下北沢通信

中西理の下北沢通信

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 映画「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還アポロシアター)を見る。
 以前、ある劇作家・演出家と話をしていた時に「スターウォーズ」は「指輪物語」のパクりだという主張を彼がしていて、それに対して、「スターウォーズ」はそれだけじゃなくて、黒沢明とかいろんなものを下敷きにしているからことさら「指輪物語」のことを強調しなくてもなどと反論していたのだが、この映画の完結編を見ていて、彼のいいたかったことが分かるような気がした。面白いのはジョージ・ルーカスの「スターウォーズ」は悪のフォースに魅入られてしまうダースベーダーの設定とか、白い魔法使いとジュダイの騎士との共通点とか明らかに「指輪物語」から借りてきたと思われる設定があるのだけれど、この映画「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」には明らかに映画「スターウォーズ」から借りてきたと思われるビジュアル的要素がそれこそ数えきれないほどあるということである。
 つまり、ここにはちょうど指輪(リング)の円環のように「指輪物語」→「スターウォーズ」→映画「ロード・オブ・ザ・リング」という円環が描かれるわけである。もっとも、「指輪物語」自体も両義的な力を持つ指輪という設定をそれ以前の指輪に関する物語から借りてきているわけで、面白ければそれでいいという意味からいえば「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」は非常によくできた理屈抜きに面白いエンターテインメント映画であった。