歌舞伎「寿初春大歌舞伎 昼の部」(大阪松竹座)を観劇。
昼の部
一、芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)
葛の葉(くずのは)
中村扇雀宙乗り相勤め申し候葛の葉姫/女房葛の葉 扇 雀
信田庄司 竹三郎
安倍保名 翫 雀
二、佐々木高綱(ささきたかつな)
佐々木高綱 我 當
佐々木小太郎定重 進之介
馬飼子之介 吉 弥
高綱娘薄衣 新 悟
鹿島与市 薪 車
高野の僧智山 彌十郎
子之介姉おみの 翫 雀
三、芋掘長者(いもほりちょうじゃ)
芋掘藤五郎 三津五郎
緑御前 扇 雀
魁兵馬 彌十郎
菟原左内 吉 弥
腰元松葉 新 悟
松ヶ枝家後室 秀 調
友達治六郎 橋之助
四、伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)
沼津(ぬまづ)
呉服屋十兵衛 藤十郎
お米 秀太郎
池添孫八 彌十郎
荷持安兵衛 三津五郎
雲助平作 我 當
今月の昼の部は充実。まず「芦屋道満大内鑑 葛の葉」。初めて見たのだがこれほど面白いとは。今月一番の収穫かもしれない。「葛の葉姫/女房葛の葉」の早替わりからはじまって、最後の狐葛の葉の宙乗りまで歌舞伎ならではのケレン味に満ちた楽しさ満載の演目だった。同じ狐でも「義経千本桜」の「四ノ切」はたびたび上演されているのにこちらはなぜあまり上演されないのだろう*1と疑問に思うほどに堪能。女形でこれが全部こなせる人が少ないからだろうなとも思うのだが、だとしたら扇雀には当たり役にできるんじゃないかと思った。それにしても家の障子に「恋しくば尋ねきてみよ和泉なる 信田の森の恨み葛の葉」を筆で書く家の障子に「曲書き」には本当に仰天させられた。何か仕掛けがあるんじゃないかと思わず目を凝らしてしまったが、修練のたまもののようだ。
三津五郎/橋之助のコンビによる舞踊劇「芋掘長者」もよかった。踊りの名手である三津五郎が踊り下手の芋掘藤五郎を演じるというのがこの舞踊劇のひとつの趣向だが、それゆえわざと下手に踊ってそれを笑いへと消化させていく、三津五郎一流の芸が面白い。