「トヨタコレオグラフィーアワード2005"nextage" (1日目)」(世田谷パブリックシアター)を見る。
1岩淵多喜子 振付[Dance Theatre LUDENS] 「Against Newton」 29分
構成・演出:岩淵多喜子 振付・演出補佐:太田ゆかり 照明デザイン:岩品武顕
美術:高原尚司 舞台監督:山田潤一 音響オペレート:堀川恭子 衣装:北村教子
初演 2003年3月 新国立劇場小劇場
出演:太田ゆかり、ささきあかり、岩淵多喜子休憩18分
2黒沢美香 振付「馬をきき」 25分
照明デザイン:アイカワマサアキ 衣装:小林ともえ サウンド編集:椎啓
照明オペレート:三枝淳 音響:サエグサユキオ
オブザーバー・美術プラン:首くくり拷象 制作:Dance in Deed!
初演 2005年1月 福岡・イムズホール
ダンス:黒沢美香休憩11分
3鈴木ユキオ[金魚]振付「やグカやグカ呼嗚」 27分
照明デザイン:しもだめぐみ 音響オペレート:牛川紀政 衣装:邨田雄生実
美術:井手実 音:Eiji nexus6
初演 2004年10月 STスポット
ダンサー:横山良平、ホナガヨウコ、山下陽光、ミソラレミ、須藤剛
休憩16分4隅地茉歩 すみじまほ 振付「それをすると」 30分
照明・美術:岩村原太 照明:三浦あさ子 音楽:迫田浩一
演出:阿比留修一、岩村原太、迫田浩一、隅地茉歩
衣装:高橋あきこ 音響:大久保友紀 舞台監督:高橋圭司
初演 2004年7月 京都・西陣ファクトリーGarden
出演:隅地茉歩、阿比留修一[ダンスユニット・セレノグラフィカ]
この日は全体的に低調な印象。突出したものが見当たらない*1ということと、いずれもここに選ばれてくるレベルとなるとまったくつまらないということはなくてそれぞれに魅力はあるのだけれど、同時に欠点もまた目に付き、一長一短という印象が否めない。迷った結果、オーディエンス賞は岩淵多喜子に投票したが、それも積極的なものというよりはほかに選びようがなかった、という感じであった。唯一、少し面白かったのは鈴木ユキオ[金魚]の作品。少なくともこれまでに見た鈴木の作品のなかでは初めて「なかなか面白いじゃないか」と思わせた。ただ、いくつかの場面に例えばここは珍しいキノコ舞踊団じゃないかとか、こここはニブロールじゃないかと既存の他のカンパニーの作品を連想させてしまう内容にもなっていてそれだと「ちょっと、選べない」という感じであった。
岩淵多喜子「Against Newton」は目新しさこそあまりないのだけれど、きちんと作りこまれていて、ダンス作品としてのクオリティーは高いと思った。
黒沢美香は東京では評判の高いダンサー・振付家ではあり、ダンサーとしての風格は感じさせたが、この作品だけでよく分からないというのが正直なところで、ここで上演された作品が賞に値するべきこの人だけの新しさを持っているかというとちょっと疑問に思われた。
ダンスユニット・セレノグラフィカ(隅地茉歩)はこの2人の間のとぼけた関係性が持ち味だと個人的には思っているのだが、この作品にはそういう面白さはあまりなくて、どうにもこうにも地味な印象。この2人は砂連尾理+寺田みさこ同様に長期間2人のパートナーシップによる独自の身体言語の積み上げを続けてきただけあった動きの精度という面から一日の長があるのだけれど、この作品では生演奏の音楽もあまりいいとは思えないということもあって積極的には押せないというのが正直な感想であった。
1日目を終わった時点での印象全般をいうとおそらくアワードはこの日の4組からは出ないだろうから、2日目に期待というところであった。