下北沢通信

中西理の下北沢通信

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立身出世劇場「港町マクベス」

 立身出世劇場「港町マクベス(2時〜、近鉄小劇場)を観劇。
 「港町マクベス」って表題に「マクベス」ったあるとどうしてもそれをどう料理したのかシビアな目で見てしまう。いろいろ、言いたいことはあるが、入れ子で劇中劇として「マクベス」が出てくるし、それぞれの登場人物にもそれを思わすところはあるけれど、シェイクスピアの「マクベス」が下敷きというにはあまりに原作と離れすぎであろう。翻案するのはかまわないが、もう少し原作の筋立てを尊重してほしかった。
 これは「マクベス」っていうよりもどうみても東映やくざ映画パスティッシュみたいな作り方であり、関秀人がそれを好きだというのは分かるのだけれど、いくら活劇でも在日の中国人、韓国・朝鮮人が日本人のやくざと抗争を繰り広げるって話を今やるのであるならば、東映映画が作られた当時と比べて最低限配慮しなければならないディティールのリアリティーはあるんじゃないかと思う。ひとつには横浜(のようなところ)を舞台にしているがどうもみても無理がある。なぜ大阪ないし、神戸の港湾地区じゃだめだったのか。そちらに設定していれば最小限、言葉のリアリティーは生まれて、こんなにステレオタイプな舞台にはならなかったのではないかと思うのだがどうだろうか。