナイトなどに扮した女性ダンサーが出てきて踊るのだが、いい意味で遊び心に満ちていてなごまされる。作りはヘタウマ的だが、オリジナルの音楽や時折挟み込まれるイラストやアニメーションなど相当以上に作り込まれていることが分かる。子供向けのようにも見えるが、一筋縄にはいかないようなギミックもあってそこが魅力といえそうだ。


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*1:公演後調べてみると古生物への興味から以前から滅亡した古生物をモチーフにした短編アニメ「Ammonite Night」を多数制作Youtube=下記参照=にアップしていたようで、今回の舞台はむしろそのシリーズの一環ということのようだ。

夏菜子支える本広、宗本、ANNAと岡田美音の存在。百田夏菜子ソロコンサート「Talk With Me ~シンデレラタイム~」(2日目)@さいたまスーパーアリーナ(渋谷HUMAX=LV)

百田夏菜子ソロコンサート「Talk With Me ~シンデレラタイム~」(2日目)@さいたまスーパーアリーナ(渋谷HUMAX=LV)

2日目は渋谷HUMAXのLV(ライブ・ビューイング)で鑑賞。前日の現地観覧では分からなかった演出的工夫がここでは分かった。演出の本広克行は映画監督だから、この日のLV中継やあるいはこの日の収録映像を基に再編集して制作するであろう映像版「Talk With Me ~シンデレラタイム~」のことも頭にあっての今回の演出なのだろうということがはっきりしたのも今回のLVの収穫だ。
前日の現地ではセンターステージのサイドのスタンドから見たので分からなかったのだが、この日の映像を見て分かったのは映像は左右のカメラから巨大モニターを背景にして夏菜子を抜いた映像が多用されていて、こういうアングルだとまるでCG合成のように背景に見える映像の世界の中に夏菜子が存在しているように見える。さらにサイドのスタンドからは夏菜子のパフォーマンスに集中すると左右の映像は同時には完全には把握しずらかったのだが、いつも左右ともに同じ映像が映されているわけではなく、違っていることもあった。その意味合いは会場では分からなかったが、左右の撮影カメラをスイッチングすることで、カットによってまるで違う場面のような効果を持たせることもしていたのだ。
 終了後、ZOOM感想戦をやって際には知人からは「さいたまスーパーアリーナのような大規模会場でのライブでは現地の人を重視すべきで、現地では分からない演出はだめで、これは本広監督のライブ演出への不慣れから起こったことだ」の意見もあったが、私の見地からすればライブもパフォーミングアートであればどこの客席であっても全貌が見えないのが前提であり、それも含めてのライブだと思うので、こういう演出もありだと思っている。先の意見はテレビ関係の仕事をしている人の意見なので、分かりやすいということにプライオリティーは置かれている意見で、こういう意見はあっていいと思うが、私の好みからすればもっとももクロライブでは「5TH DIMENTION」のライブ(映像でしか見ていない)のようにむしろ情報過多のようなものの方が好みなので、今回のライブは分かりやすすぎるのが欠点と思っている*1
 映像の使用はあったが、ライブ自体はバンドの生演奏(おそらくアレンジは宗本康兵)と二人のダンサーとの共演(振付はANNA、出演も)との共同制作であり、演出の本広も含めてこの組み合わせは明治座の舞台を制作するはずだった組み合わせで、夏菜子の意向も汲んでのことだろう。ももクロの最大の強みはももクロと近しいところにこういうトップレベルの表現者を持っていること。それも実は複数の集団がそこには絡んでいる。ソロコンだけを取ってみても佐々木彩夏のソロコンは佐々木彩夏の総合演出のもとに現地指揮を佐々木敦規が担当。音楽監督ダウンタウンももクロバンド’(DMB)のギターを担当する佐藤大剛がアレンジなど音楽的なところを監修しており、高城れにのソロコンにはその時のライブの音楽性に合わせて毎回異なるメンバーでのバンドも構成されている。そのため、今回のバンドに佐藤がいないのは(スケジュールの関係だとは思うけれど)それぞれのバンドメンバーを重ならないように意識しているということもあるかもしれないと思っている*2
夏菜子の場合は自身が作詞したソロ曲「それぞれのミライ」「ひかり」の2曲の作曲を担当し、ピアノの先生的役割も果たしたと思われる岡田美音の存在も大きいのではないか。今回のピアノ演奏のアレンジを岡田が担当したか、宗本が担当したのかははっきりとは分からないのだが、宗本には各ブロックをつなぐ楽曲をすべて作曲したほか、バンドのアレンジ、Overtureのピアノ独奏という難題もこなしているので、ピアノブロックの夏菜子へのピアノのアレンジ、演奏指導は岡田がした可能性が強いと思っているのだが、どうだったのだろうか?
ANNAの出演・振付によるダンスもよかった。ダンサーはANNA自身も含めて二人が登場したが、ANNAが米国のショー的な要素の強いビート感のあるダンスを踊るのに対して、もうひとりのダンサーがおそらくバレエ経験者でバレエテクニック的なものが得意とする人だったことも振付のバリエーションを多彩にすることにつながっているのではないかと思う。もっとも印象的だったのは「リバイバル」のダンスでここでのANNAを見ているとアメフラっシのメンバーがまだ子供の時から手塩にかけて育ててきたんだというのがよく分かる。ももクロとも最近一緒に仕事することが増えているが、ここでデュオのユニゾンで踊る夏菜子を見ていると動きの切れ味が鋭く、石川ゆみがクリエートしてきたももクロのダンスとは一線を画した振付家としての持ち味が彼女にはあることも分かる。

