下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

DANCE CIRCUS35(3日目)

DANCE CIRCUS35(3日目)(アートシアターdB)を観劇。

斉藤よしこ『eleven fortysix 』 作・出演:斉藤よしこ
Flying Circus 『 Changing Walk 』 振付:上松泰明 構成:Flying Circus 出演:高野泰己 上松泰明 井上エミ(欠陥ロケット)他
こふくげきじょう 『 リビング・ルーム 』 作舞:吉田累幾子(るいこ) 出演:鈴木輝子・岩井由樹・吉田累幾子・松川輝子 
藍木二朗 『 Lyric 』 作・出演:藍木二朗
佐藤健大郎 『 誰の空 』 作・出演:佐藤健大郎

 3日間続いたDANCE CIRCUS35の最終日。この日は佐藤健大郎「誰の空」が面白かった。まず、冒頭の場面。フロアで次々とハイスピードでポジションを変えながら、ころげまわる。このフロアでポジションを変えながら、動きまわるという振付は佐藤が所属するアロー・ダンス・コミュニケーションの主宰者でもあるダンサー・振付家のヤザキタケシが得意とする動きであり、その代表作「4×4」などでも見られるものだが、佐藤はそれをヤザキ以上にすばやく連続してやろうと試みる。当然うまくできないのだが、現在の佐藤が完全にはこなしきれないような過負荷をかけることで、そこに思わぬゆがみというか、ぎごちなさが発生する。それは不安定なものであるがゆえに観客である私たちにもある種の不安感を与えたり、そこから「おかしみ」のようなものが生まれたりするのだが、その微妙な「ゆらぎ」がなぜか面白かったのである。