主宰・中西理(演劇舞踊評論)=演目選定
ク・ナウカ「王女メディア」
東心斎橋のBAR&ギャラリーを会場に作品・作家への独断も交えたレクチャー(解説)とミニシアター級の大画面のDVD映像で演劇を楽しんでもらおうという企画がセミネール「演劇の新潮流」です。今年は好評だった「ゼロ年代からテン年代へ」を引き継ぎ「ポストゼロ年代へ向けて」と題して現代の注目劇団・劇作家をレクチャーし舞台映像上映も楽しんでいただきたいと思います。
今回取り上げるのは現在静岡舞台芸術センター(SPAC)の芸術総監督として獅子奮迅の活躍をしている宮城聰です。このセミネールレクチャーではこれまで平田オリザ(青年団)*1から岡田利規(チェルフィッチュ)*2にいたる現代口語演劇(関係性の演劇)の流れを90年代半ば以降の日本現代演劇のメインストリーム*3と考え、その流れに沿った作家たち(前田司郎、三浦大輔……)を取り上げてきました。
今年の新シリーズ「ポストゼロ年代へ向けて」では現代口語演劇の流れから少し離れた新潮流をポストゼロ年代演劇と位置づけ、柴幸男(ままごと)、三浦直之(ロロ)、篠田千明(快快)らを紹介してきました。
実は90年代には平田オリザらによる現代口語演劇(関係性の演劇)と並ぶもうひとつの大きな流れがありました。それが「身体性の演劇」なのですが、その代表的な作家と私が考えていたのがク・ナウカを率いていた演出家、宮城聰でした。宮城の演劇は口語演劇ではなく、詩的あるいは古典的なテキストを用い、2人のパフォーマーがムーバー(動く俳優)、スピーカー(語る俳優)に分かれて、浄瑠璃のように演技を行うという特異なスタイルでした。平田オリザは「平田オリザの仕事〈2〉都市に祝祭はいらない」という著書で表題通りに「都市には村落共同体の時に必要だった祝祭はいらない」と彼の演劇論を語りましたが、宮城はそれに対しあえて「祝祭の演劇」を標榜するなど平田の演劇の特徴を鋭い分析でとらえながら、それを批判できる論理を持った数少ない論客のひとり*4 でもありました。
今回のレクチャーではク・ナウカ時代に美加理という得難い女優を手にして宮城が確立した「語りの演劇」(ク・ナウカメソッド)に加えて、SPACに拠点を移した宮城が最近試行錯誤のうえ取り組んでいる「詩の復権」という新たなメソッドについても考えていきたいと思います。
【日時】7月9日(土) 7時半〜
【演目】レクチャー担当 中西理
SPAC「夜叉ケ池」*5「ペール・ギュント」、ク・ナウカ「天守物語」ほか宮城聰演出作品
SPAC「夜叉ケ池」
【場所】〔FINNEGANS WAKE〕1+1 にて 【料金】¥1500[1ドリンク付]
※[予約優先] 定員20人ほどのスペースなので、予約をお願い致します。当日は+300円となりますが、満席の場合お断りすることもあります。
【予約・お問い合わせ】 ●メール fw1212+110709@gmail.com あるいは BXL02200@nifty.ne.jp(中西) 希望日時 お名前 人数 お客様のE-MAIL お客様のTEL お客様の住所をご記入のうえ、 上記アドレスまでお申し込み下さい。 06-6251-9988 PM8:00〜 〔FINNEGANS WAKE]1+1 まで。 web:fw1plus1.info Bridge Gallery & Bar 〔FINNEGANS WAKE〕1+1 大阪市中央区東心斎端1-6-31 リードプラザ心斎橋5F (東心斎橋、清水通り。南警察署2軒西へ)
*1:青年団http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000227
*2:チェルフィッチュhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000226
*3:関係性の演劇http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000317/p1
*4:宮城聰(ク・ナウカ主宰=当時=)インタビュー 1998年下北沢通信収録 http://t.co/5hza5bu