百田夏菜子ソロコンサート「Talk With Me ~シンデレラタイム~」セットリスト

M1 魂のたべもの
M2 D’の純情
M3 キミノアト
M4 太陽とえくぼ
M5 愛、おぼえていますか(飯島真理
M6 それぞれのミライ
M7 夢の浮世に咲いてみな
M8 リバイバル(ANNA先生とダンスデュオ)
M9 強がり(戸田恵子
M10 The Show
M11 赤い幻夜
M12 タキシード・ミラージュ
M13 ひかり(百田夏菜子作詞、新曲)
M14 白金の夜明け
アンコール
overture(宗本康兵によるピアノ独奏)
M15 イマジネーション(宗本康兵によるピアノ独奏のみの伴奏)
M16 わかっているのに(新曲)
M17 渚のラララ
エンディング(映像)
2021年10月16日(土)・17日(日)
さいたまスーパーアリーナ
2 DAYS


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*1:映画でもテレビドラマでも最近は分かりやすいことが前提のようなので、そこが好みでない私は演劇やダンスのような単純に言葉では説明でいないジャンルが好きなのかもしれない。だから、演劇でもベタに感じるものは苦手。本広演出の舞台では最初に上演された「転校生」が生の舞台とその場で映された映像を複雑に組み合わせてて好みであり、ああいうものを期待しているところがあったかもしれない。

