下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

上海太郎カンパニー「Rhythm」@伊丹・アイホール

上海太郎カンパニー アイホール提携公演「Rhythm」

 @伊丹 アイホール(2009/9/19-21 4ステージ)
 http://www.aihall.com/
 全自由(入場整理番号付)前売3000円 当日3500円

 構成・振付・演出:上海太郎 振付:室町瞳
 舞台監督:久保克司[スタッフステーション] 照明:大川貴啓
 音響:Alain Nouveau 宣伝美術:東学[g'Az] 制作:松井康人、石垣佐登子
 パンフレット制作:たかはしさち 企画・製作:上海太郎カンパニー
 http://www.shang-pagnie.com/
 出演:
 上海太郎、室町瞳、いいむろなおき、北村俊介、坂本さやか、浦川舞奈、居丈高幸治、沼本司、長尾ジョージ、渡辺恒介、曽奈千春、下村唯、たかはしさち、 宇保允、岡本幸子、長崎奈央子、磯谷小夜子

 上海太郎舞踏公司は90年代を代表する演劇カンパニーであり、もし私が「ダーウィンの見た悪夢」という作品に出会うことがなかったら、これほど演劇にもそしてその延長線上にあった身体表現としてのダンスにものめり込むことはなかった。私にとっては上海太郎はそういう人でそういう存在はもちろん彼ひとりだけということはないけれど、同じく連続レクチャーのセミネールで取り上げた青年団平田オリザ弘前劇場長谷川孝治、そしてこれはまだ取り上げてないけれど、ク・ナウカの宮城聰、維新派の松本雄吉らその数は限られている。
 今回上演された「Rhythm」は1999年に初演され、先述の「ダーウィンの見た悪夢」「マックスウェルの悪魔」と並んで、上海の三大傑作と言っていい作品。上海の場合これまでもそれぞれの作品は再演を続けていくなかでより深い作品へと磨きこまれていくということがあったが、この「Rhythm」は前述の3作品のなかで唯一、これまで再演がなく、その可能性が十分に尽くされてはいなかったこと、さらに今回が事実上の初舞台というキャストも含まれている若いキャスト中心では上海の特徴である高度なダンスマイムアンサンブルのある「ダーウィン〜」「マックスウェル〜」は事実上、上演が困難であったことから、新カンパニーの旗揚げ作品としてこの作品が選ばれたと思われる。
 さて、それでは実際の舞台はどうだっただろうか。私は前述のように何度か海外公演なども経験しメンバーもそれぞれ成長、集団として最良であった時代の公演(作品)をいくつか見ている、いわば団菊爺のようなものなので、最高、素晴らしいとは口が裂けてもいえないのであるが、経験の少ないキャストも何人かは好演。予想以上の好舞台に仕上がり、上海太郎カンパニー旗揚げ公演としては上々の出来栄えであった。そしてなにより、演出家として俳優として「上海太郎健在なり」を示してくれたのが、本当に嬉しかった。