下北沢通信

中西理の下北沢通信

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G・K・チェスタトン「四人の申し分なき重罪人」@ちくま文庫

 G・K・チェスタトン「四人の申し分なき重罪人」@ちくま文庫を読了。
 ブラウン神父シリーズでミステリファンに知られるG・K・チェスタトン。だいぶ以前に「ポンド氏の逆説」と「詩人と狂人たち」が創元推理文庫で刊行された時にも「こんなものがあったのか」と驚嘆して、さっそくその年のベストミステリに挙げたことがあったのも思い出したが、まだこんなものがあったのかと再びびっくりである。
 実は最近「新ナポレオン奇譚」というチェスタトンの長編が翻訳されて文庫化されているらしいということを耳にして、調べてみたらそれより先にこちらの中編集が発行されていることが分かったため、さっそく購入して読んでみることにした。
 全体としてはシカゴ・コメット紙のエイサ・リー・ピニオン氏が会員制「ロンドン・クラブ」で「誤解された男のクラブ」のメンバーそれぞれから聞き出した話という体裁での連作中編なのだが、これがいずれもツイストに富んでいていかにもチェスタトンらしい。
いずれもなかなか読ませるのだが、なかでも個人的にお気に入りを1本挙げるとするとブラウン神父ものの秀作と共通するテイストを感じさせる「忠義な反逆者」であろう。

四人の申し分なき重罪人 (ちくま文庫)

四人の申し分なき重罪人 (ちくま文庫)