*2:ちなみに有安杏果のソロコンもオリジナルメンバーで構成されており、一部は独立後の現在までつながっている。

“夏菜子浴”を全身で浴びる。百田夏菜子ソロコンサート「Talk With Me ~シンデレラタイム~」(1日目)@さいたまスーパーアリーナ

百田夏菜子ソロコンサート「Talk With Me ~シンデレラタイム~」(1日目)@さいたまスーパーアリーナ

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ももクロ百田夏菜子による初めてのソロコンサート。演出には本広克行監督が起用された。客席はスタンドサイドの後方(17列)だったが、入ってみるとセンターステージで視野は良好。SSAでこの形態は初めてではないか。両サイドにはかなり巨大なモニター画面が一対設置されていた。
初日ということで詳しい中身には触れないことにするが、結論からいえばとても素晴らしいソロコンだった。もちろん、毎年開催を続けることで進化を続けている佐々木彩夏高城れにのソロコンはそれぞれまったく違ったよさがあるのだが、この日のソロコンはこのグループにとって百田夏菜子がどういう存在だったのかを再認識されてくれた意味でも極めて有意義なものだったと思う。夏菜子の特徴は人の感情を揺り動かすようなエモーショナルな歌声であり、ももクロにとっては落ちサビなど楽曲の決定的なイメージを決める場面で起用されることが多いのだが、ソロではすべてを歌うのでそういう効果は持続的に現れ、観客は身体全体でそれを浴びることになる。いわば「夏菜子浴」といってもいいがこの威力の凄まじさを身を持って感じることになった。
そして、普通はその間に他のメンバーの歌が入り、違う声質の影響も受けるのだが、次も次も夏菜子の歌というソロコンの恐ろしさ。最近はほかのメンバーのソロコンにも慣れがきているが、初めて高城れにのソロコンをライブビューイングで目撃し、有安杏果のソロコンを横浜アリーナで体験した時に感じた「ソロコンってこういうことなんだ」という忘れていた感情の記憶が鮮やかに甦ってきた気がした。
それにしてもももクロでも披露したのは数えるほどの「魂のたべもの」をあえて冒頭に持ってきたのは驚いたが、そのままミュージカル曲といっても通るぐらいの難曲をなんなく歌いこなす歌唱の安定度にも改めて驚かさせられた。上演される予定がコロナ禍で延期となった明治座公演はミュージカルの予定だったと聞くが、明治座もこの日と同じ本広克行演出、宗本宗兵音楽監督のコンビだったので、ある程度分かっていたことではあろうが、より本格的なミュージカルへの挑戦とこの日はまだ限定的ではあったももクロ大規模ライブのミュージカル的演出に向けても一歩前進を思わせるものであった。
(2日目終了後以下を加筆)
自ら作詞したというソロ曲が2曲入り、ファンにとっては何よりのプレゼントだった。ただ、歌詞は正直言ってまだまだ試行錯誤の域を否めず、すぐに配信などがなかったのはキングレコードサイドも同じような判断だったのではないか。ナオト・インティライミによる新曲「わかっているのに」もソロ曲が少ない夏菜子にとっては重要な楽曲だが、配信曲になるかどうかは微妙。そういう楽曲と比べると大人の味を感じさせる「赤い幻夜」は映画「すくってごらん」の主題歌に選ばれた歌だけに今後も歌い継がれていきそう。カバー曲ではあるが、大人になった夏菜子の魅力を感じさせる楽曲であった。
ただ、それでもソロコン全体の目玉はピアノ演奏による「白金の夜明け」とソロピアノだけの伴奏による「イマジネーション」である。ももクロでもまた聴きたいアレンジであった。

百田夏菜子ソロコンサート「Talk With Me ~シンデレラタイム~」セットリスト

M1 魂のたべもの
M2 D’の純情
M3 キミノアト
M4 太陽とえくぼ
M5 愛、おぼえていますか(飯島真理
M6 それぞれのミライ
M7 夢の浮世に咲いてみな
M8 リバイバル(ANNA先生とダンスデュオ)
M9 強がり(戸田恵子
M10 The Show
M11 赤い幻夜
M12 タキシード・ミラージュ
M13 ひかり(百田夏菜子作詞、新曲)
M14 白金の夜明け
アンコール
overture(宗本康兵によるピアノ独奏)
M15 イマジネーション(宗本康兵によるピアノ独奏のみの伴奏)
M16 わかっているのに(新曲)
M17 渚のラララ
エンディング(映像)

2021年10月16日(土)・17日(日)
さいたまスーパーアリーナイマジネーション
2 DAYS

simokitazawa.hatenablog.com

五木ひろし「異次元ライブ2021~再リベンジ編~」@ LINE CUBE SHIBUYA

五木ひろし「異次元ライブ2021~再リベンジ編~」@ LINE CUBE SHIBUYA

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simokitazawa.hatenablog.com
ももいろクローバーZももクロ)の高城れに佐々木彩夏が参加。ももクロ楽曲とは異なるカバー曲を披露した。ももクロのメンバーはこれまでももいろフォーク村やソロコンサートの場で様々な楽曲を手掛けてきたが、これまではファン以外の一般客の前でそれを披露する機会はほとんどなかった。 
 あーりん(佐々木彩夏)がコスプレをして昭和アイドルになりきりのパフォーマンスを行うというのはフォーク村などでは持ち芸といってもいいほどなのだが、今回は松田聖子の「渚のバルコニー」を披露。身体所作などパフォーマンス中の細かな動きも完全にコピー。そのクオリティーの高さは過去随一といってもいいほどで、来場した五木ひろしファンをはじめ他アーティストのファンも驚かせるレベルのものだったのではないか。

大原櫻子
北園涼、
GRANRODEO
横山だいすけ
六角精児、
高城れに佐々木彩夏
…andmore

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「異世界を捏造する演劇」 ロロ並びに三浦直之の新境地 東京芸術祭2021 ロロ『Every Body feat. フランケンシュタイン』 @東京芸術劇場

東京芸術祭2021 ロロ『Every Body feat. フランケンシュタイン』 @東京芸術劇場

メアリー・シェリーの小説も読んでいる。それをもとにした映画も以前に見たことはある。だが、いずれもだいぶ前で記憶があいまいではあるが「こんな話ではなかったはずだ」と思い続けながら舞台を見終わった。
ロロ『Every Body feat. フランケンシュタインと「フランケンシュタイン」を表題してているもののこれはロロの三浦直之によるオリジナルと受け取った方がいいだろう。そういうものだと考えて、「フランケンシュタイン」の存在を頭から追い払うことができさえすれば挿入されたエピソードのひとつひとつは詩的な美しさにも満ちていて、「ロロらしい」「三浦直之らしい」新作と言えるのだろうと思う。
 個々のエピソードに感情を揺さぶられるようなものが多く、特に島田桃子が演じた断食を続けることで体重のほとんどを失って、足音も失う少女や奇妙な集会を開く男たちとそこで自作の詩を朗読する少女、世の中にある音を採集している男の物語は面白くて独立した物語としてもう少し長いものを見たくなってくる。
 舞台を何かに感じが似ているなと思いながら見ていたのだが、途中で「そうか」とひらめいた。東京芸術祭の総合ディレクターを宮城聡がやっていることと関係があるのかどうかは不明だが、SPACが上演しているオリヴィエ・ピィによるグリム童話のシリーズ*1のことである。
 ロロの演劇はリアリズムではないけれど普段はここまで現実離れしていることはなくて、どこか現実世界とつながっている部分はある。ところが今回の作品は原作があるということもあってか、童話的あるいは寓話的な世界が構築されている。こういう作風は現代演劇の作家ではあまりなくて、作風はかなり違うが虚構への入り込みへの度合いではケラリーノ・サンドロヴィッチの例がある程度であろうか。ケラ作品については「異世界を捏造する演劇」と評して論考を執筆したことがあったが、ロロの作品からも似たような欲望が感じ取れるのだ。
 「フランケンシュタイン」を基にした「怪物」のエピソードもそうした奇妙なエピソードのワン・オブ・ゼムのようになっている。それが冒頭に書いたように「こんな話ではなかったはずだ」と思う大きな要因となっている。
 「怪物」は3人の俳優が身体表現を駆使していわば三位一体で表現するのだが、複数の死体を組み合わせて作ったというイメージはあるものの映画や漫画で有名な怪物のイメージとはほど遠いものだ。それゆえ、そこから観客がどのようなイメージを汲み取るのかというのはそれぞれに異なるということになり、そこにこれが演劇で上演される意味合いはあるのだと思う。いずれにせよ、ロロならびに三浦直之は新境地を開拓したということができそうだ。
 

ロロ『Every Body feat. フランケンシュタイン

死者をパッチワークしながら生きる「怪物」。その正体は──

古今東西ポップカルチャーをサンプリングし、「ボーイ・ミーツ・ガール=出会い」の物語世界を立ち上げる劇団ロロ。高校演劇活性化を目指した『いつ高』(2015〜)シリーズなど、若者たちの賑やかな喧騒、瑞々しい心模様を描いてきた彼らが、メアリー・シェリーのゴシック小説『フランケンシュタイン』を大胆に翻案、シリアスな新境地に臨む。
死者のパッチワークから生み出された怪物は「悪しき存在」だったのか。創造主・フランケンシュタイン博士の罪、皮膚のつなぎ目が露呈する死者と生者の曖昧さに迫るロロ版『フランケンシュタイン』。そこに息づく「怪物」の正体とは──。

日程2021年10月09日 (土) ~10月17日 (日) 会場シアターイース
原案メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』 脚本・演出三浦直之(ロロ)

出演
亀島一徳
篠崎大悟
島田桃子
望月綾乃
森本 華
(以上、ロロ)

緒方壮哉(libido:)
関 彩葉
名児耶ゆり
日高啓介(FUKAIPRODUCE羽衣)
松本 亮

特別上映会 太陽劇団シネマアンソロジー 「アリアーヌ・ムヌーシュキン:太陽劇団の冒険」「フォル・エスポワール号の遭難者たち」 

特別上映会 太陽劇団シネマアンソロジー 「アリアーヌ・ムヌーシュキン:太陽劇団の冒険」「フォル・エスポワール号の遭難者たち」

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東京芸術祭の目玉となるはずだった太陽劇団の来日がコロナ禍などの理由で中止となり、その代わりに映像作品が上映されることになった。

公演日:2021/10/10(日)

開演時刻:11:00
会場名:東京芸術劇場 プレイハウス (東京都)

作品解説:カトリーヌ・ヴィルプー監督による2009年のドキュメンタリー映画。『道化たち』『キッチン』『1789』などの初期作品から、『最後のキャラバンサライ』『はかなきものたち』へと至る太陽劇団の軌跡を、作品の記録映像、稽古場や舞台裏の風景、さらにムヌーシュキンを始め、太陽劇団を支えてきた俳優たち、1979年以来音楽を担当するジャン=ジャック・ルメートルらの証言を交えつつたどる。稀代の演出家ムヌーシュキンと劇団の人生そのものを描いた貴重な映像記録。
■上映作品『フォル・エスポワール号の遭難者たち』(2013/日本初公開)


© Michèle Laurent

原題:LES NAUFRAGÉS DU FOL ESPOIR
作:太陽劇団+エレーヌ・シクスー
監督:アリアーヌ・ムヌーシュキン
上映時間:190分 (休憩あり)

※フランス語上映・日本語字幕付き


配給/映像提供:© ARTE France / Théâtre du Soleil / Bel Air Media - France 2013

作品解説:『海底二万哩』などSFの開祖としても知られるジュール・ヴェルヌの小説から想を得た作品。舞台は時空を超えて酒場、船、無声映画の撮影スタジオと変幻自在に形を変える。難破船の乗客たちや映画撮影隊、オペラ歌手から社会主義者、革命家から小悪党まで多種多様の人物が登場し、人々の狂騒が波乱の20世紀の渦に飲み込まれていく…。映画プロデューサーを父に持ち、映画一家に生まれ育ったムヌーシュキンの映画愛にも溢れた傑作。

■上映作品『アリアーヌ・ムヌーシュキン:太陽劇団の冒険』(2009)

原題:ARIANE MNOUCHKINE :L’AVENTURE DU THÉÂTRE DU SOLEIL

監督:カトリーヌ・ヴィルプー
上映時間:75分

※フランス語上映・日本語字幕付き


配給/映像提供:© 2009 AGAT Films & Cie / Le Théâtre du Soleil / Ina / Bel Air Media / ARTE France

協力:フェスティバル/トーキョー実行委員会


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超スタイリッシュなMVに注目。アメフラっシの新曲「SENSITIVE」「Lucky Number」

超スタイリッシュなMVに注目。アメフラっシの新曲「SENSITIVE」

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最近のアメフラっシの一連の動きにはいろいろ不思議なことがある。「SENSITIVE」のMV、シングルの斬新なアートワークには驚かされたのだが、ここ最近の一連の動きを見てみると「メタモルフォーズ」のMVあたりから、明確にガールクラッシュ系のイメージをターゲットにした一連の動きには首尾一貫した方向性が感じられる。「SENSITIVE」ではCD販売自体はrockfieldと契約し、その流通網から全国販売することになったが、実際の販売以外の楽曲制作、MV制作、関西の人気テレビ番組のエンディングテーマの営業、ツアー、リリースイベントなどをすべてB.O.L.T.についてキングレコードが行っているようにレコード会社が手掛けているとは到底思えない。これは外から分かっているANNA、MARICO、佐藤守道らのスタダ制作陣以外にも戦略も含めた全体を強力にバックアップするチームが存在するに違いないと思えてくるからだ。
 私の個人的見解にすぎないけどアメフラっシの売り出し作戦にはホップ・ステップ・ジャンプの三段跳び作戦だ。「Bad girl」「MICHI」と立て続けに新曲のMVを披露。スタプラフェス、Zepp Hanedaに向けて攻勢をかけようと思っていたらコロナ禍で延期に。それでもなんとかZepp Hanedaのライブはこなすことができ、アイドルフェスで頑張り、@JAMで爪痕を残し、TIFに賭けるが今度は台風で中止。まさに風雲嵐を呼ぶアメフラっシらしい展開だが、満身創痍ながらついにスタプラフェス(30日)とシングルリリース日(11月2・3日)に辿り着きそうだ*1
ここがステップで最終的にジャンプ(メジャー契約)につながっていくと思っているのだが、rockfieldとの契約がどうなっているのかにもよるのだが、シングル1枚だけですぐに契約終了、次の契約に移行というのもありそうにないことと思うので、次の段階まではしばらく時間がかかるとも考えている。もっとも、メジャー契約についてはメンバーの掲げた目標ではあるけれど、最近のアメフラっシの全体動向を見るとかなりいいプロモーションができつつあると思うし、現在の動員などで差があるとしても単純にメジャー契約しているチームに楽曲制作やプロモーションで負けているとも思わないので、ここはどの段階でどうするかというのは浪江女子発組合など周辺の状況も考慮して考え時といえるかもしれない。

MV「Lucky Number」が快進撃

「SENSITIVE」のカップリング曲「Lucky Number」のMVがYoutube公開。わずか1日で1万視聴を超え、2万視聴をうかがうなど注目を集めている。

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残りの2曲「DROP DROP」「DISCO TRAIN」もサブスク解禁となった。どちらも圧倒的にカッコいい楽曲。要注目。

*1:ついに万全の態勢でと思っていた矢先に愛来が足を怪我した。幸い重症ではなさそうだが、果たしてスタプラフェスまでに完全に治るかどうか?

ヨーロッパ企画×フジテレビ「サマータイムマシン・ハズ・ゴーン」@フジテレビ

ヨーロッパ企画×フジテレビ「サマータイムマシン・ハズ・ゴーン」@フジテレビ

2021年10月8日(金)25:05~26:05 ※関東ローカル

総合演出・全体構成:上田誠
脚本:上田誠小林哲也、橋本尚和、中田歩
監督:上田誠永野宗典、山口淳太

ストーリーテリングパート」
出演:ムロツヨシ、石田剛太、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、永野宗典、西村直子、本多力、日下七海、桜寝あした(きのホ。)

「リマインド」
出演:上白石萌歌、戸塚純貴、天野はな、土佐和成、本多力

「あいつのミラクルショット」
出演:矢作兼おぎやはぎ)、早織、石田剛太、酒井善史、角田貴志

「乙女、凛と。」
出演:久保史緒里(乃木坂46)、藤谷理子、永野宗典、中川晴樹、諸岡航平